57_瑣末な所を丁寧に処理することによって、シンプルに近づいていくのかもしれません。
「61日目ですね、
累積経験点:3,251,799,815,779,088点
所持コイン:2,125,899,809,420,627枚
です、
今日は、まずニチ村へに顔を出すことにしましょう、後の展開は、アレスさん一行の状況次第ですが、おそらく今日には合流できそうですね」
「予知ですか?勇者さま」
「因果律制御装置が良い仕事をしているようです、なんとなくわかってしまいますね。もっとも、この大陸では、テーブルトークRPGの神様による影響とかがありますので、精度はそれなりですが、すでに終わったお話扱いであるようですので、重み付けが低いようですね」
「神様も、すべてを同時に認識しているわけではないのでしょうかね?」
「やろうと思えばできるのかもしれませんが、それをなそうとすると、神としての楽しみやら、偏りが発生するが故の揺らぎを楽しむとか、娯楽関係でできないのでしないというのが、ありそうです。ただ、純粋に広く浅くリソースを注げるほど、力がないのかもしれませんけれど……こちらの方が確率としては高そうな推測ではありますね」
「まあ、あの、神様ですしねぇ」
「巫女さまが言ってはいけない口調と表情であるような気がいたします」
「直接的には、もう私の神様ではありませんし」
「それもそうですか、では行ってきます私の巫女さま」
「行ってらっしゃい、勇者さま」
「魔法の定期を使用しまして、空飛ぶ蒸気機関車で移動ですね。ニチ村の人々は、すでに慣れているのか、ロールプレイングの神様の影響下に入って、認識が書き換えられつつあるのか、特には騒ぎませんね?」
「いや、すごいなぁ、珍しい魔法だなぁ、くらいは思っていますよ、トムさん」
「これは村長さんおはようございます」
「おはようございます。言われていました旅人ですが、昨日昼頃到着いたしましたよ。手筈通り歓待しておきました」
「上りとか、プラカードとかはいらなかったような気もしますが?」
「そろいの法被に、村民総出でのおで迎えとか、要りませんでしたかね?」
「何か認識が連れているような、まあ、へっぽこ神様の影響が順調に浸透していると考えるとよろしいのでしょうか?」
「何のお話でしょうか?」
「いえ、何ともほのぼのとしてきましたねと」
「差し迫った危機は、トム様に何とかしていただきましたからねぇ」
「何なのですか、あの空を駆ける巨大な物体は!完全にあれ、蒸気機関車ですよね!」
「あ、アレスさんは疑問に思うのですね、と言うか、機関車とか言っていますし。……そうですよ、正式な型番はぼやかしていますけど、いわゆる石炭で、水を温めて、蒸気で走る、SLですね。空を駆けるのは、そこに線路があるからですかね?」
「……夢や幻ではなかったのか……。トムさんあなたはいったい何者なのですか?」
「まあ、それは今度時間をとって二人で話したほうがよろしいのでは?」
「そうか。それもそうか、正直言って聞きたいことは山ほどあるのだが、私も頭の中を整理する時間が必要ではあるしね」
「移動中に一泊する予定ですから、その時にでも」
「了解した」
「というわけで、今から、西の森を抜けて、新天地へと旅立ちます。それほど危険はありませんし、そのうちに街道を整備する予定ですので、行ったらそれっきりになるということはございません、という説明は、すでにニッチ村長からありましたよね?」
「「はーい」」
「良いお返事です。というかよすぎますね、若い労働力が欲しいとは思っていましたが、子供が思ったより多いような?」
「農家の三男坊とか、作りすぎた予備の子供?という側面もあるので、まあ。前日の厳しい税の取り立てに対応するために、養子縁組という名のを借りて、金銭に変えようとしていた少年少女たちといったほうが、話が早いでしょうかトムさん」
「相変わらず、腹芸とか全くしようとしないですね、村長さん」
「取りまとめ役として、ある程度年齢の高い子も混ぜましたので、それほど足手まといにはならないかと?一応、納得ずくで行くことになってもいますし」
