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43_シンプルな話をしていたはずなのに、登場人物が多くなりすぎて、まとまらないことってありますよね?

 「あ、テーブルトークRPGの神様からメッセージが、神のメモ帳に書かれたようですね、光って知らせてくれてます。そのうち着信音とかなるのでしょうかね?隠密状態でいるときになったらシャレにならないので、マナーモードにしておきたいところです」

「できるのでしょうか?」

「あの神様なら、そういう無駄に神経を使った機能は完備していそうですよね。そのうち形状がスマートフォンになるかもしれませんが、巫女さま」

「さすがに、違和感がありすぎるような気がしますよ、勇者さま」


 「さて、どんなことが書いてあるのでしょうかね?


 『王都がまた他の神様の影響下に置かれているようです』


 あ、なるほどやっぱりそうですか。


 『今回の神様も、小説の神様の1柱でありまして、異世界転生、悪役令嬢、もしくは、ヒロイン、恋愛学園物、ベースが転生前のゲーム世界、などのタグを司っている神様、である可能性が高いです。くうまあ、こうも次から次えと羽蟻のように湧き出てくるものですね!』

 

 ?学園恋愛物?どんなジャンルなのでしょうかね?


 『幾つかパターンが確認されるのですが、勇者トムが元いた世界から、転生してきている設定が多そうですね。その際、やり込んでいたり、友人やら肉親がやりこんでいた、乙女ゲームに酷似した世界へと転生することが多いようです。基本そのゲームに登場する主要キャラクターに成り替わっていまして、その元々のキャラクターの設定のまま、時間が過ぎていくと、悲惨な最期やら、社会的には成功しているのですが、個人的には意に沿わない結婚をさせられたりするので、どうにかして、未来に起こるべくゲームのイベントを回避したり、利用したりしつつ、転生した本人の希望を満たす人生を送るか、とかその運命に翻弄されるヒロインの状況を描く、物語、といったところが、よくありそうなパターンでしょうか?』


 なるほど、恋愛要素が中心なのですね。あれ、私その現場のようなものを見たことがあるような?今日の魔王四天王の襲来も、物語りの流れだったのでしょうかね。桃色の髪の少女やら、銀髪の貴族の少女やら、立て続けに登場しましたし?


 『そうですね、その二人は有力候補です。

 ですが、油断しなでください、異世界転生悪徳令嬢ものの小説では、全くゲーム本編では関わらなかった、もしくは、影の薄い、いわゆるモブというキャラクターが転生先になっていることもありまして、裏で暗躍している可能性もあります。

 転生者が一人ではないというパターンや、女性向けのゲームですけど、男性キャラクターに転生している可能性とかもありますね。

 さらに厄介なパターンとして、ゲームの仕様がクローズアップされていますと、ループ物が混ざる、混ざっている可能性があります』


 循環する(ループ)物語り?なんのことでしょう?


 『お話の分岐点ごとに時間が巻き戻って、最適な解が得られるまで、延々と状態を繰り返すことのできるジャンルです。巻き戻しされていることに主人公以外が気がつかないとか、主人公ですら、何度目かの繰り返しが発生するまでは気がつかないとか、最後まで気がつかないとか、いろいろありますが、それをやられると、事態がややこしくなる可能性が高いです。

 基本、司る神の力が及ぶ範囲でしか巻き戻しが起こらないと思いますから、全体を私こと、テーブルトークRPGの神様が抑えている大陸ですので、すべて巻き戻ることはないとは思います』


 なるほど、いくらかマシなのですね。


 『かなり最悪です。特定の関係性だけが時間を遡って、繰り返されると、他との整合せいを取るために、世界がひねくれたり、きしんだり、最悪破断してしまいます。もしそのような権能を持つ神様が関わっていると厄介ですので、可及的速やかに、状況を把握する必要があります』


 確かに、一部分だけ時間が巻き戻る、関係性が元に戻る?とかされると、混乱しそうではありますし、自分の意識がどうなるのかも心配ですからね。

 ええと、比較的速やかに情報を得る必要がある、のは確かですね。


 『で、ありますので、勇者トムは可及的速やかに、学園に編入して、調査を開始してください』


 なるほど、そうきましたか。夢の世界でも学生をやるのですか?正直なところあまり気乗りはしませんが?」

「学園ものですか!制服とかあるのですかね!」

「えっと、なぜかテンションが上がっていますね、巫女さま」

「学生服を着た勇者さまと、コスチュームプレイをして楽しみたいです!」

「特殊な文化に毒されていますね。欲望に真っ直ぐな巫女というのも、どうかとは思いますけど。そうですね、女性用の制服もありましたね、あかねさんにも似合いそうでした」

「ぜひ、手に入れてくださいませんか?いっぱいサービスしますから、勇者さま」

「うん、そこまで言われたら、行かざるをえないですね、巫女さま」



 「しかし、素直に、編入を認めてもらえるのでしょうかね?


