出会い、別れ、そして再会、はたまたは――初めましてのような再会までの、さよなら・4
「サキュラ譲とは……昔、色々と……ありまして……。その……。彼女は、――私の……初恋の人なんです……」
あれから、時間を置いて。
今はリプカとオーレリア、そしてミスティアの三人、とある一室で腰を落ち着けて話し合っていた。
ミスティアは複雑な表情で顔を合わせていた。
「なんやかんやには、もちろん、やましいところなどは無いのですが……。だいぶに複雑な別れ方をしていたので、正直……今顔を合わせるのは、気まずいです……」
俯き加減に漏らされた声には、想像以上の複雑な事情が窺えた。
リプカは、いつか交わしたミスティアとの会話、その一末を思い返していた。
『私の好みは、私と同年代くらいの、フワフワした可愛い子なのですが――』
いつだか考えたように、まさにサキュラの容姿はそのものドンピシャリである。
(……ん? ちょっと待って――)
(サキュラ様は、今年で八歳であったはず。……昔って、どのくらい昔の事なんだろう……?)
一年前のことだとしてもサキュラは七歳、それ以前だと六歳以前の事になる。
(――――アリアメル連合だなァ)
リプカは思わず、そんなふうなことを感嘆交じりに思っていた。
ミスティアは、目を回すくらいに動揺していた。
「でも、まさか――うぅ、あり得ない。どうして、お客人が、サキュラ譲だなんてことが……」
それはリプカの友好関係を問うようなことではなく、単純な、疑念であった。
「何故……私が眠りに堕ちている間、シィライトミア家へお力添えを貸してくれたという恩人の名前が、ピンポイントで――私の耳に届いていなかったのか……。オーレリア様のご恩については、すぐに聞けたのに……。そんな……奇怪な偶然が、あり得るの――?」
――――あり得る。
リプカとオーレリアは、瞬時に同じ可能性を思い浮かべた。
顔を難しく皺くちゃにしたミスティアに、二人は同情を浮かべた。何らかの思いがあってのことだろう……未来を導く指揮者にかかれば、そのような奇妙も、起こり得た必然として現実に持ってくることが可能であろう。
「…………サキュラ様は、私のことを……何か、言っていましたか?」
「あの……いいえ。思い返す、限りは……」
「同じくです」
「……そうです、よね」
これは、本当に相当、何かあったな。
それを察したリプカとオーレリアは、本格的に腰を上げた。
(――……ん?)
(でも、サキュラ様は、予見のミスティア様と関わりがあるわけで。シュリフちゃんと呼称するくらいには交流があったことを考えると……?)
そのことを考える幾多の思考が、閃いては明滅し、形にならないまま散っていく。
(…………これは本当に、複雑な事情であるのかもしれません)
リプカは予感を覚えたが……幸いというべきだろうか、これは彼女の通例である、勘が大きく外れたことであった。