「そういうことでよろしいのですか、ええと、そこの少年?」
「うん、自分の畑とか持てると聞いたから、かなり乗り気だよ」
「そういうことなら、構いませんね」
「ええと、トムさん、もしかしてこの人数を引き連れて、怪物が出没する森を越えるのかい?」
「そうですよアレスさん」
「危険じゃないか?せめて何か乗り物とか用意して、森を迂回したほうが良いのでは?」
「森が広いのですよね、迂回していると逆に山側の脅威をひきかねませんし、逆側だと湿地帯で、さらに動きづらいし。森の中なら、街道跡があるからそれでも移動しやすいのですよ」
「もしかして、僕らも警護として当てにされている?」
「いいえ?自分の足で歩いてもらえれば、それ以上な望みませんよ?森の中の怪物くらいなら、遭遇してもしなくても、結果は変わりませんから」
「すごい自信ですね」
「……ああ、そういえば、面と向かって実力を見せたこと、ありませんでしたっけか」
「強化外骨格、シングル起動、副砲を魔法で探索につなげて、待機空間の隙間から射角が結構自由自在に取れますね。下草をなぎ払いつつ、地面は結界の部分展開で、押し固めてしまえば問題なく。獣道以上にはなりますね、ここまでを、繰り返し処理に組み込んで、視覚誘導、よりも認識誘導の方がスムーズに運びますかね?」
「うわあ、何か光ったと思ったら、森の中に道が生まれていますよ」
「思ったより引かれていますかね?そういう魔法だとでも思っていてください。部分起動だと、消費エネルギーも低いですね。……基本360度に射角を展開できるわけですか、威力が255点、残弾が無限。これが副砲扱いとか、本当に何と戦うために用意された武装なのでしょうかね?……宇宙怪獣とかでしょうか?勘弁してほしいものですね」
「何か物騒なことを言っています。ええと、森に道を切り開いているついでに、接近してきた怪物を排除している?なんですか、この途方もない威力の魔法は?しかも、全く疲れた様子すら見られない?」
「そうですね、攻撃自体は疲れないのですけど、コインを拾ったり、素材水晶を手に入れたりするために、いちいち取りに行くのが、むしろ疲れそうではありますが」
「強化外骨格の機能を、本体が亜空間?収納空間にあるうちに、切り離して稼動できるという結果から先に既定させておいて、過程を作り出す感じでしょうか。できそうだからできたといった方が、わかりやすいような気もしますが、因果律制御というのは、時系列が乱れることが、デフォルトであるということでしょうか?」
「何の話でしょう、トムさん」
「神様の主体性とか、思考の基準とか、そもそもどこを定として自身をなしているとしているのか、疑問が尽きませんねというお話です」
「哲学ですか?」
「差し迫った、実学ですかね?」
「その気になれば、この森すべてを薙ぎ払えそうですね、環境が激変するのでしませんし、有益なリソースがなくなるのも、これはまた困るでしょう」
「独り言が物騒なのですが?」
「だからしませんって、足元がしっかりとしているので、皆さんの疲労も少ないようですね。もう少しいきますと、今日の野営?宿泊施設ですので」
「なぜに疑問系なのでしょう」
「屋根があるのに野営はおかしいかなと、けれど、怪物がいるかもしれないので、宿泊施設と言い切ってしまうと、語弊がありそうな気がしまして」
「ええと?ダンジョンなのですか?」
「広義の迷宮かもしれませんが、もともとは、街道沿いの宿泊施設、だったのではないかなと。ある人に言わせると、悪い魔法使いの塔、ということになるのですが」
「塔ですか?大丈夫なのでしょうか、ええと強度的に」
「かなり頑丈に作られていましたから、それは問題ないかと、最近まで、人?が住み着いて生活していましたし」
「ええと?住み着いていた?森に暮らしていた人がいたのですか?」
「ええ、怪物と共生関係のような形になっていた方々が数人」
「……そんなことってあるのですか?」
「肉体的には健康そのものでしたよ、アンチエイジングもバッチリ、ただ、本人の意識が怪物の本能にかなり影響を受けてたり、乗っ取られていたりしましたが、ささいなことですよね?」
