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39_目を離したわずかな間で何事かなすような事例を、シンプルに解決しようとすると無理が祟ります。

 「いろいろありまして、アレスさんという冒険者御一行を、このシャヨ国へ向かいいれようと思うのですが?」

「おお勇者よ、国民が増えるのは良いことだ。素性は確かなのかの?」

「借金のカタに身柄を確保しますので、何かあっても各種契約で縛れそうですね、王様」

「勇者というよりは、悪徳商人のようじゃのう?金貸し系のやくざとか言ってもいいかもしれん」

「無計画な借金なんてする方が悪いんですよ。しかも、肉体を物理的に金銭に換えたり、劣悪な労働条件で搾取するわけではないのですから、だいぶ良心的だと思いますけれど?」

「若い女性じゃったな?農家の嫁を金銭で買うようなものとすると、それはそれで聞こえが悪いぞ?」

「誰もこんな国に注目してませんから大丈夫でしょう」

「事実ではあるが、あまり指摘してくれるな。心が痛い」



 「他の神様の影響力が及ぶところから、離しておきたいという思惑もあるのですよ、少なくともシャヨ国なら、異世界物の小説を司る神様の影響は低いでしょうし、もう一度接触を持とうとしても、行動範囲が制限されていて、テーブルトークRPGの神様のお膝元であるから、動きづらいでしょう」

「なるほど、そういう観点でみれば、無理のない選択じゃな。まあ、そもそも移民を断ることができるほど、この国の限界集落っぷりには余裕がないわけじゃが」

「それでは、ええと、多く見積もって、一週間くらい?旅程に時間がかかりますかね?何か変更がありましたら、また、相談しましょう。基本的にはアレスさんたちの印象は悪くなかったですよ。実力もそこそこだと思いますし」

「うむ、ダンジョン攻略の一歩手前まで行ったのだな、確か」

「途中で無理に階層をショートカットしてしまったり、最後の戦闘だと、重傷者を何人か抱えていましたので、パーティ単独での戦闘力やらは低いのではないでしょうかね?」

「まあ、衛兵というか兵士のジョンソンも復帰したことだし、宮廷魔法使いの目付けだけをさせておくのも窮屈じゃろうからなぁ」

「そういえば元気ですか?ジョンソンさんと、復帰した魔法使いのチャーリーさんは」

「魔法使いのチャーリーは真面目にやっておるよ、魔法を使用した農作物へのアプローチは目をみはるものがあるな」

「なるほど、そういう方向性なわけですね、いやわかってはいましたが、本当にこの国は、農業を中心にして回っていますね」

「畑を荒らす怪物モンスター退治も手馴れたもので、だいぶ成長したように見えるぞ?精神的にも成長したのか、暴走する回数も減ったしの」

「あ、何か暴走はするのですね」

「国の青年を集めて、リサイタルをするくらいじゃがの?」

「そういうキャラクター、昔子供時に見たテレビに出ていたような気がします」



 「という感じで、アレスさんたちをこちらの国に引き入れることについて、王様から許可はとれました」

「女の人ばかりと聞きましたが?勇者さま」

「最初は、性別にこだわりはありませんでしたが、農家の嫁とり問題を解決できるとなると、女性で良かったですね、巫女さま」

「単純な労働力とするなら、男性でも良かったのですが?勇者さま」

「男性だけだと、次代に続きませんからねえ、巫女さま。そういえば、国の若い女性っているのですよね?」

「貴重な存在ですけれども、ちゃんと存在しますよ。ただ、人数的にいえば、男性が余るような割合ですけれども、勇者さま」

「ますます、女性であるという価値が高まりそうです、ちやほやされそうですね、巫女さま」

「子孫繁栄とか、人口増加とかは、結構デリケートな問題も含みますから、その辺りのケアが必要でしょうね、で、安産型の方々なのですか?」

「どうでしょうね?見たところスタイルの良い方は、確実に一人はおられましたが。シスターの方も結構良い肉付きでありましたね?あとは幼女と、少女と、若い男装が似合う女性です。あれ、実は嫁としては微妙なのでしょうか?それぞれに魅力的で顔も整ってはいますが」

