表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/25

お姉さん

 段ボールを開けて、出て来たあたしを見た途端、お姉さんは悲鳴を上げた。


「ひいっ!?」


「ごめんなさい」

 あたしはショボンとしながら謝った。

「送り先をまた間違えました」


「な、ななな……なんなの、あなた!?」


 二十歳ぐらいの綺麗なお姉さんだった。仕事に行く前だったのか、ばっちり化粧して、ベージュの春コートに身を包んでいた。


 あたしはぺこりと謝った。

「出て行きますので……お構いなく」


「ちょ……、ちょっと待ちなさいよ。そんな格好で外に出るつもり?」


 仰る通りだった。全裸にピンクのリボンを巻いただけのこの姿で外に出るのはとても恥ずかしい。でも、ここにいるのも同じぐらい恥ずかしかった。


「えっと……。じゃあ、黒いゴミ袋とかあったら、貸していただけますか」

 あたしは遠慮がちにそう言った。


「話してみて?」

 お姉さんのつけまつ毛で飾られた目が、好奇心たっぷりにあたしを見つめる。

「どういうこと? なんであなたが宅急便の中に入ってたの?」


 仕事前っぽいので迷惑にならないよう、あたしは手短に話した。彼氏に自分をプレゼントしようと思って宅急便の荷物となり、旅をして来たこと。何度も違う住所に送られてしまい、色んな優しい人と会って来たこと。


「なるほどね」

 お姉さんは同情してくれた。

「それで? あなたの彼氏、名前は?」


「……黒野オサムくんです」


「ああ!」

 お姉さんがぽん!と手を叩いた。

「それ、あたしの弟!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] めちゃくちゃ面白いです( *´艸`) やっと黒野くんに辿り着きそうですねっ!!
2022/06/02 22:32 退会済み
管理
[良い点] 連載再開!! 待ってましたーーー!! ようやく! ようやく正しい住所に!? 彼氏の反応、気になるぅ!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