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47_シンプルに、行き着くところまで行きますと、概念が哲学的な分野に踏み込んでいくので、踏み抜きましょう。

 「何がおかしいのじゃろうかの?」

「サブマーリン学園長、あなたの言葉とか知識ですが、ところどころ未来の時系を過去のこととして語っている認識がありませんか?」

「ううむ?そういえば、認識がおかしいような気がするの、世界改変系の魔法の影響かと推測しておったが」

「ここに来る前に、テーブルトークRPGの神様が仰られていましたが、異世界転生やら転移ものの小説に限りませんが、フィクションの分野では、同じような時を何度も繰り返して、正解にたどり着くタイプの物語があるようですね。ループものと呼ばれるそうですが」

「くはぁ!少し待っておれ、そのワードが爆発点となって、記憶の封印やら認識操作の影響からの離脱やらが発生して、精神が不安定になっておる!ちと自身で精神を正常に戻す魔法を使用する、んじゃ!」



 「うーむ、落ち着いたぞ」

「結構すごい精神力ですね」

「伊達に王国1の魔法使いを名乗っておらんよ。それにしてもしてやられたの、細かいジャンプは数知れないし、大きなものなら、6回は最初の方から繰り返しておるわ!」

「年代範囲はどのくらいでありましょうかね?」

「それぞれの巻き戻しは様々じゃな、10年から3年の間じゃろうか?長い巻き戻しが3回と、短い目のそれでも3、4年ほどは巻き戻っておるがそれが3回。細かなそれは、数えきれんなぁ。クククわしのシマで好き勝手してくれおって……この落とし前はつけてもらうぞ、あーん↑」

「ヤクザですか、というかテーブルトークRPGの神様の本音が、学園長の口から漏れていますね。落ち着いてください」


 「繰り返しの起点になっているのは、ヒロイン枠のフローラ嬢ですか?」

「それははっきりとはしておらんな、じゃが、卒業が終了して、フローラ嬢が誰かとくっついた後、何がしかあって、大きく巻き戻っておるな。こやつ、もしや、スチルの全種類コンプリートを目指しておるのか?」

「なんですかそれは?全種類を集めるとか?」

「”ゲーム”で起こりうる全ての”イベント”を網羅してその情景全てを特別な静止画にして記録するのじゃよ、やり込み要素でCG収集率100パーセントにするというやつじゃな。もちろん、それぞれの攻略対象ごとにストーリが違うからの、全て集めるためには、順に攻略対象をクリアしていく必要がある、という仕組みじゃ」

「面倒くさくないですかそれは?』

「一つのゲームで色々な展開が楽しめる、お得なシステム、とかいう売りではないかの?想像はできるぞい。まあ、巻き込まれる方はたまったものではないが」

「ああ確かに、シナリオを変更しても共通の部分を流用できますから、コストが下がりますね、商売としては正しいのでしょうね」

「しかもやり込み要素とか銘打っておけば、無駄に時間をかけてもそのストレスが軽減できるしの。中古市場への流れを阻害できるのも大きいじゃろう」

「……学園長のその知識どこから出ているのでしょうね?まあ、想像はつきますが」


 「おそらく、全てのスチルを集めるために、バッドエンドも網羅しようとしているのじゃろうな、メインの攻略だけならば、すでに大きなループの回数で足りておるじゃろうし」

「ええと、金髪王子、青騎士、緑坊や、白髪聖女、燃える漢、紫毒舌眼鏡、で5人ですね、それに銀髪教師で6人ですから、足りなくないですか?」

「金髪王子と青騎士は最後の方の分岐でエンドが変化するのじゃろう、ここは短いジャンプで回収しておるのかの?白髪聖女と紫毒舌眼鏡も並行してやれそうか?攻略キャラの、好感度の制御とか、プレイヤーのスキルが高くないかのう?しかも、友情エンドとかならともかく、てひどい滅亡エンドとか、好き好んでリアルで経験したいものかのう?」