「そもそも、全員こちらに来ることを同意しているのですか?」

「テーブルトークRPGの神様に睨みを利かせる必要性があるので、異世界転移物のジャンルが冒険者成り上りものを司る神が、この世界で核にしていた、アレスという少女は、本人の意思云々は関係なく、確保します。で、ジジという猫耳娘さんは、無条件でアレスさんにどこまでもついてくるようですし、他のメンツも少なからず友情やら信頼やら、各種しがらみでまとめて、ひっかけられそうであります、巫女さま」

「芋づる式というわけでございますか、なるほど、悪辣ですね、さすが勇者さまです」

「褒めても何も出ませんよ?せいぜい愛情くらいです」

「十分です」


 「54日目の朝です。

 累積経験点:1,059,022点

 所持コイン:503,725枚

 ですね、大量のコインが貯まってきましたけど、これ今後使用する機会があるのでしょうか?テーブルトークRPGの神様の領域が広がっていけば、直接コインで強い武器を仕入れたり、アイテムを手に入れたり出来る仕様のような気はするのですが?」

「そうですね、何か他に使い道がないかどうか、テーブルトークRPGの神様にお伺いを立てておきますね、勇者様」

「よろしくお願いします巫女様、では今日も、行ってきます」

「領都ですか?」

「いえまずは、そばの草原で、新所得した魔法のならしをちょっとしてから、その後で飛ぼうかと思います」

「了解しました、いってらっしゃいませ」

「行ってきます」



 「魔法の装甲、魔法の快速、魔法の怪力、の新魔法3種ですが、基本的な動きは同じのようですね。唱えるのに時間が多少かかりますが、対象を発見した後、接敵する前に、使用するとタイムロスも無く、使いやすいですね。基本不意打ちが主体の私の戦闘スタイルに合っているのではないでしょうか?


 持続時間はかなり長いのでしょうかね?どうやら、集中力が切れると、すぐに効果がなくなるようではあります。逆に集中力が切れなければ、延々と続きそうではありますね。


 別種の魔法での強化は、続けて詠唱すれば起動できそうですが、並行して維持するには、かなりの集中力が必要そうです、この辺りは訓練次第でなんとかなる、といいですね。


 さらに、同種の魔法の重ねがけも有効なようです、詠唱をさらにしなければなりませんが、これはかなりずるいくらい強くなるような気がしますね?


 結論としては、かなり使い易い魔法です。消費MPもMP軽減のロッドを使用すれば、3点で収まりますので、MP回復のブレスレットとの併用で、使用回数も稼げますね。


 ぜひ練習して、集中力を切らさないようにして、連続使用ができるように、訓練しましょう」



 「一通り練習も終わりましたので、領都へ飛びました。

 こんにちは若女将さん、例の件はどうなりましたか?」

「はい、ご主人様、つつがなく完了しておりますよ。こちら、アレスパーティ一行の債権を保証する証文でございます。これで、あの少女5人たちの生殺与奪権はご主人様のものですよ?」

「そこまで拘束力があるのですか?その証文に」

「借金の金額が金額ですからね、魔法的に逃げられない契約がされておりますよ」

「そんな魔法もあるのですね便利というか、思考を停止しているような気も致しますが」

「まあ、そのようなものがなくとも、商人連合に不義理を働くと、冒険者組合から専門の首刈りが派遣されますから、この国の表はもちろん、裏で生きていくのも難しくなりますけども」

「怖い組織ですね、冒険者組合」

「真っ当に生きている人にとっては、頼もしい組合ですよ?ようは付き合い方でありましょうね」

「参考までに、私が冒険者組合を敵に回したら、勝てますかね?」

「さすがに組織全体から狙われると、難しいのでは?というかご主人様でなければ、正面から敵に回すと言う、選択肢すら現れませんでしょうね?

