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76_時系列を弄ってもシンプルさは忘れずにしましょう。

 「叙述トリック?というのですか。あえて前後のつながりを誤解させて、面白さを演出するという技法があるそうですね」トムさんが話しを展開していきます。

「あるな、結構古典的なものから、最近のものまで、うまく騙された感じのものがあると、楽しいよな、俺結構好きだぞ」タケルさんが同意します。

「それを、トリックなしでしてしまうのが神様的な能力である、とするとわかりやすでしょうか?」トムさんが続けて言いました。

「いや、それはどうなのでしょう?ええと、つまり時間に関する認識をごまかしているのでしょう、それは、事実は変化しなくて、情報の与え方を変化させているだけですよね?」あかねさんが反論をしてみます。

「その情報と事実が同じ存在であるのが、神様的なのでありましょうか?こう、事実そのものを話しを語ることと同時に現出させることができているわけですね。物語を作る立場にあるのが神様と言ってもよろしい、のではないでしょうかね?」トムさんが言葉を返します。

「まあ、そうだな。神の視線とか目線とかいうものな。映画の作り手とか、小説の描きて、漫画の作者、つまりは、クリエイター側であるわけだ、で、それを現実の世界で行っている、のが、神様というと、わかりやしーのじゃねーかな?」タケルさんが補足します。

「そうじゃな、わしが司るテーブルトークRPGでも、ゲームの中の設定やら、世界やら、そこに住む生き物やら、しっかり準備して創生しておるわけであるし、ゲームマスターとか呼ばれる存在が、万能に近い能力を持っているとか表現すると、それほど、神様像から離れておらんの」身振り手振りを交えて、解説を広げるテーブルトークRPGの神様でございました。

「そう表現すると、わかりやすいですね。自分で作り出す物語なら、好きにできるわけですし」納得するあかねさんでございます。

「そう、いいきれないところが、この創造系の神様がもつ制限なのですが」トムさんがちょっと、話しの方向を変化させます。


 「世界を作り出す、物語のように演出するという能力ゆえに、大きくひとつ制限が加えられてしまいまして。結論から先に言いますと、整合性をきっちりと取らないといけない、とか、脈絡なく、前後のつながりを無視してはいけないとか、そもそも、理解できないような情報だけで構築できないとか、とかありまして」トムさんが制限を述べます。

「理解させるように世界を作ってしまえばよろしいのではありませんか?」疑問を抱くあかねさんです。

「結局筋道を立てなければならないのであまり意味がないのですね、文字列のランダムな羅列、のような世界でも作れないことはないでしょうけど、そこに何か意味を見出せなければ観察できない、わけでありますし、第一人気が出ないです」

「?人気とか関係があるのですか?」

「あるな。何者かに観察されることで確立する世界というのが創造系の神様の基本であるからな。まあ、自分自身のみで観察をして完結することも多いが、人格があるように見える神様は承認欲求があることが多い、んだな、だから自分の作った世界を見て、情報を、こう熱量としての、情報を欲している、んじゃねーかな?」いや俺は最初っから何かを作り出す役割じゃなくて、維持管理が主体、と見込まれている神様候補だから、正確なところはわからんのだが、と続けれうタケルさんでございました。

「つまるところ、物語として波状しているような世界は、作成することができない、という制約があるわけですね」トムさんがまとめます。

「まあ、面白くて、注目が集まるなら、少々波状していたり、伏線が回収されなかったり、ノリで設定が改変されたりすることは多いのじゃがの、ようは、人気商売のようなものじゃな」それを、テーブルトークRPGの神様がかき回します。


 「つまるところ、観察に付き合ってくれる、もしくは、その存在が、目が離せないくらいの興味深い展開を無理なく行う、行わなければならない、という制約が、神様側にある、ということですね」トムさんが言います。

「そうなのですか。それをしないと神様として成り立たないのですか?」あかねさんが確認します。

「神様であることは変化ないでしょうが、力が大きい、つまりは、影響力が高いということですが、そのような存在にはなりにくいという、表現ができるでしょうか?」トムさんが言います。

