56_全てを見通せたからといって、物語がシンプルになることもなく、逆に制約も多くなるのですね。
「とりあえず、当面の目標の一つとして、魔法の定期で行けることのできる場所を増やそうかとは、思うのです。強化外骨格を装着したら、かなりの速さで、空を飛べますので、主要な都市群を回ってきてもいいですし、怪しげな遺跡とか、シンボルを巡ってくることが可能でしょうから。
『なるほど、何か起きた時にすぐに対応できるようにじゃな』
それもありますが、どうせですから、気楽に観光をしてこようかと?基本私に敵はいないようですし、安全が確保されてる上に、積極的に魔王を倒さなくても良いのでありましたら、これはもう、この世界を楽しんでみようかと?
『うん、お気楽じゃが、下手に社会に介入されると、他の神様、さらに言うと、強くて悪い魔王を主として討伐せんとする、勇者に加護を与えておる神様じゃが、それに睨まれてしまうからの』
逆に言いますと、さっくりと夢から覚めて帰ればいいのではないか、とも思いますが。
『そちらもお勧めするぞ、まあ、もう少し現場のデータが欲しいところではあるが、このまま続けてもまっとうなゲームバランスになるような気がしないしの』
一応、魔王が討伐されるまでは、念のためにいようかな?と、いつまで過ごしても、帰るときには時間が経っていないという、素敵な仕様でありますし、なら、時間を気にしないで、楽しむのもありかな、という気持ちもあります。
『堪能しておるの』
おかげさまで」
「テーブルトークRPGの神様は、遠慮して欲しいようですが、やはり経験値と、強化外骨格のさらなるグレードアップはしておいたほうがいいかもしれません。
『趣味的な話ではなくてかの?』
他の神様の介入があったときに、ここがしっかりとしていたほうが良いと判断しました。少なくとも、神様が、この世界で何らかの影響を及ぼすときに、自衛くらいはできるようになっていたほうが良いように思うのですよ。このシャヨ国を守るのが最低限のラインで、できればテーブルトークRPGの神様が用意してくださった、この大陸程度は、守護して、元の世界に帰りたいですね。
『意外と面倒見が良いのじゃの?』
庇護欲というよりは、自分の所有する物を好きにされたくない、独占欲に近いとは思いますが。
『この世界は、お前のおもちゃではないのじゃぞ?』
お気に入りのおもちゃですよ?壊したくないし、壊されたくないし、楽しむことを邪魔されたくないので、結構本気で守ろうかと、思っていはいます。趣味の為にで戦う人間は結構強いですよ?信念のために戦うと言い換えてもいいかもしれません。
『格好良いのかの?』
さあ?どう見られようと気にしませんが、見られかたによって、守りかたの難易度が変わるなら、注意しましょうかね?」
「今回の強化外骨格を強くしたことで、かしこさ への強化が大幅になされたわけなのですね、で、魔法で探索というのは、かしこさに比例して効果範囲が広がるのですが、34Lvで覚えた魔法に魔法で探索の強化問いうものがありまして、これは、魔法の探索の範囲や、その精度を上げるものであったのです。そしてですね、この強化は、最初の状態から、つまり覚えた瞬間から、重ねがけが可能でありまして、さらには消費MPも1点という少なさでした。さらに、魔法の多重起動やらを覚えた結果ですね、少し無理をすれば、この惑星全体をカバーできるくらいの大きさの探査範囲を設定することができるわけです。
『まあ、できるじゃろうな。後、進行方向に絞れば、もっと索敵範囲が広がるじゃろうな、なぜならば、それほどの広さを素早くカバーしなければ、安心してスピードを出して航行できないからであるな』
超高速でフライトするときには、あらかじめ進路がクリアかどうかを確かめて、進むつもりでしたが、それだけの精度と、即応性があるのでしたら、空を飛ぶのも安心なのでしょうか?
