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70_シンプルに時間が経つと伏線が飛ぶことがありますよね?

 「ということで、いろいろ解決しましたのでご報告をいたします、巫女さま」

「お疲れ様です勇者さま、本当に身も蓋もないのですが」

「魔物も魔族も魔王も脅威ではなくなりました、世界は平和になりました、まる、となればよかったのですが。現状、魔王軍とそれに連なる一群は、物理的に隔離しまして、大陸一つを生存圏に設定してもらいました、まあ、もともとの本拠地を、まっとうな手段では到達できないように障害を設定しただけですが、人間側の諸々技術がこのままの速度で推移してブレイクスルーを何度が行っても順当に行って1000年くらいは時が稼げるのではないでしょうかね?ただ、世界のシステムとして生まれてくる魔物というか、怪物?はそのままですので、完全に平和とは言えないでしょうね」

「どうしてそのような仕様を残されたのですか?勇者さま」

「複数の神様がその権能で干渉していましたからね、この世界。それをざっくりハックして作り変えるほどの情熱がありませんでした、といいますか、一息に調整するのが面倒臭いですよ、取りあえず、知的な生命体までになっている魔族?怪物?は隔離しましたので、あとはこの世界の住人と、趣味神に任せてしまおうかと。というのも、結構この世界怪物由来の資源が前提にあるような、構造をしていますので、そこを取り上げると、あっさりと社会が崩壊するのですよね、巫女さま」

「そうなのですか?勇者さま」

「このシャヨ国はまあ、それほど影響はなさそうですけどもね、何しろ自給率100%越えですし」

「農産物に関して言うなら、そろそろ300%くらいきそうですね、いろいろ基準がおかしいですし?勇者さま」

「ともあれ、この国の外は、怪物がいること、それから資源が取れることを前提として人口統制が行われていますし、人減らしの対策にもなっているようですから、ここでサクッと怪物の噴出を止めてしまうと、人道的に困るようですね、なんとも業が深いようなそうでもないような?」


 「魔王の皆さんは納得されたのでしょうか?」

「せざるをえないというか、制限されていた思考を解除しましたからね、まっとうな生き方というのはどうかとは思いますが、少なくとも生き物して正常?妥当な方向性には行くとは思いますよ?まあ、中にははねっかえりとかいまして、人間世界にちょっかいを掛けるのも出てくるでしょうけど、少々なら、人生のスパイスになるでしょうね。種族全体として人間に関わろうと害を及ぼそうとかはまあ、間違っても発想しないのじゃないでしょうかね」

「それはどうしてでしょうか、勇者さま」

「僕が釘をさしてきたからです。まあ、そもそも存在として人間を捕食する必要があったという前提を崩しておきましたから、人に関わる意味がなくなってもいますし、障壁は魔族にも有効ですから、出入りは結構難しいのじゃないかなと。なので、そもそも隔離されなかった、大陸に渡らなかった、人間世界に残った連中が細々と趣味的な悪さをするくらいはあるかもしれませんが、多勢に影響は無いと、みました。むしろ前述したようにちょっとしたスパイスになったり、魔王とそれに繋がる歴史が風化しないようにする役割が求めらたりするんじゃないでしょうかね?」

「ええと、世界の安全のためには魔王とかは忘れられた方がよろしいのではありませんか、勇者さま?」

「どうでしょうね、ある程度のストッパーがある方が、傲慢な人間が増えすぎないという予測もできますし、遠い未来において、再び出会う時の障害が減ったりする可能性もありましょうね。まあ、逆に悪辣なイメージが確立して再遭遇即大戦争とかも在りえそうですが、そこはそれ、適度な刺激というものでしょう、と、うちの神様も言っておられましたし」

