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67_シンプルに行くということは、簡単ということと同義ではなく、いやそれはおかしいでしょう?

 「あ、テーブルトークRPGの神様から、神のメモ帳へ書き込みがありましたね、ええと


 『神様の会議場での惨状は一応落ち着いたけれども、そちらの世界に関わっている、いた?神様連中が、涅槃の彼方へと飛ばされてしまって、復帰に時間がかかりそう、じゃ。惰性でシステムそのものは流しっぱなしになっておるので、当面は問題なさそうではあるけれども、早急な対応が必要になっとる、んじゃよ』


 なんだか口調が安定していませんね、慌てているという感じは伝わってきますが」

「因果律の流れでしかないようには思えませんね、というか相変わらずすごくダメ人間っぽいです、勇者さま」

「そういうロールなのでしょう、この方は、巫女さま。ええと書き込みが続きますね、


 『で、無事な柱どもで回すことになったわけじゃが、ぶっちゃけた話し、現地の戦力で一番有力というか、規格外なのが、勇者トムさんであるからして、もうこれに任せればいいんじゃねーか、という雰囲気になりおってな、まあ、そういう流れに誘導して、ちょいちょいと、小遣い稼ぎをしようかという、内情でな』


 もう少し取り繕っても、よろしいんじゃないでしょうかね?テーブルトークRPGの神様」

「まあ、良くも悪くも正直な方ですからねー、勇者さま」

「で、さらに指示が続くと、

 

 『大きな問題として、魔王を退治する予定のメインの勇者への加護が、途切れてしまってのう』


 ああ、涅槃へと行ってしまわれた中の1柱だったんですかね?


 『与えていたのが、トムさんが見事に吹き飛ばしてしまった、テロリストを司る神様でな』

 

 神選誤っていませんかね?いや、暴力システムで事態を解決に導く存在としてなら、それほど的外れではないのか?ああ、勇敢な闘士を司る神様なら、まあ、それほど理不尽ではないのか?


 『で間が悪くて、魔王の四天王、最強の刺客とかとやりあっている時にそれが重なってのう、勇者の仲間もろとも、奮闘空しくお亡くなりになっての』


 大問題ではないですかね?


 『本来なら、対応する神の加護とかで、最後のセーブポイントで復活するはずじゃったんじゃが、ご存知の通り、そのシステムを根幹から制御していた存在が消滅しておるもんじゃから、幽霊みたいな可能性が偏在している存在になり果てて、幽玄な場所で漂っておってのー』


 あ、復活の目はあるのですね、それはまあ、不幸中の幸でしたね。


 『このままでは、意識とか魂的な何かが希薄になってしまって、存在を維持できなくなりそうなのじゃな』


 あ、そういう流れなわけですね、ええと、こちらからシステムに介入すればいいのですかね?


 『現地の管理局へ直接アクセスして、コストの方がわりをすれば、問題なさそうではあるな、管理者権限は現地で獲得してほしい、多分モニタにパスワードが書かれた紙が貼り付けてあるからの』


 いいんですかね、そんなスブズブなセキュリティで?


 『まあ、管理局へ物理的にアクセスできるような存在に、たかだか数桁の暗証番号なんて意味をなさんからの、ある意味ジョークの部類じゃろうな』


 さいで。


 『問題があるとすれば、完全に他の神様の領域であるから、トムさんへのテーブルトークRPGの神様からの加護が、著しく阻害されるというか、ほとんどなくなるわけではあるが、まあ、自力がすでに神様並みである上に、スタンドアロンでも問題ないほどにシステムが強固になっておるかならな、なんら問題はないじゃろう。リアルタイムで記録が覗けないのと、環境へ働きかける系列の加護が使用できなくなるかの?』


 あ、それはある意味便利かも?対象を複数とれるようになると、制圧速度が段違いなのですよね。一対一はそれはそれで便利な戦場ではあったのですけど、すでに、効率云々がどうこうレベルじゃないですからね、今の火力は。


 『基本的な法則とか、ルールとかは、相手側のシステムに依存するからの。まあ、微妙な差異程度なら力技でどうにでもなるレベルじゃとは思うがの』


 おおっと、そうすると、存在のあり方も変化するのですかね?テーブルトークRPGの神様が環境に及ぼしていた法則から抜け出すわけですから?


