37_事後と言うのは、事前と比べてもシンプルにすると後が怖いものでありまして。
「53日目です、大量のコインを国庫に納めておきました、所持しているコインはキリの良い数字に揃えてあります。
所持コイン数:505,000枚
ダンジョンマスター美味しかったですね。今後も狩っていく対象にするかどうか真剣に考慮する必要がありそうです。
例のごとく巫女さまとの夜戦で経験点も少し上昇しました。
累積経験点:1,059,020点
です、素材水晶も適当に売却したり、消耗品を補充したりしましたが、新装備とかそろそろ欲しいですね」
「おはようございます勇者さま、タフですね」
「能力値が、平均的な村人の4倍を超えましたからね、巫女さま。
今日は、またペンタの迷宮に行きまして、いろいろと検証してみようと思います、何しろテーブルトークRPGの神様、神様業界で忙しいようで、返信がほとんどないのでありますよ。
『今忙しいので、そちらで検証しておいてください。byテーブルトークRPGの神様』
でありますからね」
「まあ、今更何か期待するほどのことでもございませんね、勇者さま」
「それはそれで大概酷いような気がいたしますが、まあ、存在が存在でありますからね」
「というわけで、飛んできました領都ペンタです」
「おはようございますご主人様」
「若女将さんおはようございます、今日もペンタのダンジョンに潜りますね、お供は入りませんから」
「そうですか?寂しいです。物足りないですし」
「また今度、踏んであげますから、しっかりお仕事をしておいてくださいね」
「はい♪」
「ダンジョンですが、これはいけませんね、試しに、小鬼を狩ってみましたが、経験点もコインも出てきません。素材水晶のみが落ちる仕様ですか、自分がダンジョンマスターであるダンジョンでは、怪物を狩って得られるものに、かなりの制限がかかっているようですね。
考えたら、自分で用意した障害を自分で排除するだけですから、当たり前の仕様のような気がしますね」
「ダンジョンの管理人としての能力は、十全と発揮するためには、制御室まで行かないといけないようですね。権限で、ショートカットルートを仕様することができるようですので、そちらを通るとしましょう、所要時間は1時間ほど?ですかね」
「魔法の快速で移動すると、15分で最下層ですか、ほぼ直線上に落ちていただけのような気もしますが、早いですね。と、制御室です。本日はいろいろと調べてみましょうか」
「なるほど、前回ざっくりと調べた通りですが、ダンジョン内でてにいれた力を利用して、いろいろな物質を作りだしたり、怪物を生産したりできるようですね、で、怪物の生産を応用して、素材を得ることができると?ポイント自体は少なくなっているようですが、これは3日前くらいに迷宮を拡張したからですね、なるほど、私とトバリが瞬間移動の罠で飛んだ日ですね、拡張時の魔法の力の乱れに巻き込まれましたかね?」
「竜の素材が手に入りそうですね、これが一番装備を作成する素材としては、優秀でありそうです。希少な金属を落とす、怪物も呼び出せそうですから、こちらからも、素材を手に入れておきましょうか?素材そのものを呼び出すことについてはあまりポイントを消費しないようですね、まあ、軽くそれぞれ64個ほど、手に入れておきましょうか。ポチッと」
「迷宮の管理は自動モードがあるのでそれに設定、難易度は下層部のみ高くて、あとは、並か、優しいのもともとの設定そのままで。ある程度育っているので、特殊な強さの個体が入らなければ、最下層まで来ることはできそうにないですね」
「異世界転移の小説、それも冒険者成り上りタイプ、を司る神様の、核となっているアレスの一行はと、無事に中層部のベースキャンプに到着したようですね、そもそも彼らが最下層に来たのは、スロープの罠?滑り台のようなものですかね、それで下層に送られて、撤退が難しくなったからですか。地道に帰還した方が生存率が高いような気もしますが?最下層に行かなければならないような、差し迫った理由とかあったのですかね?
今は、特に問題なく、このままダンジョンを脱出する予定のようですね。
……再度、最下層に来る可能性もありますかね?その辺りを含めて、要調査でありますね」
「宝物庫がありますね、迷宮突破の褒賞であるのでしょうかね?リストによると単純に金銭的な報酬が大半でありましょうか。寿命を延ばす霊薬とか、人間の能力を突破するお薬とか、万病に効く、もしくは万病を寄せ付けない秘薬とか、すべての状態異常を回復させる丸薬とか、死者蘇生の魔法書とか、物騒なものもありますね。武器と防具も充実しているようではありますので、これらも調査とかしていかなければならないですかね?
……能力値を永続的に上昇させるアイテムとかもありますね。私にも効果があるのでしょうか?
