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66_シンプルに進めるとお話にならなくなりそうで。

 「そうですね、世界は一つの大きな球体でできているとイメージしましょうか、巫女さま」

「球体ですか?勇者さま」

「別に一かたまりで、一見あまり偏りが見られないものというイメージですから、その辺りは適当でございますが、巫女さま」

「はい、想像してみました、勇者さま」

「この球体は、すべての可能性が内包されているものでありまして、それこそ時間と空間における事象が渾然一体となっているわけでありますね、巫女さま」

「はい、ええと、はい、勇者さま」

「それが、私たちの認識に落とし込まれるということは、これをこう、すっぱりと切り落として断面を観察しているようなものなのでありますよ、巫女さま」

「わかったような、わからないような?ですね、勇者さま」

「切った向きやら、箇所やら、もしくは切り方や、切る刃物の種類やら、まあ、いろいろな要因で切り口の見え方が違ってきますが、自分たちが観察しているのは、全体のごく一部なわけで、その背後とか他の切り口とかは、見えないわけでありますね、巫女さま」

「なんとなくイメージできたような?勇者さま」

「この塊そのものには、すべてがありまして、そのすべてに関係性を持つことができるのが、神様というものでありますね。ようは、どこを切っても顔を出す、金太郎飴のようなものが、神様ということでありましょうか?」

「金太郎飴ですか?」

「この場合は2次元ではなくて、3次元に同一の雰囲気が出るような、顔が出るようなものですが、ああ、金太郎あめがわかりませんかね?巫女さま」

「ええと、確か、棒状の飴で、そこそこ断面に広さがあって、その切り口から見える模様が一様のものになるように細工した、お菓子でしたかね?こう色をつけた飴を棒状に伸ばして、重ねて、さらにコロコロと伸ばしている映像をどこかで見たことがあるようなないような、気がしますね、勇者さま」

「記録映像とか、文化侵略的なあれそれが、どのような段階なんだか、改めて気になってきましたが、概ねその通りです巫女さま」

「そのあたり、テーブルトークRPGの神様がノリと勢いで妄言を吐きつつ導入しておりますので、かなりフレキシブで臨機応変な対応が可能となっていますね、勇者さま」

「行き当たりばったり、その場しのぎ、を臨機応変な対応とか言っていいものかどうか、疑問が残りますが、まあ、いいでしょう、巫女さま」

「あの神様のやることですから、勇者さま」

「それで納得される立ち位置にいるというのも、ある意味恐ろしいような気がしますね、巫女さま」


 「金太郎あめとは違って、顔の見え方が切り方で違ってきたりしていますけれどもなのですね、巫女さま」

「根底からズレているような、それって、同じ顔という意味での金太郎あめの例えが意味ないですよね?勇者さま」

「大筋、金太郎というキャラクターであるとわからないでもない、という程度の類似性が見られる可能性が若干ある、といったところでありましょうか、巫女さま」

「それ同一であると、特定できないのじゃありませんかね?勇者さま」

「そういうこともありますね、観測する側の能力に依存しそうではありますが、顔を出している神様たちの比率とかも影響しそうではありますね、巫女さま」

「切り口から、ぎょろりと複数の顔が見えるとか、軽くホラーではありませんかね?勇者さま」

「まあ、例えですから、確かに恐怖体験っぽい絵柄ではありますけれども、巫女さま」

「悪霊みたいですものね、勇者さま」


 「すべての可能性、因果の繋がりと言ってもいいですかね、それを瞬間的にある一点で観測したのが、認識できた世界でありまして、さらには、その認識は、基本的には時間軸を考慮に入れると、必ず過去のものであるわけでありまして、構造上リアルタイムというか、ジャストタイムで世界を認識することは不可能なのですね、ええと、その権能のない方々には、です、巫女さま」

「ええと、どうして過去としか扱えないのでしょうか?未来は無理でも現在くらいは認識できそうなものでしょう?勇者さま」

「物理的な限界でして、視覚を伴う、この場合は光の速さが有限でありますので、捉えて、さらに、頭の中で処理する速さも、これもどうやっても高速は超えないわけですから、認識したその情報は必ず過去のものになるわけでありますね、巫女さま」

「ああ、なるほど、物理的な制限なのですね、勇者さま」

「ただ、これも関係性の問題でありますので、その法則そのものがずれていてる箇所であるなら、現在の情報をそのまま入手できたり、場合によっては光速を超えてしまうのが当たり前で、コンマ数秒ではあるものの常に未来の情報を手に入れ続けている場面も、同時に存在していますので、これは、ここでの観測をするならば、という条件がつくわけですね、巫女さま」

