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坂元さんと指笛

作者: 長光一寛



(ナレーション)

皆様、私どもフローレンスの坂元さんが初めて音楽に心を打たれたのは、幼少のころ盲目の伯母さんがハーモニカを吹いて聞かせてくれた時でした。彼は自分も吹きたくて仕方なくなり、伯母さんに教わりました。そしてすぐにうまく吹けるようになったので、伯母さんはハーモニカを一つくれました。しかしそれは彼のその後のとめどもない楽器遍歴の始まりとなりました。


どの楽器にもほかの楽器にない魅力があると同時に弱点もあります。やがて坂元さんは自分のハーモニカではどうしてもうまく吹けない曲もいくつもあることに気づきました。そして他の楽器に興味が移っていきます。上手な人が素晴らしい演奏をするのを聞くたびに、すぐその楽器に心を奪われ、それこそが自分にぴったりの楽器だと信じこみ、それを何とかして手に入れるのでした。そのようにして、彼はたくさんの楽器を持つこととなりました。ギター、尺八、ケーナ、リコーダー、オカリナ、ウクレレ、鼻笛、中国横笛、コカリナ(木のオカリナ)、などです。しかしどれも練習に没頭できるほど彼をとりこにすることなく、中途半端なところで上達が止まってしまいました。


そしてこの5月末に彼はひょんなことから指笛の名手に出会いました。この人は彼の前で指をくわえるといろんな曲を奏でました。さらに指笛だけでなく手笛や草笛など、まるで手品師のように手を変え品を変えあれやこれやの演奏をして見せました。ある時は森に彼を連れていき、そこで指笛で鳥寄せをすると、集まった鳥たちと鳴き声くらべをし、負けていません。これに驚いた坂元さんは弟子入りし、努力し、見る見るうちに上達し、音も大きく遠くまで届くようになりました。そのため近所から苦情が出たこともありました。それで彼は自動車で郊外に行き窓を閉めて練習する日々が続いた。その成果あって、今年の11月にこちらにおじゃました時、指笛の初のお披露目演奏(山小屋の灯)をし、皆様から喝采を受けましたことは記憶に新しいことです。


夢の中で過去や未来の国に幸福の青い鳥を探しに行くチルチルとミチルが、結局自分たちの家の中にその青い鳥を見つけたように、ハーモニカから始めて自分に本当にあった楽器を探す長い遍歴ののち、やっと坂元さんは、自分の人差し指によく鳴く青い鳥が止まっていたことに気づいたのです。それでは石塚幸子先生のピアノ伴奏で、坂元さんの指笛演奏「月見草の花」と「琵琶湖周航の歌」をどうぞ 


https://www.youtube.com/watch?v=6JJGwbqpIew


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