「専門用語がスラスラ出てきますね」

「正直わしも、こんな知識を与えられてものう、という残念な感想しか浮かばんが、まあ、何かの役にも立つかもしれんし、ありがたく受け取ってはおくのじゃが」

「今度、テーブルトークRPGの神様に言っておきますね」

「そこは是非に、どうせなら、もう少し役に立つ知識が欲しいと、盗撮とか盗聴とか機械的な奴がいいのう」

「犯罪者を作る気はないのですけど……監視カメラとかの知識とかなら、ギリギリOKなのでしょうかね?」



 「同じ時を何度も繰り返すとか、ループする対象の精神的には大丈夫なのでしょうかね?」

「わからんの、並の精神だと異常をきたしても良いようなレベルじゃとは思うが、実際、わしも魔法がなければ即死じゃったし」

「ヒロイン枠である、フローラさんには耐性があったのでしょうかね?」

「それかもう一つの可能性もあるのう」

「もう一つ?ああ、最初から狂っているというものですか。どうでしょうね、まるで世界がゲームのようであるとか、まるまるゲームの世界であるとか認識しているなら、それほど負担なく繰り返すことができるのでありませんかね?」

「そういうものじゃろうかの?いやそれはすでに狂っていると言えるのじゃないかの?」

「毎回同じ授業を受けたりするのは、これは苦痛だとは思いますけど、裏がえすなら、復習が完璧であるわけでありますし、予習もする必要はありませんね、筆記テストとかなら、問題も同じでしょうから、好きな点数を取ることも可能でしょうね、成績が優秀なわけですね」

「なるほど、そういうメリットな面もあるのじゃなあ、しかしわしなんぞ、同じ書類仕事を述べ20年くらい繰り返した記憶があって、かなり精神に負担がかかっているのじゃがの?」

「攻略対象や、周囲の会話とかも同じようなものになるはずですしね、確かにこれはストレスが溜まりそうな気がします」

「生粋のゲーマーならその辺りの精神もタフなのかもしれぬのう、何しろ奴らは本気で24時間ゲームができる人種らしいからのう、それも単調な作業を延々と、ボットと見間違われるくらいの廃人も存在するらしいからのう、……またいらん知識が増えたぞ?排泄行為すら省く精神の持ち主なら、それは精神的な抵抗は高かろうな」

「何ですかそれ。いや、具体的に説明して欲しいわけではありませんが」

「つまりじゃの、そのままたれなが……」

「だからいいというに」


 「とにかく、もうループはもう発生させさせるわけにはいかんじゃろう。というか、すでにトムさんがここにいる時点で、ループを発生させることはできんじゃろうな」

「ああ、なるほど、テーブルトークRPGの神様のお力ですね」

「それもあるが、これほど明確な異物が存在している時点で、システム側の仕様で安全弁が働いておる、のではないかの?次に短いジャンプをするか、本格的にループを試そうとしたなら、阻害されておることに気がつく可能性があるがの」

「では素早く動かないといけないのですが、正直これから、どうしたものでしょうね?」

「そうじゃの、具体的には何か手が思いつくかの?」

「恋愛ゲームの逆ハーレムもの、悪徳令嬢転生もの、ループもの、後、何か一つ?ゲーム的なものが混ざっているのかそれらを包括している神様が、本来テーブルトークRPGを司る神様の領域に存在しているわけであると推測できるのですね、あともちろん私の奉じるテーブルトークRPGの神様ですね」

「複数の神が実際におるというのは、教会側に知られると、ちと厄介じゃな」

「教会は、一神教でしたっけ?」

「主神はおるが多神教っぽい体裁をとっておる、ただ、既存のそれ以外の神じゃろ、概念が取り込めなかったら、邪神認定で騒がしくなるわけじゃ」

「なるほど、教会側はそういう仕組みなのですね」



 「ちょっと現在のシナリオ状況を、確認するぞ、今の時期は、学園入学の3年目の初夏じゃな、新学期は春じゃから、卒業までにはまだ時間があるのう。主なイベントとしては、魔王軍の4天王が襲来して要石が一つ壊されてしまう、が、四天王も駆逐されるじゃったが、この展開はトムさんの介入で防がれたの」

「なるほど、すでにシナリオからは逸脱してるのですか、次の展開とかはわかりますかね?」

「本来なら、要石の復旧のために、ダンジョンへ潜って、必要な素材を入手するとかになるが、それはキャンセルされるじゃろうな。とすると、とくに大きなイベントは存在しないのう」


 「イベントで、四天王が排除されるということは、この逆ハー神様の領域ですと、魔王軍もその権能の巻き込まれてしまっているわけですか。あ、ということは期せずして、本来こちらのリソースになる四天王の経験点をゲットできましたね。……うまくやれば何回がジャンプして、四天王を狩り続けられませんかね?」