「いやダメでしょう!?もしかしてこの森独自の怪物なのですか?」
「ウロツキノコでしたっけか。そんな感じの彷徨うキノコですね、胞子で攻撃してきて、犠牲者が意識を失ったら、菌糸を伸ばして一体化して操るようですね」
「ば、バイオハザード的な何かっぽく聞こえますが」
「まあ、農薬で剥がれるのですが」
「んな乱暴な、って農薬ってあるのですか、この世界」
「シャヨ国は農業面では、かなり未来を走っていますからねー。いや、文化面でもかなりの突っ走り方というか、むしろ暴走気味ですから」
「それ本当に異世界なんですか?」
「コンビニとかショッピングモールとかの概念が通じましたからねー、怪しいところではあります。どこか文化的に地続きなのでしょうね」
「うわあ……」
「おそらく、私の神様の影響だとは思いますがね」
「ええとトムさんの神様?」
「ご存知だかご存知でないか知りませんが、テーブルトークRPGの神様と言います」
「あ、そのゲーム好きです、というか、かなりピンポイントな神様ですね?」
「お、信者ゲットですかね?そう見たいですね、あまり知られてないようです。なのであまり大規模な働きかけができないようで?いや意外とはっちゃけているところもありますが」
「はっちゃけている?」
「他の神の後頭部に、バールのようなものを打ちおろすくらいには、はっちゃけていますね?」
「は、犯罪じゃないですかね?」
「神様界では、デフォルトらしいですよ、バールで撲殺とか。法と秩序は結局、守らせる対象にどれだけ影響力を及ぼせるかという問題ですし、結構実力というか腕力がものを言う世界らしいですよ、神様ワールド」
「物騒じゃないですか!」
「まあ、やりすぎると、他の神様からの介入を招く理由になるわけですが、どうも、縄張りを守るための暴力とか実力行使というのは、概ね黙認されている?みたいな?」
「や、ヤクザの抗争みたいですね」
「あ、それです、的確な表現ですね、みかじめ料とかおしぼり代とかの代わりに、信者の信仰心とかをいただいている感じでしょうか?こうあなたの心身を守ってやるから、出すものを出しなさい、みたいな?」
「まんまそれじゃないですか!」
「別に否定はしませんよ?信仰心のない相手とか、敵対する神様の信者とかに対して、慈悲とかないので、もしかしたらそれよりひどいかもしれませんが」
「神様のイメージが崩れますね」
「まあ、そういう神様ばかりではないと、信じたいですけどね」
「立派な神らしい神とかいたのですか?」
「私の知る限りでは、他の神様の縄張りでこそこそと、商売をして荒らしていた神とか、人間を世界の垣根を越えて、さらってきて、おもちゃにして楽しんでいたとかいうものとか、そうそう、悪くて強い魔王を倒す勇者を召喚するのに便乗して、次に作成予定の新しい世界の法則とかをテストしてみよう、っていう、自己中心的な方もおられましたね」
「全敗じゃないですか!まともな神様はいるのですか?というか、魔王を倒すために力を貸してくれる神様は?」
「自分の信仰を高めようと、適度に人々を追い詰めつつ、自ら加護を与えた勇者をいい感じに動かしている神様というのは、客観的に見ていい神様なのでしょうかね?ちなみに、かなりの勢力圏を収めている実力のある神様ですので、うかつにご機嫌を損ねると、泡沫神なんて、宇宙の底にいい感じの重さのコンクリートの靴を眷属とお揃いで、コーディネートされて、ご招待されるようです。もちろん片道ですね」
「神も仏もないのでしょうか?」
「仏、ってそういえば聞きませんね?上位存在のカテゴリの一種なのでしょうかね?単なるお亡くなりになった人という意味でしかないかもしれませんが?」
「さて、今夜一晩泊まる塔につきましたね、食料とかは事前に用意しておきましたが、ありますね。怪物も入り込んでいないようです……人がいないとこないのですかね?」
「ダンジョンだと、自然に発生したりしますけどね、では夕食を食べて、休息ですかね?」
「そうですね、で、いろいろと、お話し合いをしましょうか?アレスさん」
「もうすでに結構、いっぱいなのですけどね、トムさま」