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80_現代学園伝奇ものはシンプルに人気が出るでしょうか?

 トムさんが、朝早く、登校していると、赤鬼が現れたので、退治しました。経験点2,897点と、16,000円を手に入れます。赤鬼は、大きな鉄棒を落としました。トムさんは鉄棒を手に入れました。鉄棒を装備しますか?

「いやしませんて。朝から物騒ですね。他の一般的な、例えば、普通の高校生がこんな状況に巻き込まれてしまっては、いきなり命の危機的なような気がするのですが、そのあたりのバランスは、どうなっているのでしょうか?テーブルトークRPGの神様」

『プレイヤーのレベルに合わせてモンスターを配置しておるから問題ないの』神様のメモ帳に答えが返ってきます。

「そのような場合だと逆に私にとっては弱すぎると思うのですけど?」一瞬で、素手によって殴り倒してしまった、赤鬼を思い浮かべながら、トムさんが尋ねます。

『正直な話、強くなりすぎたプレイヤーに対応できなくなっているという事情はあるの』

「暫定生き神クラスですからねー」トムさんが納得します。

『敵を設定したらもれなく世界の危機直結とか、次元を揺るがしかねない大事件とかに発展するからのー』シナリオを作るのも一苦労じゃからして、という愚痴が漏れてきます。

「それでも歯ごたえがあるかと言われると、多少手加減しないと開始後数秒でお話が終わりかねませんからねー」困ったものですね、と相槌を打つトムさんでございました。

『加減を間違えるとこの世界そのものがトムさんのせいでお終いになりかねんからのー』


「朝から何を物騒な会話をしているんだ君たちは」呆れながら、タケルさんが話しかけてきます。通学路に立っていたトムさんに気がついたようです。

「これは、現世世界の神様候補であるところで、同級生にして女子高生のタケルさんではありませんか、朝から会うなんて奇遇ですね」トムさんが誰かに説明しているかのように台詞を吐きます。

「誰かに説明しているのかおめーは。というか、隣に住んでいる幼馴染じゃねーか俺らは!」いい感じに突っ込みます。

『そこまで属性を盛っておったかの?』テーブルトークRPGの神様が、不思議そうな文字を書き込みます。

「……だってさ」トムさんがタケル君に伝えます。

「いや、設定って何よ!厳然とした過去から連なる事実だろ~がよ!」吠えるタケルさんでございました。

「最近過去とか経験とか根拠が薄くなってきたりしてるからなぁ……いきなり設定が生えてきても、不思議ではないのですよね」トムさんが肩をすくめて答えます。

「こうよって立つべきところがあやふやになって不安に駆られるから、そういう話は止めてくれ、頼むから。少なくとも神様候補だから俺、いくらか改変に対しては抗体がある、はずだよな?」ちょっと不安そうな顔になるタケルさんであります。

「いろいろ初体験の相手だったとか、モノローグでいきなり流れても、納得しそうで確かに怖いですよね」トムさんがさらりとひどいことを言います。

「だからやめろよ。冗談に聞こえないんだよ、というかこの記憶正しいんだよな!?」叫んでしまうタケルさんでございました。

『設定を書いたメモとかどこかに置き忘れると、結構あやふやなまま遊んだりするんじゃよなー』

「……だって」

「現実とゲームを混同するんじゃねぇ!」

『ゲームに失礼じゃものな』



「今日からお世話になります、平良あかねと申します。不束者ですが、これからよろしくお願いします」巫女服を脱いで、高校の制服を着た巫女様が転校してきました。

「何を言っているのかわからないぜ……」タケルが驚愕しています。

「いや、年齢的に制服は問題あるのではないでしょうか?……にあっているのが逆に怖いですね」

「前に頂いたものとデザインが違いますね、これ」あかねさんは、トムさんの台詞を華麗に無視して、近づいて、ターンをします。スカートがややふわりと舞い踊っていますね。

「あー、コスプレでした時のは、架空の学園物だったからね」あの夜を思い出しながら、トムさんが言います。

「何をやってたんだ、君たちは!」ちょっと顔を赤らめるタケルさんでございました。



「トム君と、苗字が同じなのはなぜですか?」モブ、つまり誰でも良い立ち位置で、クラスメイトであるという要素しか必要のない、という程度の意味合いの生徒が、質問します。