 『そうじゃな、死亡時の復活にかかる手間が増えたりやら、実存と発言のリンクやらのあれこれとかは、働かなくなるかの?後、神の手帳による、ログも相手側のシステムに依存することになるが、まあ、因果関係をすでに情報として扱うことができるじゃろうから、あまり問題はないじゃろうの。後、トムさんなら自力でこちらと連絡をとることも可能じゃろうしなぁ。あれ、もう神の手帳とかいらなくないかな?』


 ファッションとか、趣味としては気に入っているので、これは引き続き使用することにしますよ、では、とりあえず、メインの勇者を管理しているところに飛びますね。


 『よろしく頼む、こちらは引き続き、こっちでできる調整をしておくからの、ではまあ、やり過ぎないように気をつけての』


 まあ、現地一番神様に近い存在になってしまいましたからね、どのくらいの出力で動けばいいのか、試し試しやってみましょう。ということで巫女さま、ちょっと留守にします。ええと、夕方までには帰ってる予定ではありますけど、何かありましたら、魔法でメッセージを飛ばしますね」

「了解しました、勇者さま。一つ質問があるのですけれども、テーブルトークの神様からの庇護がなくなって、本当に大丈夫で危険はないのでしょうか?」

「死亡したら、復活に時間がかかるというデメリットはありますが、まあ、この世界で私をその状態にできる相手は、いないので実質問題ありませんね。相手の弱点やら、正体やら、悪意やらのゴタゴタ関係の探査は、関係性が客観的な情報として得られるので、不意打ちとか政治的に窮地にとかということもありえませんね、他の神様がいないのですから、さらに危険度は低くなるでしょうね。あとはそうですね、存在のあり方がちょっと変化しますが、まあ、それはそれほど違和感があるものでもないので、というか、そちらの方が慣れているので、むしろ戻った感覚で違和感なく行動できそうと、予想しますね、巫女さま」

「ええと、最後の存在のあり方というのが少しわからないのですけれども?勇者さま」

「テーブルトークRPGの神様が司っている世界の法則がなくなるわけですね、つまりは、発言しなければそれは存在しないことと同じである、という法則がなくなるわけでありまして」

「?そのような世界があるのですか?何も言わなくても、存在が許されるような奇妙な環境って、想像できないのですけれども、勇者さま?」

「どうなんでしょうね?少なくとも私が来た世界は、自らの行動を宣言しなくても、存在できましたからね、後、周囲の描写もしなければ、無いのと同じという感覚の方が、ちょっと珍しかったような気がしますね」

「そういう世界もあるのですね、勇者さま」

「世界は広いですよ、巫女さま」




 ここはどこだろうか

 記憶が曖昧になっている

 自我も定かではない 

 自分とは何であるのか

 眠い

 疲れた

 もう、終わってもいいよね


 「なるほど、モノローグが聞こえてきますね」どうやら、まだ魂的な、個人を特定する情報は、散逸してはいないようです。おお、自分の思考は台詞にならないのは、新鮮ですね、2ヶ月ぶりくらいでしょうか?と勇者トムは思いました。

 誰が、私の思考であると、補助表現しているのでしょうね?これが、こちらの神様の法則でありましょうか?ちょっと現実と違うようなところもありますが、それほど違和感がないですね。


 さて、考察は後にしまして、システムを把握して、再起動しますか。インターフェイスがコマンドなのですか?趣味に走っていますね、キーボードで入力する方が、早いと、ある意味廃神使用なわけでしょうか。

 必要なコストは、こちらの強化外骨格のコアから代替しましょう、コンバータをかませて、規格を合わせて、と、大元のセントラルコアが、対象のメイン勇者と親和性が高い、というか、もともとの加護を与えていた神様ですから、当たり前の現象ですね。


 と、さて、とりあえず、自我を保全しましたよ、と記憶とかも補強しまして、


「あーテステス、本日は晴天なり」この文言は英語で言わないと意味がないのでしたかね、ええと

「It’s fine today、聞こえますかー、ゆーしゃ様?」


「え、女神さま?じゃない?ええと誰だかわかりませんが、聞こえますよ?」金髪で洋風の要望、目鼻立が整っていて、10人中15人が街中で振り返る美貌の持ち主、振り返った人の半分がもう一度振り返るという意味ですね、な女の子が、戸惑っています。

「お、やっつけ仕事でしたが、うまくいきましたね、可愛らしいお嬢さん」声には少し自信があるのですよ、トムさんは、さらりと語りかけます。

「あ、ありがとう?あの、その、事態がよく飲み込めていないのですが?」少し顔を赤らめながら、尋ね返します。

「そうですね、まずは自己紹介からですが、私の名前はトムといいます。とある神様に頼まれまして、勇者のお嬢さんの復活をお手伝いに来ました」声だけを、彼女が存在している空間に届けていきます。

「ええと、はい、私は、シルバディと言います。カリュウ国出身で勇者をやらしていただいております、ええと復活とは?」戸惑いながら、きちんとお返事をしてくれる、美人さんです、好感度は上がりますね。