 ……そうでございますね、優秀な首狩りが、まとめて返り討ちにされたあたりで、何らかの妥協点を図りに組合が動くと言うところでしょうか?」

「まあ、仮に敵対したら、端からすりつぶしていけばいいでしょう。丁寧につぶしていっても構成員が100万人を越えることはないでしょうし」

「それ以下の組織なら、問題なくしかも躊躇もせずに、潰せるっていうことですか」

「闇討ちならまあ、得意になりましたしね。さらに、周囲の被害を考えなければ何とでもなりますし……あれ、発想がテロリストのようになってきましたね、どうしてこうなったのでしょう?」

「なるべくしてなったような気も致しますが、ご主人さま」



 「というわけで、正式にそちらの債権は私が買い取らせていただきました。あなたちの、残りの人生を私が買った、という認識で間違いないわけでしょうかね?いまひとつ実感がないのですが?」

「その証文がそちらにある時点で、私たちは逆らえません。それは事実です。しかし本当に昨日の今日で、信じられないくらい仕事が早いですね」

「まあ、早いのは、ご褒美目当てに走り回った、彼女の成果なのですが」

「?」

「いえ、なんでもありません。で、これからの予定なのですが、アレスさんは決定しています、この国を離れて、とある場所へ移住してもらいます」

「はあ、はあ!?」

「田舎ですけどいいとろですよ、適度に怪物モンスターもでますから、狩りに精を出してもらってもいいですし、ちょっと類を見ないくらい農業が発展していますので、その方面で働いてもらってもよろしいです。

 恋愛も推奨です、是非地元の青年と仲良くなって、名実ともに、共同体の一員になってくださると嬉しいですね。

 ……何しろ、控えめに言っても限界集落ですから、その辺り切実なのですよ」

「いや、あの?言っている意味がよくわからないのだけど?ダンジョンに戻って、借金を返すために素材を集めたりしなくていいのですか?」

「アレスさんに対しては、しなくていいです。というか、ちょとした事情でしてはいけません。

 そうですね、端的に言いますと、多額の借金をネタに、農家の嫁を確保しようとしている、という認識で構いません。


 そうそう、アレスさんが男装している女性というのは、知っていますので。


 ああ、女性としての尊厳とかは守られますから、その辺りのことは安心してください。

 退屈で、農作業が少し辛いかもしれませんが、その分命の危険は少ないはずです、たまに畑に怪物モンスターが出るくらいでしょうかね?」

「急展開というか、ええと、あれ、これもしかして好条件ですか?」

「そうだと思いますよ?借金自体はその国に住んで真っ当に働いてくれれば、返却期限とかは気にしませんし、利子も取りませんから、意識しなくても良くなるかもしれませんね」

「……パーティメンバー全員がその契約で良いのですか?」

「最低限アレスさんがその場所へ行っていただければ、他の面々は、要相談ですね。借金完済を目指してダンジョンに潜ってもよろしいですし、他の手段で稼いでも良いです。ただ、その場合は普通に利子は発生させますよ?つまり今までと条件は変わらない、ということですね、私としては、正直どちらでもかましません……いえ、農家の嫁不足を考えると、移住してもらった方が助かりますかね?適齢期の女性には?」

「少し、こちら側で相談してもよろしいでしょうか?」

「よろしいですよ。そうですね、では、また明日、この宿屋を訪ねますので、それでは良い返事を期待しています」



 「という段取りになりましたので、若女将さん、また明日こちらに来ますので、何かありました知らせてくださいね」

「承りましたわ。それで、あの、ご主人様」

「はい?」

「ええと、私今回も頑張りました……ので、ええと」

「ご褒美がほしいのですか?」

「……はい、ほしいです♪」

「すっかりはまってしまいましたね」

「お嫌ですか?」

「いいえ、実に私好みですよ?」

「♪」



 「さて、少し魔法の訓練がてら、走ってみましょう。人気ができるだけ無い街道で、と、魔法の加速を一回かけて、

 これは、普通に維持できそうですね、景色が風になって流れていきます。

 さらに、もう一段階、加速をかけてみましょう


 ……これは速いですね。はやさ135ですか、単純に、普通の人の13倍ほどのはやさとして、時速130キロオーバーのランニングですか?

 人間の足でこれほどのスピードが出せるものなのですね、幅跳びやら、高飛びやらも、異常な数値になってしまいそうです。


 と、さすがに集中力が切れましたね。

 しかし結構コントロールはできそうです、これは、新しい街やらフィールドに移動する時に楽になったかもしれません。


 目撃者を驚かせてしまうという弊害は、ありそうですが」



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