「たまに、誰が見てるんだろーな、と言うような世界を作っている神様もいるわけだが、最低でも自分で見れれば良いかな、というスタンスなのだろうよ。であっても自分が理解できないような世界は作ろうとしないことが多いし、思考体系はこれは結構人間から乖離したようなものは、出てこないからな、結果として、ことの成り立ちやらが隔絶したような世界は出てこなわけだ」タケルさんがフォローします。

「と言うよりも、人間よりの思考を中心とした一群が観察しているからこそ、同じような思考形態で世界を構築しようとしているという、面もあるわけじゃが」テーブルトークRPGの神様が、他の一面を説明します。


 「まあ、これら全てこじつけなわけですが」

「いろいろと台無しですね、勇者さま」



 「結局の所、すでにある状況からの後付けでしかないわけでありまして、神様というのは、常に結果から先に存在しているものである、と言えるわけですね」トムさんがずんばらりんと切り裂く発言を放ちます。

「どのように発生するのかではなくて、そこにあるから、成り立ちを推測するとかでしょうか?」あかねさんが噛み砕いてみます。

「つーよりも、神はそこに在るわけだよな、でそこに至る道筋というのが、多数同時に作り出すことができる、ていうとイメージしやすいか?」ちょっと首をひねりながらタケルさんが言います。

「なんでわしが存在するのか、という疑問は、とりあえずそこにすでにあるよな、という事実から出発しているわけじゃな。在るものは在るとしか言えんという結論がまずあるわけでの、それに至る過程は、好きなものを選ぶがよろしかろうと、まあ、趣味の範囲であろうかな?それら全てを内包できる懐の広い存在が、神と言うものであるとも言える、んじゃないかの?」理屈ではなくて感性のジャンルであるぞ、と言い切ってしまう、テーブルトークRPGの神様でありました。

 

 「逆にそこにいないのではないか、という否定から、議論を進めてしまう手もありますね。本当にそれがそこに存在しているのかどうか、証明をしてみて、存在しないという根拠を全て否定すると、存在が肯定されるというロジックでありましょうか?」トムさんがさらに議論の方向性を示します。

「あー、仮に神が不在であるという定義?観点から始まる議論だな、それも昔から結構あるなー」タケルさんが言います。

「言葉遊びに過ぎないとか、言われたりしとったの。観察とか実験ができない現象を取り扱うのはどうなのじゃろうかの、とかいう意見もあったようじゃろ?」テーブルトークRPGの神様が言います。

「そうだったかもしれませんね」トムさんが、確認したほうがいいかもしれませんが、と言います。

「まあ、わしらにとっては実際に神が居ることを知っているからの、あまり意味のない理論ではありそうじゃが」テーブルトークRPGの神様が自信たっぷりに言います。

「本当に私たちはここに存在しているのでしょうか、という議論から始まるので実は無意味ではないわけですが」足元が不安になりそうなことを言い始めるトムさんでございます。

「あー、まあ、哲学的な話というか、基本的な議論のとっかかりだよな、”私は存在しているのか”とか”存在するとは何なのか?”とかいう問い、突き詰めていくと、無限に深いんじゃねーかなという話に発展していくか、どこかで思考停止しないといけなくなるやつな」皮肉げに言うタケルさんでございました。

「自我とか、思考とか、そもそもこの議論をしている物の主体とは、とか、確かにキリのなさそうな議論が展開しそうではございますね」あかねさんが、冷静に突っ込みます。

「わしは常々そのような議論が始まったら言っていることがあるのじゃが、それは面白いのかの?とか、今やる必要があるんかの?とか、このコンテンツでする必要があるのか?というコメントじゃが」空気を読まないテーブルトークRPGの神様でございます。

「意味はなくとも、価値はあるんじゃねーの?」さらりとぶっこんでくるタケルさんでございました。


 「前に、他の人との話でありましたが、言語で説明できないけど、私はそれを知っている、というような議論展開でごまかしたことがございましたね」トムさんが身も蓋もないことを言いだしました。

