血みどろのエイプリルフール
さて、4月1日も残すところ僅かとなりました。ここで私は皆さんにあるお話をしたいと思うんですが、どうでしょうか?
はい、わかりました。語っても宜しいということですね!ああ、ありがとうございます。これで私の気が晴れますよ。ええ。
え、何を話すのかって?そりゃ決まってるじゃないですか。ホラー話ですよ。そう、ホラー話。
え、何?ホラ話の間違いじゃないかって?違う違う、わかってませんな。これは駄洒落ですよ?ホラ話と怖い話を掛けてホラー話。ユーモアですよ。
コホン、それではお話させてもらいますのは、ある女学生を襲った恐怖の一夜でございます。どうですか、怖そうでしょう?そうですか、それなら良かった。でも、あなた方が想像している物よりもっと怖いですよ〜。はい、期待してくださいね。
ある女学生は家に一人でいました。単に女学生というのも味気ないですね。うーん、佐織さん、ということにしましょう。うん、佐織さん。それで、佐織さんの両親は共働きで、今夜は遅いのです。ということで、彼女はソファーに座ってテレビを見ていました。30分くらいたった頃、玄関のベルが鳴ったんですよ。ええ。ベルが鳴ったということは誰か訪ねて来たということですから、佐織さんは走って玄関まで行きました。ええ、走って。え、それが普通ですよね?違います?え、違いますか。あー、そうなんですか。へぇー。あ、いや、嫌味のつもりで言ったのでは無いんですよ。私はね、ただそれが常識かと感心したんですよ。はい。気分を害されたのなら謝罪します。どうもすみませんでした。えーと、どこまで話したんでしたっけ?そうそう、玄関に行ったところでしたね。そうだそうだ。で、玄関に行った佐織さんは覗き穴から外を見たんです。すると、そこには誰が居たと思います?それがなんと、黒いレインコートを着た男だったんですよ。怖いでしょう?なんせ雨も降っていないのにすごく不自然でしょう。そりゃ怖いですよ。もちろん、佐織さんは当然恐怖を感じましたが
、お客さんに失礼だと思い、少しドアを開けてみたんです。もちろんドアチェーンを掛けてでですね。すると男は佐織さんにこう言ったんですよ。「最近、この辺で殺人事件があったの知ってます?道を歩いてたら刃物でスパッと首を一撃、かっ切っられた人がいましてね。即死でした。残念なことに犯人はまだ捕まってないんですよ。だから、こうやって、一軒一軒注意して廻ってるんですよ。あなたも気を付けてくださいね。あっ、あなたなんで私が警官の格好してないのかって?それは友人に警官がいましてね。そいつから頼まれたんですよ。この辺で殺人事件があったから、近隣住人に警告してこいってね。それじゃ、夜分遅くすいませんでした。」とね。男は話終えると、すぐにいなくなりました。もしナイフでも出されたらどうしようと思っていた佐織さんは安心しました。ほっとして、ソファーに戻ると突然電話がかかってきたのです。あ、電話はいつも突然かかってくるものですね。これは失礼しました。両親かな、と思った佐織さんは急いで電話に出てみました。なにしろ佐織さんの家の電話は佐織さんが座っていたソファーから20メートルくらい離れてますから。佐織さん
の家はお金持ちなんですよ。はい。で、電話に出てみると、なんと無言なんですよ、無言。怖いですねぇ。不気味に思った佐織さんはすぐに電話を切ってしまいました。でも、受話器から耳を離す瞬間、こんな声が聞こえたんですよ。「さよなら。」ってね。怖いでしょう?もちろん佐織さんは電話の声を聞いたことがありませんでしたから、さぞかし不気味だったでしょうね。ウフフ。それで、怖くなった佐織さんはもう寝ることにしました。時計を見ると、もう夜中の12時です。明日は学校なので、早く眠る必要があります。それに、寝てしまうことで怖いことを忘れたかったのでしょう。佐織さんはすぐに自分の部屋に入ると、電気を消してベットに入りました。さぁ、ここからが本当に怖いところですよ。心して聞いてくださいね。目をつぶり、静かに呼吸を始めると、なにか聞こえるんですよ。こう、風のような音がね。確か窓は開けて無かったはず、おかしいぞ?佐織さんはこう思いました。すると、すぐにこれは人の呼吸音だ、ということに気付きました。あ、もちろん自分のじゃないですよ。自分以外にもうひとつ聞こえるんですよ。はい。
すると、佐織さんは突然激痛を感じました。なんだと思って痛む箇所を見てみました。なんと、胸から棒が生えてるじゃあありませんか!驚いた佐織さんは叫ぼうとしましたがその瞬間に意識を失い、そのまま死んでしまいました。
どうです、怖かったでしょう?ええ、もちろんホラ話ですよ。まあ、よくある都市伝説を自分なりに改変しただけですよ。
え、実話ですって?何を言うんですか?あっ、嘘でしょう。今日はエイプリルフールですからね。えへへ。
えっ、証拠って何ですか?まさか!う、うわぁ!ひ、酷すぎる。ああ、神様。うっ、何をするんですか、痛い。ひぃっ、ああ、やめて、殺さないで、あっ、ああ〜〜っ!!
――以上の内容がとある連続殺人事件の極秘資料と思われるテープに記録されていた内容の一部である。この事件はあまりの異常性により報道規制がされており、世間には知られていない。よって、いかなるルートをたどってきたか不明であるが、このテープがここにある以上、私は非常に危険な状態にあるとみて間違いない。よって、私の身に何かが起こる前にここにテープの内容を記しておこうと思い、今画面の前にいるあなたにこの事を伝えたのだ。この話は決して忘れないで頂きたい。