じいちゃんとの稽古
そもそもこの世界には属性というものがある。それぞれ「初級」、「中級」、「上級」、「最上級」の大体4つに分かれ、「火」、「水」、「風」、「土」の基本4属性と、「光」、「闇」の基準属性と「無色」と呼ばれる強化を中心とした属性があり計7属性ある。
ただ、級が上がっていくごとに消費魔力やコツが難しくなっていくが、その分火力も上がる(例外も結構ある)。
しかし、人が生まれながら持っている属性は、基本4属成(火水土風)の中から1つと基準属性(闇か光)のどちらか1つと誰でも使える無色の3属性しかない。
ただこれは、生まれながら持っている属性のコツであり、小さい頃から持っていない属性のコツを掴めば元から持っている属性と同じように扱う事も出来る。(基準属性はどちらか1つしか使えないらしい)
逆に剣士やタンクといった接近戦がモノを言う職業タイプの人達は無色以外の魔法を余り使わないため、魔法が苦手な人が多いらしい。
稀にいる魔法剣士という職業タイプの人たちは目の前の敵の行動を把握しつつ、脳内で魔法演算処理をしないといけないため、それで生きている人達は凄く、火力も普通とは桁違いなため給料もかなり良いらしい。(全てじいちゃんから聞いた話) そのため、小さい頃からよくオススメされていた。
「じゃあまず、海斗の扱える属性を全部言ってくれ」
「初級だったら全属性と雷属性が使えるよ。でも中級は闇しか使えない」
「そうかそうか! 8歳で中級が使えるなんて将来が有望じゃな!じゃあ魔力最大値教えてくれ」
「どんなにじいちゃんが何か言ったって僕は立派な冒険者になるんだからね! <ステータスオープン>」
飛竜 海斗(8) 闇 火 水 土 風 雷
・HP 104/104
・魔力 452
・魔力残量/魔力最大値 1096/1250
・職業 no data
・称号 no data
「1250だったよ〜」
「な、1250じゃと! 流石海斗じゃぁ! 8歳児の平均の6倍以上なんて才能しかありえん! もうこれは魔法剣士になるしかないの! じじいこんな孫を持って嬉しすぎて涙が出そうだわい」
「いや〜、アリガトージイチャン。でも魔法剣士になれる程じゃないと思うけどね」
流石にこの溺愛っぷりは飽きる。だが、お世辞だとしても平均の6倍以上の魔力を持っているのは凄いとは思う。が、付近に同い年の子供がいないため実感できないのが懸念点である。もしかしたら低すぎて嘘言って誤魔化してるかもだしね。
「うむ、良い心がけじゃ。その調子で磨けばきっとなれる。だが、知っているだろう魔法剣士の魔力最大値は余裕で10万を超えているし、今の成長の仕方じゃ中級も扱えないかもしれん。 そこでじゃ、予定変えて訓練の内容を最大値の強化に充てることにする」
「そう言っても具体的に何するの? 魔法打ちまくるの?」
「合ってると言えば合ってるが違うと言ったら違うな。こいつを使って魔法を使うのじゃ」
そう言って出したのは飾り気のないただの杖だった。ただ...
「この魔力の感じ... もしかして『グリムリーパー』?」
グリムリーパーとは魔力抵抗がとても大きく、さらに使用者の魔力に合わせて抵抗もどんどん上がるため全く火力の出ないゴミである。語源はそこから来ており無限に魔力を吸うようなところが死神ぽかったからこんな名前になったらしい。
そんなゴミをどうやって訓練に使うのだろうか?
