62_シンプルに衝突するというのは、結局暴力と見分けがつかないわけでありまして。
「さて、性能試験やら、改良時の点検やらで費やした昨日から、一夜が明けました。
63日目ですね、
累積経験点:3,251,799,815,787,669点
所持コイン:2,125,899,809,490,927枚
ソニックブームとかで、空の怪物を狩っていたようですね、経験点が微増しています」
「おはようございます勇者様」
「おはようございます巫女様」
「今日は、昨日も言っていましたが、各地を駆け足で回ってみて、魔法の定期の行き先を増やしてみようと思います」
「はい、気をつけて行ってらっしゃいませ」
「油断はしないで行ってこようと思います、夕食までには戻ります。何かありましたら、魔法の呟き で出現させた小鳥にメッセージを呟いてくださいね」
「はい、わかりました」
「では行ってきます」
「行ってらっしゃいませ」
「テーブルトークRPGの神様が管理しているこの大陸は、広さ的には地球でのオーストラリアより少し小さい程度でしたね、同じような大きさの大陸や、細長い地峡でつながった地形やら、内海が広いドーナツのようなものとか、どのような地殻変動の結果でそうなったのかよく分からないものが多かったですね。
とりあえず、このテーブルトークRPGの管理下にある大陸の主要都市とかスポットとかは回れましたね。魔王軍が暗躍していた村とか、街とか、都市とかもありましたが、ええとどうしましょうかね?
一方的に叩き潰して経験点に変えていいものでしょうかね?
一応テーブルトークRPGの神様にお伺いを立てておきましょう。
最近また静かですね、神界で忙しくされているのでしょうか?」
「一応命に関わるような危機は、緊急的に回避した方がいいですかね?応答を待っていると被害が広がりそうではありますし」
「というわけで、水源に毒を流し込もうとしていた、魔王軍の配下を殲滅しました、高高度からの副砲によるスナイピングですね。ええと作業のようですね」
「本来は強いのですかね?レベル差と装備差がありすぎて、よくわかりません。水源を守備していた常備兵はまだ無事ですね。怪我だけは治しておきましょう、ええと簡単に因果律を観測しても、あまりひどい未来と過去には繋がらないですかね。毒は、証拠として残しておいたほうがよろしいでしょうかね」
「しかし、大規模なテロ行為のような気はするのですが、行なっている魔王の配下がやけに派手でしたね……、もしかしてこれもまた何かのオマージュであったのでしょうかね?」
「魔王の配下は素材水晶に変化してしまったので、気絶している水源守備隊の皆さんには、何が起こったのか、分からないでしょうね……。一応置き手紙をしておきましょうか。こう毒のタンクに張り紙をしておいて、ええとなんて書きましょうかね?」
「”内容物:毒につき取扱注意。左記の毒物、魔王の計画で水源を汚染させる予定のところを、阻止しました。by通りすがりの勇者より”でよろしいですかね?……予想では、まあそれほど酷いことにはならないようですね」
「『お仕事:悪の秘密結社(魔王軍所属)による、水源を毒で汚染して人間を苦しめよう作戦を阻止しよう。
報酬:ヒーローは孤独なので、そこはかとない満足感のみ
経験点:1024点
解決済み』
ですか。テーブルトークRPGの神様の仕込みではあったようですね。地図の位置的と入手経験点から推測すると、レベルが15くらいで解決する案件でしょうか?」
「前に聞いたことがありますね、オープンフィールド系では、自由度が高いのでふと気がつくと初期の簡単なお仕事が後半まで残っている、というような事例でしょうか?その辺り、自動的ではなくて細かく対応をしてくださるのがテーブルトークRPGの神様のお仕事でありそうな気がしますが、まだ忙しいのでしょうかね?」
「ええと、乗合馬車?幼児を多く集団で運んでいるそれを、なんだか仰々しい怪物が襲っている、ええと、馬車だから、キャリッジジャックでしょうか。なんで王都郊外で幼児が集団で移動しているのでしょうか?」
