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74_アドリブのみのシナリオはシンプルですね。

 「正直、ノリと勢いでやってしまった感はありますね」トムさんは言いました。

「ノリと勢いだけで人生を構成している奴が今更何を言う!」的確に突っ込んでいるのは友人かっこはてなのタケルさんでした。

「世界創造をその場の勢いだけでやってしまう。つまりノリって怖い、というセリフを言うべきでしょうか?」冷静にコメントをする、巫女のあかねさんでございました。


 「現状を確認しましょう」冷静にその場の雰囲気を切り替えるトムさんでございます。

「異議は無いな。というか、そうしなければ混乱のまま間違った方向へと進みそうであるし」同意するタケルさんです。

「そもそも正しい方向があるのかという、方向の定義から始める必要があるかもしれません」あかねさんが、議論を深めようとしています。

「まずは自らの立ち位置から確認する必要があるのでしょうか?」何からするべきかを議題にあげます。

「おいそれはどこまで定義するのだ?自己の存在を証明するとか、自我とはとか、そこまで掘り下げると、キリがねーぞこら」少々うんざりしたような声でタケルさんが言います。

「そのあたりは、ほら、二人というか、二柱様も神様であらせられますから、すでに答えは悟っておられるので、省いてもよろしいのでは?」あかねさんが指摘します。

「神が自己の存在を定義できない、可能性もあるのではないでしょうかね?そもそもまだ神にはなっていないですし、それに限りなく近い人であるという認識なのですが?」トムさんが反論します。

「俺もだな、自分が何者であるか、は完全に定義できねーが、少なくとも神様ではないと、言える……気がするぞ」多少、断言しづらそうに言うタケルさんでありました。


 「そもそも認識のすり合わせとして、神、という存在の定義からしたほうがよろしいのかな?」トムさんが言いました。

「それは常々、俺も疑問に思っていたな。お前の神と俺の神はどこか違うような気がしているし」タケルさんが同意します。

「漠然としたイメージで、すごい存在だというくらいの定義付けだったような気もしますしね、確かに」あかねさんはちょっと頷きながら、言葉を続けます。


 「どんなことができると神様だと思いますか?というところから、思考を始めてみましょうか?」トムさんがとっかかりを投げかけます。

「そうだな、いいんじゃないか?目に見えるもの、実在して観察できるもでないと確かではないとする、のは自然な流れだよな」タケルさんが同意します。

「観察する方の、センサーの精度が低くて見えないという可能性とか、そもそも観察方法がまだ確立されていない事例をかはどう致しましょうか?」変化を及ぼしているのでありますけど、それを検証することができない場合について、言及するあかねさんです。

「そもそも、神様にしか感じ取ることができない変化とか力とか、どう証明するのかという問題がありますね」トムさんも首をひねります。

「だいたい、神様ごとに感じられるかどうかとか、感覚の違いとかがあったりする可能性もあるな」指摘するタケルさんです。

「理想とか、推論で話しを進めてみるのはいかがでしょうか?」あかねさんが助言します。

「とっかかりとしてはそちらの方が良いのでしょうか?」トムさんが尋ねます。

「まあ、理論から先に立たせて、後で実験とか、観察とかして実証してみるのは定番だよな」タケルさんがフォローいたします。

「……幾つかのサンプルを観察、比較してみるという手もありませんでしょうか?」あかねさんが、別のアプローチを提示します。


 「サンプルというと、テーブルトークRPGの神様とか、他の接触できそうな方々でしょうか?」トムさんが確認します。

「話を聞くに、一般的な神様というカテゴリではなさそーなんだが。いや、突飛なことをしでかすのは、古典的な神様らしいといやあ、そうなんだがよ?」ちょっと頭をかきながら困った顔をするタケルさんです。

「多神教の人間のような喜怒哀楽がはっきりしている、神様のサンプルとして、聞き取り調査とかできるのですから、それはそれで有益ではないでしょうか?」あかねさんが指摘します。