 『問題なかろう、基本魔王に対抗する人材を育成する教育機関というのが、建前なのであるから、実際に魔王に対抗できる勇者が通っても。むしろ、ぜひに在籍してくださいと、菓子折りを持って、頭を下げて訪ねてくるレベルじゃろうよ』


 勇者という存在がそもそも認知されていないような気もしますが?


 『確かにそうじゃな。ではなくて、トムさんを中心にしてテーブルトークRPGの神の権能を発揮するので、怪しまれることはない、と思う、いや少しは違和感があるかもしれないが、概ね大丈夫だろう?少しは覚悟しておけ?』


 この亭主関白的なやりとりとか、お約束なのでしょうかね?


 『サブマリン学園長の認識やら、意識を少々操作するので、編入自体は上手くいくと思うぞ?』


 サブマーリンじゃなかったですかね?

 ところで、編入試験とかあるのでしょうかね?


 『その辺の、問題と対策も学園長と話し合ってくれれば良いな。裏口から現金を積み上げて入っても良いし、外国からの留学生枠でも大丈夫だろう』


 ああ、そういえば、一応シャヨ国の貴族扱いなのでしたっけ?辺境の限界集落であるので、あまり国という意識が少ないですが」

「ああ、そういえば、一応、国王のようなものも、おられましたね」

「いや、生粋の国民、しかも政府の要職というか、中央に近い巫女がそうだと困るでしょう?」

「困りますかね?」

「……対外的なやりとりがないので、実は困りませんね?」



 「というわけで、あなたがいなくても困らないという結論が出ました」

「おお勇者よ、いきなり何を言っているのかわからないので、情けない。

 ところで、学校へ通うことになったと聞いたぞ?」

「耳が早いですね?王都の学園に通うことになりました、テーブルトークRPGの神様のご依頼?です」

「そこで依頼があるのじゃが」

「何でしょう?珍しいですね?」

「負担にならない程度で良いのじゃが、最新の情勢やら、知識やらを仕入れてきてほしいのじゃ。さすがに陸の孤島すぎて、世の中の情勢に取り残されすぎているような気がするからの」

「今更ですか?まあ、別に問題はないですが」

「助かるぞ勇者よ、特に必要な知識は、農業やら、市場の調査じゃな。特に、そっちの王都での食糧事情やら、食文化やらを重点的に調べてきてほしい」

「ブレませんね、王様」

「うまくすれば、一儲けでくるからの。量とかに制限はあるが、手軽に行き来できて、商いができる人材も目の前におるし」

「いいように使う気ですね!どのくらいの取り分にしますか?」

「売り上げの2割を勇者側というのでどうじゃろう?」

「少ないですね、ここは対等に5分5分でしょう?

 まあ、その辺りは商品の品揃えと、商いが起動に乗せられるかどうかを見極めてからの方がよろしいですね。

 一応、世界も救わないといけないですし」

「ああ、そういう副業もあったのう」

「本業です、多分、おそらく?」


 


 「57日目の朝です。

 累積経験点:1,083,374点

 所持コイン:505,000枚

まずは、辺境伯領都ペンタですね、辺境伯さまに、状況を説明して、私が王都まで行けるようになったことを伝えておきましょう

 ついでに、引き受けられる仕事があれば、経験点稼ぎになるかもしれませんからね

 では行ってきます」

「行ってらっしゃいませ勇者さま」



 「おはようございます、若女将さん」

「おはようございます、ご主人様。今日も、辺境伯さまのところでございますか?」

「はい、事態が微妙に動きましたので、報告ですね。そうそう、エリザベスさま、結構ショックを受けていましたよ?」

「やはりそうですか?」

「正面から変身シーンを見たそうです」

「凶悪な事故に遭われたようなものじゃないですか?いえ、私も実際に見たことはないのですが、調査をしていた部下が、夢にまで出てうなされているとの報告を受けていまして」

