美味しい調理法
料理好きの友人に招かれ、手料理を食べにアパートを訪れた。何でも、こだわりの料理法があるのだとか。
友人がキッチンにいってから、うーとかぎゃーといった、小さな呻き声が聞こえる。
少しして鍋をもって部屋に入ってきた。目の前に置かれた鍋から何か声が聞こえてくる。鍋の近くで耳をそばだてると、沸騰したボコボコという音の中に、恨みのこもった声が確かに聞こえる。
鍋を前に固まっていると友人が解説する。
「野菜ってのは過酷な環境におくと美味しくなるんだ」
あ、これ野菜がしゃべってるの...?
人生で一番美味しい鍋だった。