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Ep.92 宝剣蹂躙


宝剣は、決して折れず



 トリストラム達に続き、右翼側で展開しているランスロット、グレース、ボーサ、パルジファルも、宝剣を開放する。


 

「宝剣開放! 速き宝剣『アロンダイト』!」


 ランスロットの宝剣は、レイピアの形を取り、剣身は水色の宝石になっている。


 振れば目視できない速さで振る事ができ、使用者の速さも何十倍にも速くなる。


 ランスロットが宝剣開放したことで、見えない速さで魔物達を斬り捨てていくのだ。


「来い!! 『ニミュエ』!!」


 地平線の先から雪を巻き上げて現れるのは、水属性騎乗式二輪型魔導兵器『ニミュエ』だ。


 その姿は二輪車。別の世界で言う意思を持ったバイクである。


 ランスロットがニミュエに乗る事で、その速さは格段にアップする。


 爆音を響かせ、ニミュエで爆走しながら剣を振るい、通過した後には、魔物の残骸しか残らなかった。


 その後を追うのは、グレース、ボーサ、パルジファルだ。


「流石ランスロットさん、速過ぎて全く見えない……」

「ワシらも負けておれんぞ」


 ボーサは剣を掲げ、


「宝剣開放! 始まりの宝剣『カレドヴールフ』!!」


 剣を斧に変身させ、魔物に斬りかかる。


 一体を一撃で倒し、その後ろから湧いて来る魔物も切り伏せた。しかし、魔物の大群は止まらない。


「ならば!!」


 ボーサの持つ斧が槍へと姿を変える。


 槍で後続の魔物の喉を一突きで貫き、引き抜いた直後に振り回して、次々と魔物を倒していく。


 しかし、続々と迫る魔物達は、ボーサの懐へ入って来る。


「何のこれしき!!」


 今度は槍を短剣に変え、懐に入ってきた魔物の喉を掻っ切ってみせた。



 これがカレドヴールフの能力、『あらゆる武器へ姿を変える能力』だ。


 


 ボーサはまたカレドヴールフを剣に戻し、再び群れへと突撃する。


「遅れるなグレース!! 続けい!!」

「はい!!」


 グレースも剣を掲げ、


「宝剣開放!」


 しようとした時だった。


「おっと、グレースちゃんのは最後のとっておきだ。俺もだけど」


 パルジファルがそれを止める。


「グレースちゃんと俺の宝剣開放はこの後の切り札だ。今は辛いかもしれないが、ここは我慢だ」

「パルジファルさん……」

「もし何かあっても、ランスロットがフォローしてくれる。だから心配するな」

「そうそう! いざとなったらフォローするから!!」


 ランスロットは遠くから大声で答える。


 それを聞いたグレースは、剣を再び握りしめる。


「……分かりました! とにかく頑張ります!!」

「そのいきだ!」


 グレースはパルジファルに背中を押され、魔物の大群へと突撃する。


 しかし、宝剣開放が現状使えない2人を同じ場所に配置したのか。それは、


「どりゃあああああ!!!」


 グレースの持つ怪力が、宝剣開放並みに強いからだ。


 一振りで百体近い魔物達を倒せるのだから、偏るのも無理はない。



 ◆◆◆



 左右で戦闘が始まる中、中央にいるアグラヴェイン達も魔物の大群と接敵する。



「我々も行くぞ!!」


 アグラヴェインの掛け声に合わせ、ウェイガーとギャラヘッドが宝剣を開放する。


「宝剣開放! 灼熱の宝剣『ギャラティーン』!!」

「宝剣開放、絶対の宝剣『オーランディート』」


 ウェイガーの『ギャラティーン』は、剣身に炎を纏い、その炎を自由自在に操って敵を焼き尽くす灼熱の剣。


 ギャラヘッドの『オーランディート』は、青白い光を剣身に纏い、あらゆる硬度の物体を切り裂く絶対の剣。


 両者は先行して接敵し、それらの剣を駆使して、一瞬で数十体の魔物の大群を倒していく。


 その後を追うアグラヴェイン、メイドリッドも走りながら剣を構える。


「メイドリッド! 貴方の宝剣は多人数の戦場では不向き! 申し訳ないが、ギャラヘッド達のこぼれた分を頼みます!」

「構わねえよ!! 行くぜオラア!!」


 メイドリッドは雷魔法を放ち、打ち漏らした魔物達を一掃する。


「こちらも行きましょう。宝剣開放、秀でる宝剣『マルミアドワーズ』」


 アグラヴェインは宝剣を開放し、黄金の光を放つ剣で、巨大な魔物を優先的に斬り倒していく。


 メイドリッドはその様子を魔物を倒しながら眺めていた。


「相変わらず無茶苦茶だなあの剣……。攻撃できる光ってなんだよ……」


 そんなことをぼやいていた時だった。


 魔物の大群から一人の男が飛び出し、メイドリッドに斬りかかる。


 メイドリッドはすぐに剣で防ぎ、蹴りで反撃を入れる。しかし、すぐに躱され、当たる事はなかった。


 距離が開いたことで、斬りかかって来た男の正体が分かった。


「お前、アイシーンか……?」


 そこにいたのは、変わり果てた姿のアイシーンだった。


 ドス黒いオーラを身に纏い、服も体もボロボロの姿で、凶悪な表情で剣を握っていた。


「げは、げハハハハハハハハハハ!!!」


 下卑た笑い声を上げながら、再びメイドリッドに斬りかかる。


 メイドリッドは剣で防ぎ、アイシーンの表情を見る。酷い表情で口から涎を垂らしながら、獣の様に笑い続ける。


 それを見て、正気ではない事を確信した。


「こりゃダメか……。何があったかは知らねえが、元ギルドマスターがここまで成り下がるとは、同情するぜ」


 剣で激しく何度もぶつかり合い、一進一退の攻防が続く。


 正気を失ったとしても、その実力は落ちておらず、剣の実力は本物だ。


 このまま時間を取られる訳にもいかないと思ったメイドリッドは、


「宝剣開放を使う!! 間違っても近付くんじゃねえぞ!!」


 剣をアイシーンに向ける。


 そして、


「宝剣開放! 決別する宝剣『クラレント』!!!」


 宝剣を開放した。




 十二騎士達と魔物の大軍団の戦いは、苛烈さを増していく。



 しかしこれは、カラーにとって囮でしかないのだ。



 本命は、聖都にいるオルカなのだから。







お読みいただきありがとうございました。


次回は『聖都に降り立つは』

お楽しみに


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