「結婚してトム様の籍に入ったからですよ」軽く、重大発言をしてしまっているあかねさんでございました。左手の薬指にはまった指輪を見えるようにしています。

 教室が蜂の巣を突いたような騒ぎになりました。


「いいのかよ?嫁発言されて?」タケルさんがトムさんに尋ねますと。

「まあ、事実ですし。こちらと結構気軽に行き来できるようになりましたから、立場を明らかにしておいた方が、面倒が少ないかなと。転校までしてきたのは、ちょっと意外でしたが」淡々とトムさんが答えます。

「お前でも、予想外なこととかあるんだなぁ」ちょっと意外そうにタケルさんが言いました。

「趣味であえて、展開を見ないようにしている、ということもありますけれど、あかねさんは、私の眷属みたいなものですから、抗体がしっかりしているので見えづらいということもあるのですね」トムさんが楽しそうに、言います。

「面白そうだな」笑った顔をまじまじとみるタケルさんです。

「恋愛関係的なやりとりなら、素の戦闘力とかがあまり働かないので、工夫する余地があったり、作戦とかを考えたりできるので、正直楽しいですね」トムさんが答えます。

「あーなるほど。単純なハックアンドスラッシュってもう意味ないものなー」タケルさんがゲーム的に納得します。

「最終コンテンツなら、まだ潜る価値がありますかね、というレベルですから。能力がカウンターストップしている上に、仕掛けなど丸裸になっていますからねー」肩をすくめるトム様でございました。

「神様クラスで、まだ価値があるとか、どんなラストダンジョンなのか逆に気になるぜ」タケルさんがちょっと震えたような声で言います。

「未来が予知できることが、最低限ですかね。任意に法則とか事象をねじ曲げることができないと、モンスターにダメージすら通りませんし」さらりと述べるトムさんでございました。

「それ、遊びの部類じゃないなぁ……」呆れているタケルさんです。

「テーブルトークRPGの神様曰く、『ゲームは遊びじゃない!』のだそうですけど、まあ確かに、実利があるなら遊びとは言い切れないかもしれませんね」ちょっとずれた返答をしているトムさんでございました。


「授業とか普通についていけるのですね」教科書すらあらかじめ用意してあったあかねさんの手際の良さに驚きながら、トムさんが言います。

「こちらに来られることが分かった時点で予習しましたし、物理法則はそれほど違いませんでしたから、数学とか理科系はそれほど無理なく頭に入りましたね。語学とか歴史とかはまあ、高いステータスを武器に丸暗記しましたので」あかねさんがさらりと、業間休みで課題のプリントを手を止めずに埋めつつ、返事を返します。

「……何気に優秀なのですけれどもこの人」タケルさんが呆気にとられています。

「向こうの世界の師匠でもありましたからねー。後半、私のステータスが神(笑)レベルになったあたりで、幕間にモンスター狩りとかしてもらってましたから、30秀才か、10天才レベルの かしこさ にはなっていると思いますよ?」なぞ単位で、妻の頭の良さを表そうとしているトムさんでございました。

「なんなんだろうその単位。というか、天才1が秀才3に対応しているのか?それって数に意味があるのか?」タケルさんがツッコミます。

「それだけの数の秀才か天才が揃えば勝負になるかもしれないという単位ですかね?感覚的なものですけど」首をひねって曖昧に答えるトムさんでございました。

「ちなみにその単位だと、神様(笑)レベルはどうなるんだ?」興味本位で尋ねてみるタケルさんでございます。

「人間の範疇ではないから、比較できないかなぁ。まあ、神様でも残念な知能の持ち主もいるから、一概には比較できないけれども」トムさんがさらりと答えます。

「いるなのかあ、そんな、残念な神様……、何を探しているんだい、トム」キョロキョロとしたり、カバンの中を探りだしたトムさんへ向かって、タケルさんが尋ねます。

「いやちょっと鏡を探していたんですよ」さらに探しながら言うトムさんです。

「ほう……何に使うのかな」

「君を写そうかと」タケルさんに、綺麗に頭を叩かれるトムさんでございました。



「とまあ、神様(笑)レベルまで成長してしまったキャラクターも、日常回を回していく分にはまだ、楽しめるのではないかと」トムさんが唐突に述べます。

「……何を言っているのかな君は?」胡乱な表情でそれを眺めるタケルさんでございました。

「いや何ね、個人としてはもうこれ以上はないくらいのところへ上り詰めたわけですよ、私」トムさんが語ります。

「まあ、そうだな。ほとんどできないことはない、神様だものな、俺もまあ、似たようなものだが……」頷くタケルさんです。

「それでもタケルさんは、これから立派な神様になって、先代が築き上げた世界を守り導くというストーリーが用意されているわけですから、なんというか続くわけですよ、こう展開?お話?みたいなのが」ちょと私とは違いますよねと、会話を続けるトムさんです。