「なんてひどいことをさせているのですか?!」

「そこまですか」


 「エリザベスさんのことは引き続き観察しておきます。ヤバそうでしたら、若女将へ回します。慰めてあげてください」

「了解しました、ご主人様」



 「というわけで王都の学園に通うことになりそうです」

「いや言っている意味がよくわからんが?」

「そうでしょうかね?まあ、学園内に魔王の手先が侵入している可能性があるので、潰しつつ、ローザ・トルクマン辺境伯夫人の実家も探ろうかと、そういう発想でありますね。

 忙しくなりそうではありますが、何しろ、いろいろと便宜を図ってくれている神様からの依頼ですので、やらざるをえないところが困ったところです」

「話を流してしまったが、もう王都に着いたのか!」

「ギアをトップにあげて爆走しました、もう少し速く走れそうではありましたね」

「最初からその気配はあったが、ずいぶん人間離れしてきたなあ」

「自覚はあります、自重はしませんが」

「自覚のある化け物か、敵にするとかなり厄介であろうなぁ」


 「学園に行くというなら、エリザベスをつけよう」

「は?」

「実は娘のエリザベスも学園に在籍中でな。魔王軍の動向が激しくなって領地が不安定になりつつあるという名目で、わしに化けていた怪物モンスターの辺境伯が、休学させて、戻ってきていたのだよ」

「なるほど」

「結構優秀な成績であるし、娘と一緒なら王都での屋敷が不自然でなくて、使用しやすくなるしな、まあ、移動に時間がからるのがネックだが。急ぎで戻らせても、2週間はかかる」

「ええと、手荷物扱いができるのでしたら、一瞬で、エリザベスさんを運べますが?」

「なんだそれは?」

「つまりですね……」



 「では、行ってきますね」

「うむ、気をつけてな」

「まあ、ちょくちょく戻って報告しますね。エリザベスさんのこともありますし」

「そうだな、しかし大丈夫か?なんだかぐったりとしているようだが?」

「意識はあると思いますよ?下手に動かれると、魔法の効果からはじき出されるかもしれませんから、きっちりと梱包させていただきましたので」

「まあ、旅行用のトランクに詰めておけば、いくらか楽であろう、結構大きいしな」

「便利ですね、これ」

「人間を手荷物して運ぶことは前提にしておらんかったけどな、よければやるぞ?」

「いいんですか?それでは遠慮なく。これがあれば、エリザベスさんも連れて動けるでしょうから、何かありましたら、連れて帰りますね」

「そうだな。その時には頼むとしよう、2回目以降なら、慣れて抵抗もしないだろうしな」

「しかし、客観的に見ると結構ひどい父親ですね?」

「確かに、娘の拉致に加担しておるように見えるな。じゃが、出席日数が足りなくなりそうになるまで、学園を忘れて、辺境に止まっておった娘も悪い」

「左様で、では、また後日」

「成果を期待しているぞ、トムさん」

「はいでは、魔法の定期パス 空飛ぶSL列車の行き先は、王都です」



 「という経緯を得まして、再度到着です。2回目の王都ですね。そういえば、王国の名前ってどういうのでしょうかね?

 神様のメモ帳を確認すると、オーガン王国というそうですね。初代国王の名前からとったそうです」

「……うー」

「あ、気がつきましたかね、というか正気に戻りましたか?トランクから、エリザベスさんを出しましょうかね?

 うん、すごい格好ですね、いや自分で拘束したのですけど。魔法で拘束って、結構きわどい拘束をするのは、仕様なのですかね?術者の趣味を反映しているのでなければいいのですが、それならもう少し芸術的にしたいものです……できそうですね?」


 「よだれとか、その他いろいろ出てはいけないような液まみれになってますね、目がとろんとして、これはあれですね、キツく拘束されることに酔っている感じでしょうか?エリザベスさん、起きてますか、というか正気に戻ってますかー?」

「……ぇい」

「はい?」

「……しゅごいぅ、もっとぅ……」

「魔法で拘束 の魔法って、何かいけない成分が出ているのでしょうか?それとも、この世界の人って、縛られると感じるのがデフォルトなのでしょうか?


 ……そうだとしたら、いい世界ですね、俄然技術を磨きたくなってきましたよ」


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