プロローグ
むかしむかし、あるところに、双子の人形が住んでいました。
一人はふかふかの羽毛のように真っ白な服。一人は深い海のように真っ青な服。
白い服を着た人形はテトリ。青い服を着た人形はロージ。
それはそれは可愛らしく、持ち主のおばあさんにとても可愛がられていたそうな。
二人はおばさんの為にせっせと働いていました。
おばあさんの朝食を用意し、部屋のお掃除をし、庭に咲く白と青のバラの手入れをし……
夜になったらベッドに入り、おばあさんに御伽噺を読んでもらいました。
天高くそびえるレンガの塔。羽の生えたトカゲ。喋る絵画。どれも魅力的で幻想的だった。
いつか三人で外に行こうね。と。
しかしその日が来ることは永遠にありませんでした。
いつものように起きるとケースではなくおばあさんの腕の中でした。
生暖かくそれでいて、氷のように冷たく真冬のように寒い腕の中。
見上げた部屋は真っ赤に、美しかった純白の服は真紅の服へ。
隣で寝ていたロージの姿はありませんでした。
しかしいつも通り人形は一人分の朝食を作り、掃除をし、バラの手入れをしました。
目の前にあるものが死だとはわからなかったのです。
こうして人形は一人ぼっちになりました。
徐々に薄れていくおばあさんたちと培った感情。
誰も食べずに腐っていく朝食。
枯れていく青のバラ。
やがて人形は朝を迎えることは無く、独りケースの中で静かに時を止めました。