「ええと、こことはどこでしょうか?勇者さま」

「巫女さまが観測している時間と場所でしょうかね?巫女さま」


 「ともあれ、確定するギリギリの時の流れによって観測された点が集まって、連続的な線になって観測されている、ように観察できるのが、時間と空間に依存して存在しているものの認識ですね、で神様というのは、その辺りまるっきり無視しているといいますか、そもそも点や線ではなくて、面を通り越して立体で把握している、認識しているのでありますよ、と言ったら少しわかりやすいですかね?巫女さま」

「あ、なんだか今までで一番イメージがしやすい気がします、勇者さま」

「ただ、それも正確ではないというか、すでに誤解を含んでいる認識でありまして、巫女さま」

「なんだか色々台無しでありますね、勇者さま」


 「結局のところ神様というのはなんなでしょうか、神に仕える者としての質問としてはよろしくないような気もしますが、勇者さま」

「関係性そのものでしょうか、因果律そのものに主体性があるように見えている存在、概念のようなものと言ってもよろしいかもしれませんね、巫女さま」

「しかし、明確に力を感じたり、影響力がある、存在感があるように思えるのですが、勇者さま」

「実在か非実在かと言うならば、どちらの可能性も内包している存在であり、非存在であるわけでしょうね、存在していると存在していない、その可能性を同時に成り立たせているような、矛盾が大手を振って、梅田の繁華街を歩いているようなものでしょうか?巫女さま」

「ええとなぜに梅田でしょうか、勇者さま」

「別に、新宿でも、神戸でも、大都会岡山でも、構いませんが、神聖なものでありつつ思いっきり俗な感じを演出してみたわけですよ、巫女さま」

「ヤッパリよく分からないのですが?勇者さま」

「それで正解です、最初の方にも言いましたが、説明できない理屈をつけられない、情報としてあげられない、ものを含む何か、というものの総称が神様でありますので、理解されると、それは私の説明が悪かったことになるわけですね、巫女さま」

「それを知るためには、自ら悟るしかない、とか言ってましたですね、勇者さま」

「まあ、悟ったと思ったなら、必ずそれは間違いを内包しているわけですので、間違いも含めて、丸っと飲み込めたら、幸せになれるかもしれませんし、そうでないのかもしれませんね、巫女さま」


 「観測を行った瞬間に神様の一部として取り込まれていると言ってもそれほど違いはないわけかもしれません、巫女さま」

「認識している主体がどちらにあるのかわからないということでしょうか、勇者さま」

「こちらが見ていると思っていたけれども、同時に見られているわけですからね。認識することで認識されるとか、存在を確かにしたらば、自らの存在が確かなものに錯覚してしまうとか、その類の概念でありましょうか、因果律の繋がりそのものが神様だとするならば、すでに我々も神のうちであると言えなくもないわけでありましょうね、巫女さま」

「私たちがすでに神様であるとしたならば、それはかなり不自由な神様であるというか、結局何かに働きかけることができない存在であるような、神さまなら何でもできそうな気がしますし、実際、テーブルトークRPGの神さまというようなマイナな存在でも結構好き勝手しているように見られるのですが、そこのところはどうなのでしょうね、勇者さま」

「好き勝手しているような可能性を観察しているだけでありましょうね、同程度と言いますか、全くうまくいっていない失敗ばかりしている可能性も同時に内包していますけれども、ここに見えていないだけという理屈ではありませんかね、失敗しているように見える因果も同時に存在しているのですが、認識できていないだけ、という感じでしょう」

「ということは、いつかどこかで失敗はしていると、でもなぜそれが見えない、観察できないのでしょうかね?勇者さま」

「見えている、観察されている所もあるんでしょうね、ただ失敗している因果律の流れでは、時空間に沿って存在する観測者の観測がし辛い、途切れ途切れになってしまうので、認識されない、記録や記憶として残らない、ので、結果としてなかったことになっている、ということもありそうではありますね、巫女さま」