「その通りグリムリーパーじゃ。今回はこいつの魔力抵抗が大きい事を利用するぞ」
「? どういうこと? 魔力抵抗が大きい事と魔力最大値って関係性あるの?」
「それが大アリなんじゃ。海斗は普段武器なし詠唱なしで魔法を使っておるじゃろ? それは体が媒体を使う必要がないほど魔力回路として成り立ってるという訳じゃ。簡単に言えば魔力抵抗がほとんどないのじゃ。そこでグリムリーパーみたいな魔力抵抗が大きい物を使うといつもの魔力量では全く火力が出ない。するといつもの火力を出そうと体が勝手にその分の魔力をだs「僕8歳だよ?難しい話は分かんないよ」」
「...それもそうじゃな。よーし海斗、一回こいつを使って点火を唱えてみよ。使った後に立ってたらそいつをあげる」
「マッチごときで魔力切れなんて起きないよ。...っ! これがグリムリーパー。持ってるだけで魔力が吸われる感覚だ...!」
「そいつはワシの特性品じゃぞ。普通のやつにさらに魔力吸収の刻印を入れてるからな、なるべく急いだほうがいいぞ」
「そういうのは渡す前に言ってよ... 目標は...あった。あの枯れ木でいいや。点火」
するとその枯れ木は... 燃えなかった。それどころかなんの変化も無かった。ただ1人を除いて。
「っう!なんっだこれ...!体が動かない...⁉︎これが魔力切れなのか...?」
「ほら、ただのマッチを一発唱えた... いや、何の変化もないからただ魔力を霧散させただけか。それだけで立っていられないじゃろ?これがグリムリーパーじゃ。一回離してステータス見てみろ。面白いものが見れるぞ」
「う、うん。分かったよ。<ステータスオープン>」
飛竜 海斗(8) 闇 火 水 土 風 雷
・HP 32/104
・魔力 452
・魔力残量/魔力最大値 -150/2500
・職業 no data
・称号 no data
「どうじゃ、魔力残量が一気に0になったじゃろ?ほれ、回復薬と魔力ポーションじゃ」
「ありがとう...」
返事するのも怠くなっていた。HPと魔力が低くなると気持ち悪くなるというのは聞いたことがあるがここまでとは思わなかった...。いつしかかかった風邪よりも怠い...。 しかしそれよりもだ。
0になる?軽くオーバーしてるんだが、じいちゃんが嘘を言っているのか?でもとてもそんな風にはとても見えない。とりあえず聞くか。
「じいちゃん、魔力残量が0じゃなくて-150になってたんだけど...。でも凄いよ!魔力最大値が一気に2倍になってる!たった一回で!凄ーい!」
「マイナスじゃと⁉︎それは本当か⁉︎ええい、孫の事を勝手に調べるのは道理に欠けるがやむを得ん、空間調査」
「本当じゃったか..」
唱えた直後にピッタリ最大値分減っておった。だが、そんな風に作ってもおらんしそもそも普通の人はマイナスに行ったら死ぬはずじゃ。それで生きているということは...、しかも一気に2倍になるなんていう成長ぶりなんてもしや、いやそれしかない。
「海斗、もしかしてお主の常時発動型個人魔法の強成長類のものを持っておるのか?」
「ゆにーくすきる?新しい魔法なの?強い魔法なの?」
「...知らされてないのかもしくは隠してたか、か。確かに危険じゃしな」
強成長所持者は普通の人に比べて格段に成長率が高いが、その分色々脆くなるからな。ある種狂暴化に似ているからな、珍しい事でも教えにくいのだろう。
「いいか海斗、ユニークスキルっていうのは誰もが持ってる個人魔法とは違って誰しもが持ってるとは限らない常にかかってる強化のようなものじゃ。それでこっからが本題じゃ。いい知らせでもあるぞ。海斗、お主はそのユニークスキルで強成長類のものを持ってると思われる」
「え、ユニークスキルってそんな便利なものなんd『あなたは常時発動型個人魔法を知りました。特典として貴方はユニークスキル無限進化と、新しい称号<我が道を行くもの>を手に入れました。これらの詳細はステータスからいつでも確認出来ます』」
「ん...?どうしたんじゃ海斗?やはり魔力がマイナスにいくというのは体にキツいかの...」
「あーいやもう全然体は大丈夫なんだけど、なんか急に女の人の声が聞こえて来てちょっと周りを確認してただけだよ」
「女の声...?この山は立ち入り禁止にしているからワシら以外は誰もいないはずじゃぞ。それにワシには何も聞こえんかったぞ。...あぁ、海斗それは多分「天の声」じゃぞ」
「天の声って何?」
「まあその名の通り天の声なんじゃが、その声がするということは何か特別なものを習得したのか?」
「うん、何かじいちゃんの話を聞いてたら流れてきて僕もまだ何が起こったのかよく分かんないよー」
「う〜む、海斗、お主に少し空間調査を使うがいいかの?」
「うん、じいちゃんだったら全然いいよー」
「ありがとうな、海斗。空間調査 おお!海斗お主やっぱりユニークスキルを持っておるぞ!肝心の能力は...なんじゃこれは...強すぎるんじゃないか...?」