「言われてみればそうですね、現役の神様に、神様というのはどう定義されるのですか?と聞ける機会なんて、めったにないものではありますね」トムさんが納得します。

「おい、そう簡単に他の神様とか、コンタクトが取れるのかよ?」納得しないタケルさんでございました。


 「できてしまうんだなこれが」軽い、あくまでも軽い口調で、おっしゃられているのは、白く長いお髭がトレードマークのテーブルトークRPGの神様でございます。

 明るい灰色をベースにしたスラックスに同系色のジャケットを合わせています。お髭に隠れていますが、シャツに紐ネクタイがちょっとオシャレさんかもしれません。

「前に着ていたの白い巻頭衣じゃないんですね」トムさんが尋ねます。

「ぶっちゃけTPOは守るんよわし。モンブラン頼んでいいかの?好きなんよ、栗」うひひと笑いながら席についている神様でございました。

「いいのか?こんなに簡単に神様が降臨してしまって?」頭を抱えているのがタケルさんでございます。

「どうでしょうかね?そもそもこれが神かどうか?という定義もまだでございますし、むしろ、ただ自分が神様だと思い込んでいる、こう、治療の必要な方かもしれませんね」ちょっと辛辣な意見を言っているのがあかねさんでございます。

「こう、もう少し優しい言葉が欲しいのう。曲がりなりにも、元ワシの巫女じゃろうが?」情けない顔になるテーブルトークRPGの神様でございました。

「元巫女だからこそ、見切っていると、お考え下されば」さらりと返す、あかねさんでございました。


 「神様とは隔絶している存在であるとするのがよろしいのでは?」トムさんがちょっと考えて言いました。

「えーと、人間から離れているという意味か?」タケルさんが確認します。

「技術とか、能力とかが、人間よりも便利に使用できて、しかもそこに至る道筋が容易に想像することができない、くらい離れているとか、そのような感覚でしょうかね?」トムさんが補足します。

「確かにの、人間が神に至る世の中であるから、全く到達できないような技術ではないであろうが、そこまでの道筋が全く見えないで、結果だけが、そこの存在する、となるのが、我ら神様という立ち位置であると言えないこともないがの」白ヒゲのテーフルトークRPGの神様が、マロンケーキをフォークで切り分けながら言います。

「そうなんだよね、こう、たどった後から振り返ってみると、必然的な足跡がはっきりと見えるので、それらしくはないけれども、そうだね、火を知らない集団に、それを自由に操ることのできる存在が現れたら、それは、十分神と崇められ奉られるようなものになるよね、という感じでしょうか?」トムさんが例えを出してみます。

「大多数の認識が常識以上であるような、都合の良いような、系統が違う力を感じさせる、技術の積み重ねが、道筋が違う、もしくは進みすぎている存在に、神様を感じるということでありましょうかね?」あかねさんが、まとめてみようと試みます。

「多くの人に技術として再現性があることを示せない、技術とかを持つ方を神と定義する、でいーんじゃねーか?じゃ」タケルさんがまとめてみます。


 「とするならば、神とは、多数の存在の思考停止を体現した像であるといことも言えそうではありますね、つまりは、どうやってもそこへ至ることができなくて、あれは、あれであると、別途カテゴライズし直してしまうような、存在に、貶めるという感じでありましょうか?」トムさんが淡々と続けます。

「理解することを諦めさせる存在を、象徴的に表したものが、神様ということですと、それは、科学が敗北したという、印ではないであろうか、とか、どこかの誰かが嘆きそうな、ものいいだな、おい」ちょっと乱暴な口調で返すタケルさんでございます。

「何至ることができる存在を神とは定義しないとか、するならばそうですが、遠くには見えるけれども、時間さえかければ到達できる存在であっても、それを神と表現することもありそうではありますよ?」あかねさんがフォローいたします。

「遥かなる時間が必要、無限という意味合いでもよろしいでしょうが、実際には淘汰できるとは思えないものを、ごまかして表現しているだけであって、それは本質的には諦めでしかない、とか言いそうなかたもおられそうですね」トムさんが、議論を続けます。


 「神とは、人が諦めを示す場合の幻想である、とすると、実在しているわしらなんかは何じゃろうな?ということになるのでな。まあ、物理的に神様が存在しているという、結果がすでにあるからの。概念上の存在ではなくて、ではそれは何であると、定義するのか?という問題であるのかの?」神様自身が自分の存在をどう定義するのかを、議論していますね。

「神様自身ではどう定義しているのですかね?」そこのところはどうなっているのでしょうかね?とトムさんが、テーブルトークRPGの神様へと尋ねます。

「在るものは在るとしか言いようがない気もするがの。そうじゃな、簡単に一言で言い表すならば、現象であろうかな?どうして生まれたのかとか存在しているのかは、そのような法則になっているとしか答えられないじゃろう?」韜晦しているような神様の弁であります。