「そうだな、ちなみに、当面の敵はお前だからな!好き勝手に世界を改変してくれやがって、整合性をとって発展させていくのに、これからどれだけ俺が、苦労するのか、わかっているんだろうな!」思いだしたとばかりに怒り出すタケルさんでございます。

「そうですね。ここは立派な敵役になって、超えがたい壁となって立ちふさがるべきでしょうか?」真剣に悩んでいるように見えるトムさんでございます。

「いや、やめてくれ。お前が真面目に敵になると、世界が詰むよーな気がするから。そしてこの直感は神的に、間違いないと確信できるし!」エキサイティングするタケルさんでございました。



「メタフィクションぽいセリフが続くのはどうかと思うのですけれども、神の視点を持ってしまったが故の弊害と言いますか仕様でありますね。なぜならば、世界の構成要素でありながら、それを自由に設定できるという要素を持ってしまっているわけでありますから。物語の登場人物がそれであると意識した上で、自由闊達に文章を書く加えるような、存在に他ならないわけですよ、つまり神というものは」時が止まったような教室で、とうとうと語り始めるトムさんでございます。

「まあ、そうだろうな。その気に成ったら、法則そのものからテコ入れして、世界を改変できるわけであるし、こうしたいと思えば、多少不自然さが残るかもしれないけれども、必ずそうなるわけであるし。設定上不可能な行動が少ないというか、矛盾を起こさなければ、それに制限はないというのが、力がある神様と言う立ち位置であるわだな」タケルさんも言葉を返します。

「であるならば、なんでもできて、どのような問題でもさほど苦労することもなく解決する、と言いますか、問題が発生したことさえなかったことにできるような能力を持った人格を、いかようにして物語として綴っていけば良いのであろうかと。全てが自由になるが故に、それそのものが葛藤となってしまうわけでありますね。なんというか、面白味に欠ける人生が待っているような気がいたしませんでしょうか?」ちょっと真剣な表情で語りかけるトムさんでございます。

「面白いかどうかで言えば、究極の予定調和でしかないわけであるから神様というのは、先の展開がわからなくてドキドキするとかはないわな。仮になんでもできる神様的存在が主人公になった物語とかあったとしたら、どのような問題でもなかったことにしかならない、そもそも先回りして問題すら起きないわけであるから、スリルとかサスペンスとかアドベンチャーとか、その手の娯楽には向かないだろーなー」的確に問題点を指摘していくタケルさんでござました。

「なので、自分自身で楽しむためには、未来予知を封じたような行動をしたり、能力を制限を課したりしたり、お間抜けな人格を作り出して、オートで運用して眺めたりしたり、してたんじゃないかなと、一般的な神様というものは。それでも飽きたら、考えるのをやめたりしたり。まあ、時間の概念がないので、そういう面を同時に見せて、矛盾にならない矛盾を楽しんだりしているのかもしれませんが」トムさんが予想を述べてみます。

「すべて同時にしているわけだからなー。いや時間の概念にとらわれないのであるからそもそも同時というのも矛盾しているわけであるが……うがー!なんでこんな話をしてんだ俺たちは!」髪をかきむしって吠えるタケルさんでございます。

「このように世界を作るとか、干渉するとか、つまりは生きていく、行動していくことについての意味付けをしておかなければ、何事も空虚なものとなるわけであるけれども、そもそも一切が空であることが前提と成っているわけであり……とか理屈をそれっぽく繰り込んでいくのが楽しいということではなかろうかと、つまりはそう見せるのが目的であるのかなあとか思ったりするわけですよ」トムさんがちょっと笑いながら言います。

「誰に見せてるんだよ!」タケルさんが吠えますと。

「観測者かなぁ?見られることで実存を得るということは、つまりは、興味を引かなければならないということであるかとか、発想するわけですけれども、全てを見通す存在とかそれに近いものたちが、有象無象としている現象界隈であることが、すでに証明されているのであるから、その行為は、無駄なものとなるわけでありますね。そうすなわち、趣味的なものへ昇華されるわけでありますなどという発言にしてしまうと、高尚な感じかしないかい?」立て板にミミズ落としのごとく流し込んでいきます、トムさんでありました。

「いやもう何を言っているのかわからねーよ」タケルさんががっくりとしています。

「それならば成功ですね」計画通りと笑うトムさんでございました。


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