「ああ、テーブルトークRPGの神様ですね、相変わらず適当なことを曰っていますね、あれは」

「それの巫女さまでしょう、あなたはいいんですか?」

「元ですから、大丈夫ですよ。今は勇者さまの巫女でございますから」


 「というわけで、魔王退治?は終了しました、王様」

「おお勇者よ、山場も何もないあっさりとした物語にしてしまうとは情けない」

「いえ、最初の目論見通りにいかないのが、テーブルトークRPGの醍醐味ということだそうでして、まあ、盛り上がりに欠けるという点については同意しますが」

「世界を救ってしまった勇者よ、これからどうするつもりじゃ?」

「どうしましょうかね?」

「当面体が開いているなら、大根の収穫が近いのじゃが?」

「最初からぶれないキャラですよね、王様」

「おでんとか好きではないかの?」

「好物ですね、手伝いましょう、王様」


 「今更ですが、練り物とか、こんにゃくとか、練りからしとか、どこから出てくるのでしょうか?」

「おお勇者よ、そのようなものコンビニに行けばいくらでも手に入るぞ、情けない」

「いや、王様その言い方はおかしいような?というかコンビニできたのですか?」

「神様に頼んでおいたからの、郊外大型ショッピングモールも建設予定、だそうじゃぞ?」

「本当ここどこにあるのでしょうかね?というか、テーブルトークRPGの神様、自重しませんね」

「なんでも、もう終わってしまったコンテンツだから、どう魔改造しても問題ないと、曰っておりましたよ、勇者さま」

「それもどうなのでしょう、巫女さま」

「次はレンタルビデオショップが欲しいのう」

「再生機器あるんですか?」

「そのあたりは、道具屋のビルさんに頼めばなんとでもなるのからのう」

「万能ですねビルさん」


 「ほら、ウインナーも入ったよ」

「これは王妃さま、というか、変わりダネも完備なのですね。自家製ですか?」

「おうともさ、良いイノシシが入ったからね、最近の青年会は装備も整ったので、定期的に狩りの成果が上がってきて食卓が豊かになって助かるよ」

「あー、彼ら、頑張ってるんですね」

「新規入居者の女の子たちに肉を撮ってきてアピールするんだって言っておったのう」

「そうなのですか王様」

「まあ、元迷宮探索者の少女たち一団が、それに輪をかけて、怪物を狩ってきているのを見て、顎を筈さんばかりに驚愕していましたが……勇者様、こちらのがんもどきもいけますよ?」