「……因果律制御からの過去調査によると、社会科見学ですか?いや、この場合しっかり護衛をつけていてもそれはダメなんじゃないかと思うのですが?というか、これもテーブルトークRPGの神様の仕込みなのでしょうか?同時多発的に事件を発生させてしまうと、対応が面倒くさいのですが?」
「どこか敵方がコミカルですね、なんというか、ほのぼのしている気がしますよ?ええと、さすがに幼児を目の前にして、惨殺案件とかはダメでしょうね。怪物側は、特に爆発物で行動を縛っているということも、何か厄介な魔法を使っている感じもありませんね」
「かしこさ を念のために上昇させたのちに、空中から忍び寄って、魔法の束縛を連打。攻撃手段を封じたのちに、拳で制圧ですかね。テーブルトークRPGの神様の権能というかシステム上、複数体でこちらを攻撃できませんから、こちらのフィールドに巻き込んでしまうと、複数人で協力して対応できなくなるのですね、順に素早く無力化してしまいましょう」
「なぜか、人質から怪物が離れて、こちらと対峙していますね。こちらが、幼児の護衛を助けている間に、なんとか抜け出したのですか。ええと、シナリオ通りなのですか。まあ、下手に因果律をいじるよりは、それに沿った方が安全ですかね?この後に及んで、テーブルトークRPGの神様からの介入が無いのが少し不満ではありますが」
「強化外骨格を纏わないで、ドラゴンメイルと、ドラゴンキラーだけで、時代劇の殺陣のように動きました。まるでお芝居のようではありますが、なんというか、いいのですかね、なんだか、相手方もポンポンとそれっぽいセリフまわしをしているようですが。何か伝統芸能なのでしょうか?
怪物は単眼の巨人のようですね。これも何かのオマージュなのでしょうか?
ところで、御者に変身していたようですが、怪物に戻った時の質量変化とか、どうなっているのでしょうかね?」
「ええと、剣で切り裂いて倒した相手が、爆発しましたよ?そういうギミックがあったのでしょうか?」
「あまつさえ、何か変な人型の怪物が出現して、奇妙なガジェットから光の水のようなものを注いだら、巨大化しましたよ?あれ、この展開、小さな時にテレビで見たことがあるような?」
「こちらには、巨大なロボットはないのですが、問題ありませんね。強化外骨格を収納空間から完全召喚して、身にまといましょう。ええと、周囲に流れるBGMは、音源どこからなのでありましょうかね?後、装着時にここまで音が立っていましたかね?さらには、なんだか周囲に見せつけるように、ゆっくりと、パーツごとに装着プロセスを行っていますね」
「なぜか、空間に巨大な書き文字が!?”究極勇者夢幻龍皇_完全武装モード!”とか、何のことなのでありましょうか?!」
「巨大になった単眼巨人、と言うと重複表現が過ぎますかね?とにかくそのようなものと、ある程度拮抗した攻防をやっているわけですが、どうしたものでしょうね?能力的には瞬殺できるはずなのですが、あらかじめ打ち合わせしてあったかのように、攻撃と防御がやりとりされていきますね、まあ、質量比的に考えて、こちらが、あの巨体を振り回して、投げとばすとか、どう考えてもおかしい機動なわけですが?」
「最後は月を背負って、副砲のフルバースト、2連砲塔、16連装、に加えて、次元龍の吐息ですか。さすがに、495サンチ砲は自粛していますね、そもそも大気圏内で使用すると、空気層を削りすぎますしね。
と、いうか今、時刻は、夜でしたか?時間までずれていませんか?演出ですか、そうですか?」
「幼児たちに感謝の言葉を頂きましたね。たまには良いような気がしますが、あれだけ濃ゆい戦いをしたはずなのに、時間としては24分くらいしか経過していないとか、時空が歪んでいるのでしょうか?」
「おそらく、勇者トムがある特定の行動をしたり、演出をする引き金を引く距離に入ると、自動的にお仕事が始まるようですね、今回は
『お仕事:幼稚園キャリッジジャック事件の解決
報酬:純粋無垢な賞賛と、スポンサーからの報奨金
経験点:1024点
お仕事達成済み』
ですか、ええと、このスポンサーってなんのことなのでしょうかね?玩具を司る神様からのプレゼントでありましょうか?」