「さて、とりあえず、この状態になる前の最後の記憶とかきちんと思い出せるでしょうか?」

「……!!!?」

「はい、落ち着いてくださいねー、何も心配ありませんからねー」乱れた存在とか魂的な何かを鎮めるための言霊を込めて、やわらかな言葉をかけるトムさんでございます。


「四天王最強の闇竜闘士ウガツと、対決していて、そしてその最中急激に女神さまからの御力が減少して、は、みんなは無事なのですか!」ブツブツと頭を抱えながら、記憶を確かめていて、急に思い出して大切な仲間の心配をする少女です。

「お仲間さんは、この魂の回廊で結構長めに、流れにさらされていましたからねー。結構自我とか記憶とか、魂魄の情報要素が散逸してまして……」

「え、そんな……」絶望に染まる勇者シルバディさんです。

「少し時間がかかりますね。ちょっと、再生とか選り分けとか追跡マーカーの流れとかに手間がかかってますが、まあ、おいおい復活に価するほどの情報量が集まるでしょう」

「あ、助かるんですか?」ちょっと、泣き顔を上げる、シルヴァディさんです。

「死亡してから、復活するんで、助かると表現するのもどうかとは思いますが」肩をすくめるニュアンスで発言します。

「よ、よかった」安堵して、へたり込む少女勇者です。

「まあ、200年もあれば?」

 再び表情が固まって、次に瞬間にぱたりと倒れ伏す、可憐な女勇者さまでございました。



 「いいです、もう二度と会えないとしても、彼女たちがまた生き返るなら……」泣いた後で健気に復帰する勇者シルバディさんです。

「まあ、現実世界?というか、元の世界とリンクを切ってしまえば、辻褄を合わせて、それなりに時間はかかりますけど、短縮は可能ですから」

「ええと、いかほどでしょうか?」悪い予感がするなと言う表情の女勇者さまです。

「まあ、それでも3分くらいはかかるかな?」HAHAHA!という笑い声が聞こえてきそうな、口調で言うトムさんでありました。

「絶望に至った涙と、私の覚悟の笑みを返していただけませんか?」あ、目がマジですね、女勇者さま。


 「はあ、まあいいです、それで、いつもの女神さまはどうしたのでしょうか?肝心なところで役に立たなかったので、文句の一つも言いたいのですが?」ちょっと持ち直した彼女が、ため息とともに言います。

「あ、それは無理かなー、たぶん綺麗に消滅しちゃったし?復活するとしても、そちらの世界との関係生から、数億年単位の時間が必要になるんじゃないかなぁ」むしろ新しく他の神様をでっち上げた方が早いですね、と言い放つトム様でございました。

「え、嘘?いつもいつも無茶振りばかりしてきて、わがまま放題だったけど、ちっちゃくて可愛くて、でも小憎たらしくて、かなり打算的で、嫉妬深くて、浅慮で、シャレにならない命に関わるような冗談を日常的に繰り出してきて、殺意を覚えたこともなんどもある、でも可愛らしい幼女みたいな、女神さまで、こう頭をギリギリと潰したらいい顔をしてくれて、その後で倍返しで、周囲を巻き込んで本気で悲劇的な、悲惨でひどい目に合わせてくれやがった、あの、顔だけは超絶級のフェミニンな女神さまが、消滅したというのですか!なんという、ことをしてくれたのです、そのヤッテくださった存在に対して、最大限の感謝を!ありがとう!」

「あれ?ええとね?ちなみに吹き飛ばしたのは僕でして」

「天上級の感謝を!我が愛しき神よ!」ひざまづいて、靴でも舐めましょうか、というくらいにへりくだっている女勇者さまに、ちょっと引いてるトムさんでございました。

「いや、ええとまだ神じゃないし?というか、あれ、これ、感謝される展開なのかな?ちょっと待ってね……あーなるほど、血縁含めて近しい縁者軒並み魔王退治へのモチベーションを高めるために犠牲にされたのかー、それもうまく絡めてで、勇者本人の承諾というか、無理やり納得ずくで、追い込んでるや、やるなぁ、すごい外道シナリオ組んでる女神さまだったんだなぁ」これ、うまく魔王を倒せても、その返す刀で女神も殺られていたのじゃないかなーと、因果律をたどってみるトムさまでございました。

「……うわあ、さらに追い込んで自分に依存させてただれた関係まで持っていくあたりまで、想定しているや、これは、消してしまって正解だったかな?というか、この関係性が問題になって、それで、神様会議で実力行使をせざるをえなくなったという流れなのかなぁ、ひどい流れが観測されているなぁ」呆れたように、廃棄された女神のシナリオを確認しているトムさんでございました。



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