俺の名前は飛竜 海斗 覚えておけ!
「ふぅ... これでここの分も終わりか」
周りを見渡して見る限りもう他のディメンションゲート通称「穴」(俺しか言ってないが)は無かった。
俺の名前は飛竜 海斗 16歳の冒険者だ。
これでも銀級下の称号を持っているため期待の新人とよくギルドの人や同業者の先輩にも何かと褒められるが、逆に同世代はそんな俺の事を嫉妬しているのかやたら嫌味じみた事を言ってくる。
ただ、内容はまったくの嘘っぱちで俺も他の人もそこまで気にするレベルでは無かった。
俺の職業でもある冒険者は、その名の通り各地に遥か昔から生成されている「迷宮」、「遺跡」や別次元へと繋がる「ディメンションゲート」などを攻略したりそこのモンスターを狩りをしたりする職業だ。
しかし、「迷宮」や「遺跡」は必ず地面に接して出現しているのに対し、ゲートは広く開きすぎて霧散しない程度の大気圧がある場所では何処でも発生するという事が分かっているため、「迷宮」や「遺跡」などとは比べ物にならない程に問題視されていた。
だが、穴のモンスターのドロップ品で作った「アンチゲート」により範囲内に発生する穴を範囲外にずらす事が出来る様になり、それは必然的にほとんどの貴族がいる都心部にほとんど置かれているため、穴を攻略する冒険者達は必然的に都市部から離れて狩りをしながら過ごしていた。
―8年前―
「海斗ー、そろそろ出るから準備しろよー」
「もう準備終わったよー」
「おう、早いな海斗は。じゃもう行くか。母さんよ、海斗と1ヶ月ほど富山辺りの山で稽古してくるから家頼んだぞ」
「はいはい。 海斗も強くなって帰ってくるんだよ?
それじゃ頑張ってきなさい」
「うん、分かったよばあちゃん! 行ってきます!」
俺は魔法の稽古をじいちゃんにつけてもらうためによくじいちゃんの別荘がある富山の山に連れて行って貰っている。流石師匠と言うべきなのか歩きでは1年弱かかる道をたったの1時間で来ている。
じいちゃんが移動する時に使っている「空気圧縮弾」だが、そもそも属性が違うため俺が使うのは到底無理だが、それでも風属性の最上級魔法であるため使える人でさえ少ないらしい。
それを移動に使えるぐらいに器用なじいちゃんが師匠だというのはなかなか幸運と言えるかも知れない。
「何か考え事か海斗?着いたからそろそろ降りてくれ。長い時間乗っけてるのはジジイの身に響くんじゃ...」
「うぇ? あ、本当だ。もう着いてる!ごめんね、じいちゃん。」
どうやら考えている間に1時間程経ってたらしい。
「それでじいちゃん、今日から1ヶ月で何の稽古してくれるの?」
「うむ、よく聞いてくれたな。流石海斗じゃ。それで今日から稽古するのは全属性の中級が使えるようになるための訓練じゃ」
「ぜ、全属性⁉︎ っていうことは6属性と無色属性の7属性全部?」
「違うぞ。確か海斗は個人魔法で雷属性を持ってるじゃろ? それも含めるから8属性じゃぞ」
「お、押忍...」
これは1ヶ月で出来る量じゃ無いんじゃないか?
何なら一年掛かっても無理な気がする...
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冒険者(15歳以上で銅級下の試験に受かった者 男女は問はない) 称号の基準
試験内容…試験を受けた日の日没までにゴブリンの死体と魔石を5個ずつ納品する
銅級下…ゴブリン5体倒せるレベル
銅級…ゴブリンを15体倒せるレベル
銅級上…小〜中規模のゴブリンの群れ(30〜60)を倒せるレベル
銀級下…オークを1体倒せるレベル
銀級…オークを5体倒せるレベル
銀級上…レイジオークかオークキングのどちらかを1体倒せるレベル
金級下…ワイバーンかグレイテストオークかブレイクシャークのいずれか1体倒せるレベル
金級…ワイバーンとグレイテストオークとブレイクシャークを1体ずつ倒せるレベル
金級上…キングオクトパスかドラゴン系のモンスターのどちらかを1体倒せるレベル
レジェンド…A級以上のディメンションゲートを制圧することができるレベル レジェンドの者が誰1人いなくなったときその時点での総合の一番狩り数が一番多い者を金級上から1人選び試験をせずに昇格させる
ここで出てきたモンスターは後々出る予定なので名前だけ片隅に覚えて貰えると嬉しいです。