『まあ、基本的には、ある程度高度をとって飛べば、航路は空いておるじゃろうからな、ただ、地上からの管制はこれはまあ、まず期待できないわけであるから、低い航路では、他の航空機……魔法で動く飛行船とか、飛竜に乗った人間とか、には注意が必要じゃとは思うぞ?』
確かにそうですね。
『高い高度でも、古龍とかが平気で飛んでおったりもするからな、その辺りは、未来を予測して飛んだ方が、安全じゃろうの』
ああ、因果律制御装置にはそういう使い方もありましたか。
『加工するのではなくて、観察だけならば、あまりエネルギーを使わないで、使用することができるじゃろうしの』
……あれ、とすると、私未来予知とかできるわけですか?
『近い未来の選択肢ぐらい見えなくて、神様ができるわけなかろう?』
その割には、私のしっている神様が、かなりへっぽこな行動を繰り返しているのですが?
『他の神様が関わる案件は、見えにくいからのー』
なるほど。
少し試してみますと、あまりMPを消費せずに近い未来につながる選択肢とか、見えますね、かしこさが上がっている分、脳の処理速度にも補正があるようで、あまり混乱もしないようです。しかし、慣れないうちは、振り回されそうな気もしますね?
『練習はいるじゃろうな。まあ、要は慣れじゃよ、慣れ。神様の力は、結構すぐに進化するからの。今も、強化外骨格を換装しておらんのに、因果律制御にまつわる装置を使用しておるじゃろ?』
そういえばそうですね。なるほど、因果律を制御するというのはこのような感覚なのですね。
『自らの望む未来を引き寄せる力とか言われておるが、まあ、ご都合主義とも言われたりするの』
身も蓋もありませんね」
「何の話でしたか、そうそう、惑星を囲むくらいの魔法で探索ができるというお話でしたが、これを使用すれば、一々現地まで飛ばなくても、魔法の定期が使用できるようになるのでしょうか。ダメなようですね、質問した時点で、答えが返ってくる感覚は、まだ慣れませんね。
『自問自答で、問答が解決していくのは楽ではあるが、極めていくと、全く悩まなくなってしまうので、精神の安定上問題が出るかの?』
意識して使用を制限しなければ、神の干渉が少ない場所で、生きるのがつまらなくなってきそうではありますね。まあ、量子力学的な揺らぎはどこにでもありそうではありますから、確定した未来というか、筋書きがあらかじめ決まっているというような閉塞感はあまり無いきもしますが。
『自分の選択で、行動を決定したようなきがする段取りを踏むと、結構満足度がますぞ?後、あえてお間抜けに行動するのも、何が起こるかわからずに楽しかったりもする』
ああ、なるほど、失敗することのできる神なわけですか。
『そうじゃの、フレキシブルで都合の良い神様ライフというやつじゃな、未来への補償はその分少なくなるが、生きていて楽しいと思えない時間が永劫に続くとか考えると、多くの神が、完全に閉じた世界で、因果律を制御して生活するとかしないのも、まあ、当たり前といえば、当たり前なのじゃな』
なるほど、だから、神界というオープンなフィールドに集まってたりするのですね。
『適度に因果律が歪むからの、まあ、中には、完全に閉じこもってしまう、孤独好きな神さまをおるがね』
へえ、それはそれで、静かで落ちついた世界になりそうですね。
『孤独の毒で、奇妙な自傷世界になってたりもするがの、まあ、自分がどのようなタイプの神様か見極めるのが、大事なのじゃろうの』
神様の進路相談とかありそうですね。
『まあ、弱みを見せた瞬間に、狩られる対象になってしまうがの』
それ、ダメじゃないですかね?若い神様が育たないのじゃありませんか?