「へえ、そういう仕組みなのですね、勇者さま」

「いえ、ただの想像ですから、本当の所はわかりませんが、巫女さま」


 「神さまって、複柱おられるわけじゃあないですか、ええと今までの観測の結果ですけど、勇者さま」

「そうですね、そのように見られますね、巫女さま」

「じゃあ、神さま同士はどのようにお互いが見えるのでしょうかね?時間とか空間とか意味をなさないところでどのようにして自他を区別しているのでしょうか?勇者さま」

「それこそ、因果律の流れでしょうかね?ストーリーと言い換えてもいいかもしれませんが、時間と空間を無視したところにある流れそのものが自我を形成している、ように振舞っている、と表現すると分かりやすいでしょうか、巫女さま」

「ええと、でも流れって、時間か空間に依存していませんかね?勇者さま」

「流れのような何か、とか因果関係そのものを抽象的に表したものである、というといいのでしょうかね?そもそも自他の意識っぽいものが観察されるのは、他者からの視点があって初めて現出しているっぽいですし、結局のところ、同一の存在であると言っても過言ではない、かもしれませんね、巫女さま」

「ええと、人格的にはかなり分かれているようなニュアンスが、テーブルトークRPGの神さまからわ伝わってきましたけれど?勇者さま」

「そう見えるように振舞っているのかもしれませんし、こちらと関係性を結んだ時にその瞬間に独立したのかもしれませんね、何度か言ってますが、時間の流れが意味をなしていませんので、原因と結果が逆転していることもそう珍しくはないわけですね、巫女さま」

「ええと、実は同一の存在であって、それが、それぞれの神格を演じ分けているような感じなのでしょうか?勇者さま」

「その見方もある面では正しいかもしれませんね、ただ、そもそも存在していないわけですから、同一の存在というのはおかしな表現ですね、巫女さま」

「や、ややこしすぎるのです、勇者さま」


 「神さまが因果律の関係性そのものであるということは、結局のところ、すべての何かが、時間と空間が意味をなさないところでもって、関係し合っているということですから、この場合い、無限に発散している解放系のシステムではなくて、互いにどこかを参照し合っている、循環系の閉じた系であるわけなんですね、無限か有限かと言うなら、実は有限であるけれども、あまりそれが意味をなさないのは、何度も言うけれども、時間とか空間とか、それらが意味をなしていないからなのですね。つまり無限か、有限かを考察することそのものがナンセンスなわけでありまして、互いにどこか依存し合っているわけでありますから、大きく見るなら、同一の存在と言ってもよろしいかもしれませんが、その瞬間瞬間、どこそこでは独立しているように、観測されるわけでありますから、そこに、神としての自我とか個性を映し出しているわけでありましょう。全体を見るなら、完成している一個の塊に見えますが、内部は流動的な感じとか、表現しても、いいかも知れません、もちろん正確な描写は、物理的に無理ですが、そういうわけなのです、巫女さま」

「因果律によって成り立っているのであるので、発散し続けるものではないというのはわかりましたが、ええと、それはすでに終わっているということでしょうか、勇者さま」

「始も終わりも同時に存在しているので、論じる意味がないわけですが、もしするならば、何をもってして終わっているのか、という定義から必要になりましょうね。そうですね、少し詩的な表現をどこぞから引用するならば、世界は終わり続けていると同時に始まり続けている、とでもしておきましょうか?巫女さま」

「わからないので、正解のようです、勇者さま」



 「まあ、因果律の外側へ干渉することができるかどうか、という思考実験とかもあるわけでありますが、つまりは断絶している可能性と、そこを飛び越えられるか、という可能生について語られるかどうか、ですね、巫女さま」

「ええと、なんだか今までの講釈がひっくり返ってしまいそうな話題だということは、なんとなくわかるのですが、勇者さま」

「つまりは閉じた系であるはずのシステムであるなら、そのようなシステムが他にもあるのではないかという発想でして、で、それを観測できるかどうか、という発想ですね。で多分これはすでにできているというか、その因果律の外側があるなら、すでにそれは取り込まれている可能性が高いのですね、何故ならば、一様にそれらに対して時間とか空間が意味をなしていないからでありますから、過去になされたのか未来になされるのか、それは認識できない、その必要がないわけでありまして、で、それをした瞬間にまた世界は閉じられてしまうわけでありますが、さらにそれを繰り返していくわけですね、巫女さま」

「時間というファクターをないがしろにすると、途端に話しがややこしくなるということは、把握しつつあります、勇者さま」


 「つまりは、神様というのは、無限に発散していく閉鎖された系のシステムの因果律の流れのようなものかもしれない、くらいしか言いようがないものである、としておきませんかね?巫女さま」

「誰に断っているのですか?勇者さま」



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