「ありがとう巫女さま、というか、がんもどきもあるんですね。あの娘たちも順応しているのですねー」

「おお勇者よ、生き生きとしておるぞ、それに気がつかないとは情けない」

「ちょっとセリフの選択に無理がありませんかね、王様?」



 「というわけで、装備の更新も終了したわけです」

「何がそういうわけなのだーよ?というか誰に話しているのだーよ?」

「様式美というやつらしいぞ、ビルよ、ガハハ」

「魔王の城でコア用の素材を頂いてきましたので、これで、フルスペックな強化外骨格の完成ですね」

「そうだだーよ、コアの上位入れ替えをすればさらに強くなるだーよ?」

「でスペックが一言で終わるってどうなんでしょうね、

 《通常の神様並み》とか、どう判断すればよろしいのでしょうか?」

「能力が上がれば、創造神なみとか、むしろ破壊神とか、名称が変更になるだーよ」

「まあ細かいところは、実際の運用時に確認だなガハハ、まあ、結構ご都合主義に、必要な装備が、結果から遡ってあったことになるぞ、ガハハ」

「いわゆる、こんなこともあろうかと(さなださん)状態というようだーよ、語源が何かは不明だけどもだーよ」

「相変わらずデタラメな、まあ、使えるのであればいいか?」

怪物モンスターから手に入れたコインを利用して瞬間的にブーストできたりもするだーよ?」

「いや、これ以上強くなってもなぁ、というか、降ってわいたような機能ですね」

「どうも、コインのインフレをどうにかしないといけないという、神様からの仕様変更だそうだぞ、ガハハ」

「あー、なるほど、テーブルトークRPGの神様らしですね、そういえば、神様力で経済問題も制御していたんでしたっけ?」

「たまに破綻が見えるだーよ」

「まあ、頑張ってるのは、認めるがな、ガハハ」

「……意外に神望があるのですね。驚きました」



 「というわけで、組織的な魔族の脅威はこれで終了するかと、若女将さん」

「ほへー、いや、惚けている場合ではございませんね、ええと、いや、すごいお方だったんですね、トム様は」

「まあ、勇者やってましたから。今は、なんなのでしょうかね、神(笑)勇者でしょうか?」

「辺境伯さまにも連絡しておきますね、というか、面会予定を早急に取らないといけないでしょう、少々お待ちくださいね」

「ええ、いきなり行っても良かったんですけどね、若女将さん……トバリに会いたかったですから」

「う、嬉しいことを言ってくださいますね、貴方……」


 「というわけなのですよ、辺境伯さま」

「微妙に領都に入ってから時間が経過しているのだが、それは?」

「つっこまないでいただけると、とJrさまと、その相方のリリスさんの様子はどうですか?」

「仲睦まじくやっておるよ、結局リリス嬢は魔族の領域には戻らなかったわけじゃな」

「……そういえば忘れてましたね、どうしましょう、邪魔ならサクッと狩りますが?」

「だから仲睦まじくやっておると言っておるだろう?替え玉としても有能な存在だから狩られたら困るぞ」

「利用価値があるうちは生かしておいてやろうというスタンスですか、さすがですね」

「そこまで非情じゃないぞわしは。ともかく、厄介な連中が組織的に動かなくなったのは良いことだ、これで国内のバカどもに力を傾けられるな」

「まあ、その辺りは、ご自由におやり下さい」

「そういえば、トムさんはこれからどうするのかな?」

「当面は趣味を満喫する予定ですよ、観光ですかね?その前に、いろいろと挨拶回りをしているというところですね」

「暇なら、わしの手伝いとかするか?」

「いや、そういう貴族間のドロドロした争いはちょっと……」

「そうか」

「面白そうですが、手加減がしにくいので遠慮いたします」

「そっちの心配か」


 「今日私は何度、というわけでというのでしょうか?」

「知りませんわよ、いきなりそう言われても、わけがわかりませんわ、トムさん」

「まあまあ、王都で学業に励んでおられる、辺境伯の娘さんことエリザベス様」

「誰に説明しているのですの?」

「さあ、様式美だそうですよ、うちの国の武器防具屋兼鍛冶屋がおっしゃられるには」

「変わった方ですね」

「否定はしませんよ、キャラ立て?のためだけに語尾にガハハとつけるようにしたとか、結構意味不明な行動をしてたりしてますしね」

「逆に興味が湧いてくるのですけど?」


 「というわけで、とりあえず当面の危機を人類は乗り越えたようですよ?エリザベス様」

「どうして疑問系なのかしら?」

「この世界には、私という危険人物がまだ関わる余地を残しているから、でしょうかね?」

「淡々と言われると、冗談に聞こえなくて怖いのですけれども?」

「何が冗談なのでしょうか?」

「えっ?」

「えっ?」



 「王都学園長サブマーリンさんへ、さて問題です今日私は、何度、と、いうわけでと、言ったでしょーか?」

「いきなりなんじゃね、トムさん」

「いえなんでもありません、繰り返しを恐れる弱気の表れとでも思っていただければ」

「尚更わからんわい」



 「というわけでして、結果として魔王の脅威は避けられました」

「真の脅威である邪神が誕生しておるじゃろうが!」

「あ、わかりますか?いや、今日初めてまともなツッコミを受けたような気がします」

「勘弁して欲しいのじゃが……」

「まあ、気落ちしないで、人生いろいろですよ。きっとこれから、何か良いことがありますって」

「……口調が違わんかの?」

「C調無責任というそうですよ、昔友人に教わりました」

「友人いたのじゃのう……」

「ひどいですね、今もいますよ。気持ちは一方通行ですが」

「駄目じゃないかのそれ」



 「学園長に呼んでもらったわけですが、お元気ですか、常軌を逸した恋愛ループもののゲームに巻き込まれて、魂を摩耗しきってしまったヒロインさんとライバルさんこと、フローラさんとシンシアさん」

「その説明口調なんとかならなかったのでしょうか?」

「まったくですね」


 「かくかくしかじか、というわけで、世界全体の危機であった魔王の脅威は退けられたわけですが」

「ええと、一言言ってもいいですかトムさん?」

「はいなんでしょう、フローラさん」

「あなた、”たち”が悪いわ」

「お褒めに預かり恐悦至極」

「フローラさんは褒めてるわけじゃないと思いますわ」

「わかってますよ、照れ隠しですよね、シンシアさん」

「何もわかってないです」



 「私の性格とか性質の話は置いておきまして、どうしますお二人さん、よければ、元の世界へ魂的なものを戻しますけど?」

「ええと、いきなり言われても?」

「困るわね」

「別の転生者にも提案しましたけど、このままこちらで一生を全うした時点で、転生時の時間軸へ、問題を解決して回帰させることもできますよ?」

「本当にそんなことができるのですか……と聞くのもなんだか虚しいですね、どうしましょうかシンシアちゃん」

「ちゃん付けはやめなさいって。そうですね、全くデメリットがないようですのでお願いしましょう」

「即決!?まあ、すぐに消えてしまうのもそれはそれで無責任ですので、そうするのがいいのかな?」

「今までの努力が無駄になるのも悔しいですし、ここからは純粋にこの世界を楽しむのが吉かなと思うのですよ、フローラさん」

「シーちゃんの言う通りかな、でも逆ハーレムをどうにか解体するのって、とっても面倒くさいのですけど!」

「あら、そのまま姫さまプレイをするんじゃないの?」

「さすがに一周目でこりましたよー、今はシーちゃん一筋なのよね私」

「……どうしましょう。その手の趣味はありませんよ、と否定しようとしましたが、存外悪くないと思っている自分がいますわ」

「ここにきてまさかの百合ルート、これは滾りますね、シーちゃん」

「お互い業が深いですわね、フローラさん」

「ええと、お幸せに?でいいのかな。じゃあ、また、人生の終わりにでも顔を出しますね」


 「これでだいたい全部に挨拶回りは終了しましたかね?」


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