「あれごまかしだったのですか?」あかねさんが驚いております。

「ごまかしだろ、それ、どうして知っていることを証明するんだよ?いや俺にはわかるけど、神、候補だし」タケルさんが言います。

「わしもわかるな、神だし」テーブルトークRPGの神様も同意します。

「ええと私にはわからないのですよね、仕える巫女というかすでに神様の眷属ですけれども?」あかねさんが尋ねます。

「そうでしょうね、言語に縛られない思考と言いますか、論理的な展開ではありませんから、直感という表現が近いわけでありますが、それは、ただ、分かるものですから」トムさんが言います。

「そうじゃな、近い概念でいうなら、尊い、とか、エモいとかじゃろうか?」ちょっと得意顔で言うテーブルトークRPGの神様であります。

「無理して、それっぽい今時?っぽい言葉をチョイスしてんじゃねーよ、普通に気持ち悪いわ」タケルさんがバッサリと。

「ちょ、ひどくね!?一応わし神様よ!?」芸人それも売れてない系列のような受け答えをしてしまうテーブルトークRPGの神様でございます。

「俗っぽいのですよね、相変わらず」冷静に指摘するあかねさん(元テーブルトークRPGの神様に仕える巫女さん)でございました。


 「神様の定義というものの認識を擦りあわえせましょう、というのが、この話し合いの発端だったわけでございますが」トムさんが議論を大きく引き戻していきます。

「どうしてこうなったんだろうかな?発散しまくりじゃね?」タケルさんが呆れた声を出します。

「そもそも、定義しきれないものじゃからのー、ある程度の御都合主義的な設定で満足したらどうじゃ?大事なのは、繊細な設定でなくて、そこに乗せる物語じゃろ?」したり顔で言うテーブルトークRPGの神様でございます。

「正論に聞こえますね、恐ろしいとこに」あかねさんが慄いております。

「まあ、継ぎ接ぎだらけ、矛盾だらけの世界設定だと、引き込まれることもないわけでございますが」トムさんが、釘をさします。

「うまくだますというのは、現実でも虚構でも等しく必要な技術であるよな。まあ、俺ら神さまサイドだと現実も虚構も、価値は等しいわけであるけどな」けけけと笑うタケルさんでございます。

「好きに定義してしまえばよろしいのでは、という結論が先に出てきてしまいそうでありますね」トムさんがやれやれという口調で申しますと。

「それで何が悪いのでしょうか?」とあかねさんが素朴な疑問を放ちます。

「……よく考えなくても別にそれでいい気がしてきましたね?」トムさんが、疑問を捉えました。捌く気もなさそうな口調です。


 「何者かが観察する上で、注意してもらわなくてなならない点を、述べるだけでよろしいような気もしますね」トムさんが色々諦めた発言をし始めます。

「どうやっても正しい答えって出ねーもんな」あっけらかんとしていうタケルさんです。

「まあ、言葉遊び以上の意味は出てこんじゃろうなー、別にそれがいかんというわけでもなかろうが」テーブルトークRPGの神様が締めくくろうとします。

「こう言う議論が楽しいか楽しくないかというと、楽しかったですよ私は」あかねさんが追従します。

「楽しいかどうかだけで判断し過ぎているのではないか、という反論はあるわけでありますが。ずーと楽しい、最後まで楽しいのであるなら、それは正義と言ってもいいような気がしますね」トムさんが笑います。

「いや、何かそれ駄目じゃね?こう、何とも言えないし、反論も明確にできねーような気がするけど、お前の人格的に駄目じゃね?」タケルさんが複雑な表情で言います。

「議論をしないで人格を攻撃するのは、よろしくないですよ?」トムさんが指摘します。

「言ってることは正論なんだよな!でもお前が言うな感がひどい気がする、いやこれも人格攻撃ではあるんだけどな!矛盾しか感じないけど釈然としないのはなんでなんだ!?」うがーと、髪の毛をかきむしるタケルさんでございました。

「まあ、神からして矛盾の塊であるわけであるし、それが作り出したように観察できる人間がそうであっても不思議はないわな」呵々大笑するテーブルトークRPGの神さま。

「こんな神さまに作られたと知った時の、被創造物の絶望感が、半端ない気がいたしますが、そうですか、これが、希望が一切ないという状態なのですね」気がつきたくなかった、逸らしていた視線が、ふと焦点を結んでしまって、瞬時に目が死んでしまうあかねさん(人類代表)でございました。


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