「いや、トムさんのテーブルトークRPGを司る神様が同じ領域におられるから無理じゃないかの」

「ち、肝心な時に邪魔しやがるな、あいつは」

「おーい、もう少しオブラートに包みませんかのう、聞いていて怖いわ」


 「シンシア嬢もループ前の知識が残っている可能性がある?」

「そうじゃの、ちょっと的確すぎる指摘やら行動が目立つからのう、繰り返しにおける精神汚染とか障害は、自身の精神制御魔法でこなしたのじゃろうな。その手の魔法では、才能的には少し劣るわしでもできたのじゃから、それほど無理な話ではないじゃろう……伯爵本家はどうじゃろうかの?ちょっと実力が足りとらんか?確認が必要かの?」

「安全に接触できそうな可能性が高いのは、シンシア嬢かな。スチルを全て集めるのが目的だとすると、フローラ嬢とは敵対しそうではあるし。ただ、裏で繋がっていたりするとやっかいですねー?……そうだいい手があるじゃありませんか」

「どうするのじゃ?」

「順に闇討ちしてしまえばいいですよね、どうせもうループでやり直せないのだから、それぞれ、きっちり息の根を止めてしまば、シンプルに解決できそうですね!」

「しれっと、とんでもない発言をしよるな、しかも目がマジじゃ!凄腕の殺しヒットマンの目になっとる!」

「もう色々面倒くさいですし、さっくりやってしまいましょう。核を排除すれば神の干渉もなくなるでしょうし、被害も最小限に抑えられます。私もらくですし」

「笑顔が怖いんじゃが!待て、おもいとどまれ、トムさん!色々本音が漏れとるぞ!」



 「冗談はさておき」

「いや本気じゃったろう、あの目は」

「8割ほどは。いやでも、この手なら、彼女たちは、まだ油断しているでしょうし、忍び込んで一刺しでスッキリしますよ?容疑の黒さの濃い方であるフローサさんをやってみて、神の干渉が消えたら簡単ですし、それで消えなければ、次にシンシア嬢を消せばいいわけです、その後は、順に該当する確率が高そうな方から、順に片付けていけばいいわけですけど、今の所、記憶を持ち越してループしているっぽいのは、この二人の令嬢ですから、ほぼ間違いなく事態は好転しますよ?」

「理屈としては正しいような気がするが、さすがにうら若き乙女にして、我が校の生徒を無下に散らすわけにはいかんぞ?道義的にも、心情的にも、倫理的にもじゃ」

「どちらにせよこのままだと、無理なループのあおりを受けて、世界が崩壊する可能せすらあるわけですが?」

「あー、そういう問題もあったのう」

「神の影響範囲外との認識がずれてきてますからねえ、特に四天王の一角、これなんて、距離を超えて辻褄を合わせようとしているから、かなり脆くなっているとは思いますよ。しかも6回目でしょう?よくこんな無茶をする気になったものですね……ああそうか、あの四天王、本物じゃないかもしれませんね、それなら無理が多少効きますよ。ちょっと、うちの神様に調査してもらっておきましょう」

「神様づかいが荒くないかのう?」

「向こうは勇者づかいが荒いのですから、お互い様ですね。ともかく、必須なのは、シンシア嬢の能力の範囲内に近づかないようにして、フローラ嬢を排除、結果を神様経由で確認して、核でなかったら、返す刀で、シンシア嬢を消すと。精神魔法は学園長が協力してくれたら、近づくをごまかすくらいはできますよね」

「いや、だからそれはやらんというに!」

「シンプルな解法なのですけどねー。まあ、もし仮に二人を消しても神に届かなかった時が、問題ではありますね、まさか学園全ての構成員とか関わってる人員全てを消すわけにはいきませんし」

「当然じゃ!」

「時間がかかり過ぎますからねー、私が面倒くさいですし」

「倫理的なブレーキが存在していないのか、お主」

「……人ってまだ切ったことないんですよねー、楽しみだなぁ」

「せ、世界の平和のためには、魔王よりも前にやらなければならないやつがいるということじゃろうか」

「冗談ですよ、よく考えたら、人に、似たような存在はすでに切ったことがありましたし」

「あ、安心できる要素がないわ!」

「またまた冗談ばっかり」

「……」

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