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こういった巨大なダンジョンはまともに攻略しようとすると普通に数日かかるし、下手すると何ヶ月かかる場合もある。


だが今回取る手段は素材とか諸々を無視した真下堀りである。とあるゲームではとても危険だし、現実でも危険だが、それは実力が足りていない時だけだ。むしろ強くなったなら他人の命がかかった場合に推奨する。


「今回は札駅周辺の人を助ける行為だ、つまり掘る」


とは言ってもさすがに無条件で掘れる訳では無い。勿論モンスターも邪魔してくるし、階層ごとに空間が違うから波長合わせながら行かないといけないし、10層ごとのボス層はクリアしなければ絶対に破壊不可能だしと対策はされている。


「最短2日でクリアするつもりだが下の方がどんなやつがいるかわからない。さっきの未知のモンスターであるバルラビットのこともある。既存の知識では余裕で死ねる」


新鮮な気持ちでダンジョンに挑むのはいつぶりか知らないが、行けるさ。世界を救った英雄ならひとつの街程度簡単に救ってみせる。


「『百々爆破(どどばくは)』」


魔法を発動した瞬間、爆音が階層中に響いた。
















魁斗がダンジョンに潜ってから6日と半日がすぎた頃。警察署や様々な研究機関、そして政府。世界中が混乱していた。


アメリカのホワイトハウスの一室にて大統領は机に肘を着き報告書に目を通していた。


世界中が混乱した理由は一目瞭然で、ジャポンが命名したというDungeonという未知の洞窟から緑の小人(ゴブリン)が民間人を殺害したり、ロシアでは空飛ぶトカゲ(ドラゴン)が大暴れしているのだ。


「……これは本当かね?我が国にもあると?」

「Yes、それは事実だ。驚きだよなぁ……まさかFantasy的な物がリアルにあるなんてな?gameかよ」

「笑い事ではないぞ、このゴブリン?とやらには銃火器は効くのか?」

「ほぼほぼ効果なし、だってよ。やべぇぜ、軍がほとんど案山子状態だ。今ならあれだな、右腕が疼く的(厨二病)なサムシングのやつなら活躍できるな」


タメ口で大統領に声をかける男が大統領の質問に答える。この男は陸軍大将であり、大統領の幼なじみでもある。


「ならば何が効くのだ?」

「近接武器、主にナイフとかだな。それで今はdungeonに当たってる兵に急ごしらえの槍を使わせてる。木の棒にナイフを括りつけた原始的な武器だな」


中世ですらもっとましな武器を使うぞ、と手のひらを上に肩を竦めて顔を振る男に、大統領は頭を抱えていた。


「我が国の兵がまさかこんなことをすることになるとはな……過去の偉人に顔向けができんよ」

「いやいやできるだろ、どんな武器を持っても民を守るために立ち向かう覚悟でな」

「……そうか、それもそうだな。我が国の兵は勇敢なのだ」

「たまに蛮勇はいるがな」

「そういう茶々を入れるな!」


悪い笑みを浮かべながら大統領をおちょくる大将に扉の前で待機する副官は冷や汗をかきながらも、今も送られてくる情報をpadで処理をしていく。そして今しがた送られた情報に目を見開き、思わず二人の会話に介入してしまった。


「大将殿、こちらを」

「あん……? は!?」


副官から手渡されたpadに目を通し、読み終わった頃には大将である男は驚愕で口をあんぐりと開けていた。


「マジで?」

大真面目(大まじ)です。JAPANで、世界最初に確認されたdungeonが消失したそうです。それに合わせ、そのdungeonを攻略したと名乗る男が現れ、その場で消え去ったそうです」

「……え、マジでgame的なdungeonだったのか?」

「分かりません」

「そもそもdungeonとかmonsterとかよくわからん存在が急に出てきたんだからな……急に無くなるのも有り得るか」


顎に手をやり思考の海へと沈んだ大将を見ながら副官は更なる冷や汗を流す。なぜならそれを見ている大統領の視線が徐々にジト目になって、妙な威圧が出てきているのだ。


「……おい」

「ならば近場にあるdungeonで実験した方がいいのか……?いや、それをする前にやはり民間人の安全確保から動いて、余裕が出来始めたら……」

「おい!」

「んぁ……? あぁ、すまん。考え込んじまった」

「今の報告はなんなんだ?」

「JAPANのSapporoにできた世界最初のdungeonが消失したんだとよ。game的にいえば攻略完了(ALLCLEAR)ってやつだ」

「……つまり我が国にあるdungeonもそのようなことが起こる可能性が?」

「勿論攻略とやらに乗り出したらの話だ」

「なら一刻も早く攻略を──」

「それはなしだ。最優先は民間人の安全だぜ、そこだけは忘れてくれるな」

「……分かった。あとは任せる。この後取材もあるんだ、手早く頼むぞ」

「勿論、国に尽くすのが我ら軍人の役目だからな」


そして敬礼して大将とその副官は大統領の自室から出ていく。その姿を見送った大統領は思わずため息を吐いてしまう。その視線は先程から見ていた報告書に書いてある文と写真に向けられていた。


「ふぅ……全世界にdungeonが出現、それら全てが洞窟みたいに地面に生成される、か。ならこれは一体なんなんだ?これは明らかに……浮いてるじゃないか」


その写真には空を飛ぶ森があった。



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