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到着しましたー!

 ちょっと意識を失ってたみたい。


 はっと気がつくと空気が温かくなってて、人の話し声が聞こえた。


「ご苦労様です」


 黒野くんの声だ!


 聞き間違えようのない、温かい声。ちょっとくぐもったような、自信のなさそうな、でも無愛想な優しい声!


「これ重いッスねー。60kgぐらいあります?」


 宅急便のお兄さんが失礼なこと言った。やめてよ黒野くんの前で! あたし、その3分の2もないんだからね!


 宅急便のお兄さんが出て行く気配がすると、すぐに黒野くんが呟くのが聞こえた。


「なんだろう?」

「『みかん』って書いてあるけど、その割には重そうだったわねぇ?」


 女の人の声だ。


 黒野くんは親元を離れてアパートで一人暮らし。


 誰?


 お、お母さんだよね?


 お母さんが掃除か何かしに訪ねて来てくれたとこに、あたし、来ちゃったんだよね?


 ど、どうしよう……。


 やるしかない。


 お母さんにもあたしを見てもらうんだ。


 もちろん最初はびっくりされるだろうけど、だってこれ、サプライズなんだから。


 将来あたしのお義母さんになるひとなんだから。


 包み隠さず見てもらおう。


 素のままのあたしを。


「中からガムテープで貼ってあるのねぇ」

 お母さんが言った。

「変わってるねぇ」


「開けるよ?」

 黒野くんが言った。

「本当にみかんかな」


 ばりん!


 ボックス、オープン──


「じゃーんっ!」


 そう言いながらあたしは物凄い笑顔で、箱の中から立ち上がった。


 ピンク色のリボンを裸に巻いただけのあたしが手を広げて現れたのを見て、知らないお爺さんとお婆さんが、目と口を大きく開いて後ろに倒れそうになっていた。




 あれ……?




 送る住所、間違えた……?



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