「でおそらくは、これは条件が満たされたら自動的に発生する仕事のようですね、その辺りの因果律制御は、行われていた後でありましょうか。まあ、時間も一つのパラメタに過ぎないので、過去に設置したのかどうかはまた別の問題となるわけでありますが。それにしても、このような馬鹿騒ぎの中で、テーブルトークRPGの神様が茶々を入れてこないのは、不自然なような気がしますね?」
「何かあったにしても、こちらからは影響が及ぼせないでしょうかね?……コアを増やせば何とかなりますかね?探してみましょうか」
「まあ、今日はさすがに疲れたので、明日以降にいたしましょうかね?」
「あ、失敗しました、また何かに引っかかりましたね。ええと、研究施設で立てこもりですか。王族の視察というイベントもプラスですね。ああ、先ほどの、幼児達の社会科見学も行き先はここだったのですね……時系列なんだかねじれてませんかね?」
「テロリストが占拠した研究施設から、王族の身柄を保護しつつ、致命的な被害を及ぼすかもしれない研究成果を奪われないように、悪用されないように、潜入して、たちまわれと。……この場合だと、私もその研究施設に閉じ込められたりした状態で始めた方がよろしいのではありませんかね?昔、料理人がテロリストに立ち向かう映画を見たことがありますよ?」
「王族は幼児の王子ですか。さすがに、他の幼児は一旦王都へ帰還しているようですね。ええと、魔法で探索、で、敵味方の配置は丸わかりでしょうかね。ああ、人間で裏切っている方がいると、見分けにくいのですね。この辺りは、軽く因果律制御を応用して、色分けしましょうか……。王子様は無事ですね、護衛も命はあるようです。テロリストの要求は、虐げられている下層民の復権やら、教会から邪教認定された宗教の復権ですか、意外とまっとうな主張ですが、本命は、研究施設で開発された、特殊な薬品?ウイルスですかねこれは?の製法を確保することと、サンプル奪取ですかね?」
「見せしめで職員をぬっ殺そうとしていますね。……うん、できそうですね、とりあえず、”的”は確定しましたし、やってしまいましょうか。囮になっている要救助者もいないようですし、副砲の口径を絞って、壁越しに発射です。一撃で、16人。優先順位をつけて、撃ち抜いて、無力化です。
護衛に守られて、敵に囲まれている王子連中は、その包囲を崩したらば、自然に反撃を始めましたね。見せしめになりそうになった職員周りは、さっくりと制圧済み、後で資源水晶を回収しておきましょう」
「障害物が障害物にならないのは、さすがに卑怯な気もしますが。研究成果へ迫っていた侵入者も排除済みですね。人質を取っても対応される前に制圧してしまえば、別に何も問題ないわけですね。よく考えたら、私にとっては別に人質にも何にもなってないわけですから、さっくりとなぎ払っても良かったのですかね?」
「さて、関係者各位が、あっけにとられて呆然としているうちに、怪物の素材水晶を回収しましょうか」
「お、テロリストの最後のあがきがありましたね。ウイルス?のようなものを投与された実験隊を解放させてあったようですね。因果律を見通せなかったのは、これは、テーブルトークRPGの神様が干渉してきているのでしょうね?」
「突然変異した竜ですか、あまり知性が感じられないですね。再生力が高くて、怪光線を身体から生やした触手から発射ですか、ええと、グロテクスですね」
「半端に攻撃して、身体を削ったら、研究施設の大型車両に入り込んで、装甲を着込みましたね。……この辺り何か誘導された感覚がしますね、これも何かのオマージュなのでしょうか?」
「……研究所の人とか、護衛の騎士とかが、ネットに雷の魔法を這わせて、進行を阻止しようとかしてますね、ええと、結構ノリが良さそうなので、これは任せてしまった方がよろしいのでしょうか?」
「流れるように対策本部とか立ち上がっています。これは空気を読んで、致命的なことになるまでは、こちらは攻撃とか、対策を手控えた方がよろしいのでしょうか?
どうしたものでしょう?」