『まさにそれな。基本寿命が無いと言っていいくらい長いからの、神様。むしろ長く生きていれば生きているほど、強いしの。気まぐれで、若いのを欲しない限り、食物にされることが多いぞ』
物騒な社会ですね、よく破綻しませんね。
『まあ、稀に、一柱が、分裂して、バランスをとったりしておるからの。こう良心というか、多様性を求める、変化を求める神格が、適度に生まれるので、な。新しい神が生まれて育つ余地も、十分にあるわけじゃよ。同じくらいに、サクッとかられる狩場もあるわけじゃがの』
やはり、物騒ですね」
「知覚範囲が広がりますと、いろいろ厄介なものも引き寄せそうですね、具体的には、虐げられている人とか、事故とか事件とかで心身に多大なダメージを負いそうな人々とか、
『神になりたての人じゃと、それらを全て救いそうになって、混乱することも多いぞ?』
まあ、私は結構薄情ですので、こちらに関わってきそうになければ基本無視できそうですね。魔法で探索ではあまり前後のやり取りとか、周囲との関係とかが見えないところもありますが、因果律操作からの、時間軸を超えた観察とか行えば、趣味に近い善悪判定とかはできそうですね。
最初に言ったようにあまりしようとは思いませんが、下手に介入すると、全体のバランスを崩しかねないことが、同時にわかるというのも、面白いですね。
『すごい勢いで、神様の力に慣れていっておらんか?正直、ちょっと引くレベルなのじゃが?』
おそらく、強化外骨格の力による補正が働いているのでしょう。もともと自分以外にはそれほど興味を抱いていないという性格のせいかもしれませんが、積極的に介入していくのも暇つぶしにはなりそうではありますが、そこまでの欲求はまだ出てきませんね?
『全ての因果を操作して、完全に管理しつつ、そのことを悟らせないという、神様もおるがの。まあ趣味の範囲じゃな。遠い未来において、他の因果と交わるのを延々と遅延させていくような感じじゃな。大抵は、そのうちに変化が乏しくで飽きたり、完全に予想されることしか起こらない世界は、あってもなくても同じじゃないかな?とか思い余って、破局を迎えたり、まあ、いろいろなパターンはあるぞ』
幸せを与えるというのは傲慢ではないかなとかは思いますが、偽善でも善であることにはかわりないという意見もありそうではありますが、そもそも私は彼らの神ではないし、さらには、まだ神として振る舞う気はありませんね。
さらに言うと、このような不自然な世界に干渉したくはありませんよ?こう、少し探ってみたらわかりますが、複数の神様の影響下にあるという異常な状態、しかも、正式な手順を踏まないで、関わってきている神様多数が存在するような、そのような現状で、何か神的な関わりをしたら、どこがどう回りまわって、破滅的な結果を導きかねないですよね。
『そこまで読み取れるなら、まあ、ワシが何を言うこともないかの?』
よくよく考えたら、別に世界の保全を私が気にする必要もないのではありますけどね。
『不穏当な意見じゃの!』
所詮異世界ですし。強化外骨格を手に入れた未来を呼び寄せた瞬間、世界がなくなっても何とかなる展開をさらに引き寄せられることがぼんやり判明しましたからねー。
『ある意味、神様向けの資質があって、良かったというべきか、最悪な展開であるというべきか?』
そちらも大概失礼ではありますよ?」
「というわけで、テーブルトークRPGの神様の対話の流れから、実は私は神様になれそうですよ?巫女さま」
「とすると、私は、勇者さまの巫女に転職したいですね、その方が、幸せになりそうですし、最悪この世界が滅びましても、一緒にいることができそうです」
「さっくりと、世界に見切りをつけていませんかね、恐ろしい人ですね」
「このような女はお嫌いですか?」
「いいえ、すごく好みです。どうやら、テーブルトークRPGの神様、その眷属神として振舞っても問題ないようですので、巫女さまの管轄をこちらにも移しておきましょう。この場合、複数の神様を封じることもできそうでありますね」
「多神教なら、時と場合によって、祈る神様を変えるので、問題ありませんですしね」
「なるほど、そういうシステムなのですね」
「とりあえず、強化外骨格のさらなるバージョンアップに加えて、新しく手に入れた力の練習とかをしていくつもりですね」
「もう完全に魔王は無視してしまってよろしいようでございますね、勇者さま」
「そちらは、下手に介入すると、権威のある主たる神様に睨まれそうですからね、保身に走りましょう。こちらから、何かをしなければ、向こうも介入してはこないでしょう」
「それは”旗を立てて”いるかもしれませんよ?言霊がシャレにならないレベルで、成立するような存在に成りかけているのですからご注意ください」
「難しいですね、うかつに予想もできません」
「行動あるのみというのも、短絡な結果を呼び寄せそうですし、注意深く、発言するしかないでしょかね?」
「仕様上、発言を0にすることもできませんし、気をつけていきましょう」
「そうですね、勇者さま」