「そもそもその法則そのものを設定できますよね、神さまって?」トムさんがその前提に突っ込みます。

「すべての法則が等しく存在しているだけであるので、特定の法則そのものを神が設定しているわけではないぞ?」ちょっとわけがわからないことを言い出す神様であります。

「ああ、すべては観測している瞬間瞬間の様相の問題ということでしたか」納得するトムさんであります。

「そうじゃな、主体はむしろ見ているほうに、センサー側に存在する、としてもいいんじゃないだろうかの?」


 「話がずれているような気もするぜ、結局神様というのは、俺らの共通の認識としては、どのように定義するものなんだよ?」議論が発散しそうになってきましたので、タケルさんが要点をつきます。

「大多数の観測者が、認識する時と場合において、その能力が、大多数から逸脱した、隔絶したように見える者を、神と呼ぼう、でいいのではありませんかね?」トムさんが答えます。

「じゃあ、現在、大多数の方の共通認識、常識とか言うのですかね?それから大きく逸脱した知識とか力とかって、具体的には何なのでありましょうか?」あかねさんが尋ねてみます。

「そもそも今、普通の人間ができるとこって何なのでしょうかね?」以外と常識を知らないような気がしますね、とトムさんが言いました。


 「こう生命以外のものからの生命の創造とかですかね?現実的な生き物の創造という意味合いですけど」トムさんが指摘します。

「……現状では難しそうだけどよ?いずれできそうな気がするぞそれ、少なくとも未来へのイメージとしてはありそうだ」タケルさんが答えます。


 「過去の世界への干渉とかでしょうかね?こうもしもあのとき、という欲望を実現してしまう能力ですが」あかねさんが言います。

「時間を遡る移動は果たして可能かどうか、議論は結構深く行われているわけではありますが、未来から過去に人が訪れている事例が確認できていないので、そのような行為が可能とはならない、ということが証明されているのでないでしょうか?という仮説がありますね。これはまあ、結構納得のいくものに見えますので、それができるなら神様認定してもよろしいのでは?」トムさんが言います。

「じゃろうの、で、わしそれできるしの」神様が答えます。

「タイムパラドクスとかどうなるのでしょうかね?」トムさんが確認します。

「ケースバイケースじゃの、俯瞰するとつじつまが合うようになっているとか、別の可能生が主体になる世界へ観察対象が移動するとか、認識そのものが変化するとか、改変されたことに気がつかないというのが一番ありそうなパターンじゃないかの?」テーブルトークRPGの神様が言います。

「結構いい加減だな」タケルさんが呆れて突っ込みます。

「神様ってのは、結構フレキシブルなんじゃよ、臨機応変ともいうし、ご都合主義の権化でもあるからの。なんでもできるという幻想が、神様の本筋であるしの」神様答えます。


 「法則を解明するのは、多くの人間が共通の能力のうちで行えることですけど、新しく法則を作り出せば、それは神様といえるのではないでしょうかね?」トムさんがさらに指摘します。

「世界のルールを決めるのじゃな、うむ、得意技じゃの」頷くテーブルトークRPGの神様でございます。

「物理の基本的な定数を決めることができるということか?……むちゃくちゃじゃねーか、重力とか光の速さとか再設定できるわけだろ?」タケルさんが、驚いています。

「基本的な力の関係とかから変更できたり、粒子の振る舞いを設定したり、世界というか、この場合宇宙といえばいいのですかね?それらのパラメタ設定が可能ということでありましょうね、確かにそれができれば、創造神とか言ってもいいのではないかという、イメージにはなりますね」トムさんが言います。

「このひどいのが創造神ですか、にわかには信じられませんね」あかねさんが、ケーキのクズで白いヒゲが汚れてしまったのを気にしている、テーブルトークRPGの神様を、斜めに見ながら言います。

「誠に辛辣な言いようじゃの。まあ、変化に感じられる差の高低はあろうが、根本的に、物理法則を設定できるという意味では創造神と言われても間違いではないの。リソースさえあれば、新しい宇宙くらいなら作れるしの」ちょっと驚愕な事実をさらりと言い放つテーブルトークRPGの神様でありました。








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