基本的に宝物庫にあるアイテムはダンジョンポイントと引き換えで手に入れることができるもののようですね。
これは、バランスが崩れるとかどうとかいう問題ではないような気がするくらい、ゲームがイージーになってしまいそうなネタの宝庫であります。
……自重せずに突っ込むべきでしょうかね?まあ、ダンジョンポイントの現在の量と、引き換えに大量のダンジョンポイントが必要な、関係で、あまり極端につぎ込んだりすることはできないようですが、それでも、総数で20点くらいは上昇させられそうです、まあ、今後のダンジョン経営がズタボロになりそうな予感がしますので、行いませんが。いやそもそもこのダンジョンの未来とか私が気にする必要があるのでしょうかね?」
「どちらにせよ、うかつに動いて、他の神様によって捻じ曲げられた常識やら、法則やらが不利益に働くと怖いですね、一応薬とか万が一の時に有用はものは持って行くことにして、他はできるだけ触らないようにしましょう。でゆっくり調査でありますね」
「武器や防具のスペックを確認していたり、迷宮の設定とかを確認していたり、ダンジョンポイントの仕組みやらを確認いていたりしていたら、もう夕方ですか、情報端末が使用できるので結構さくさくと調査が進みますが、それでも一人だと結構時かんを食いますね。と言ってもここに別の人間を連れてくるのはリスクが高いので、欲に駆られて、行動しそうで怖いので、出来かねるわけですが。
今日は、もう帰宅するとしましょうかね?
と、アレスさんの一行も迷宮の外に出ましたか?結構超特急でしたね」
「こんばんわ、若女将さん。戻ってきましたよ」
「こんばんわ、ご主人様。早速ご報告が、ペンタのダンジョンで行方不明になっていた、アレスという冒険者の一行が、領都の冒険者組合に帰還の報告をしたようです、で、そのまま、もう一度、ダンジョンに潜るべく準備を開始したようですね」
「慌しいですね、何か理由でもあるのですか?」
「周囲には隠しているようですが、パーティの一員に、今回の冒険で呪いの状態にかかった方がおられるようで」
「呪い、そんなものもあるのか」
「はい、で呪いを解くために、ペンタのダンジョンを最下層まで潜って、呪いを解くアイテムを早急に手に入れたがっているようです」
「一度戻ってきたのは何故なんでしょうね?」
「初見であったので、アイテムが足りなくなったのか、攻略手順を見極めて必要な作戦を練り直しているのか、その辺りはわかりませんが、何か異常事態が発生したので、帰還したのではないかと見ております。さらに、事実として、パーティのメンバーは半壊状態だらけで、よく生きて帰ってこられましたね案件であったようですから、撤退は無理ないかと?」
「なるほど、当面の命の危機を回避する方向へと、舵を切ったわけですね。呪いの内容はなんですか?」
「死へのカウントダウンだそうです」
「物騒な名前ですね」
「効果もそれなりに物騒なものでして、特定の時間が過ぎると死亡する呪いです。時間経過を表すために様々なギミックが表面化すます。頭上に減っていく数字が現れたり、心臓に徐々に向かう蛇の刺青が動いて知らせたり、単純に全身が黒く染まってきたりと、様相が結構種類が多いですけれども、効果にはあまり違いがありません。類似品に全身が石化するとか、人間としての理性がなくなっていくとか、悪に染まるとかもありますね」
「なにそれ怖い、ですね、残された時間は少ないのですね。ちなみにその呪いにかかった方を見捨てるという可能性は?」
「パーティリーダのアレスさんは情に深い人で、しかも、呪いにかかっている方が幼馴染の女の子でありますから、ギリギリまで諦めないのではないでしょうか?」
「なるほど、まるで物語のような展開ですね。まあ、そのものであるわけですけど。
目論見としては、ペンタのダンジョンの最深部で、追い込まれたアレスさんが、逆転の一手とか隠された力とかが生やして、一つのクライマックスに仕立て上げようとした、とか予想できますね。そこに私が介入して、戦闘状態を解除したと?あっさりと撤退を決めたのは、再挑戦と呪いの効果による死亡時間とを秤にかけた結果でありましょうかね?もしくは、呪いの効果を甘く見積もっていた?または、呪いの効果をその幼馴染がアレスに心配をかけないように、黙っていた?まあ、いろいろ推測するよりは、実際に会いに行った方が早いですかね?」
「会いに行かれるのでしたら、今は冒険者組合ですね、呪いの効果が発現するまでに、解除アイテムを手に入れたいのですから装備が整って、仮眠をしたらば、すぐに出発しかねませんね」
「呪いを解除するアイテムがペンタのダンジョンにあると、よく知っていましたね」
「過去、まだペンタのダンジョンが浅いときに攻略した方がてにいれたことがあったようです」
「……なるほど、ダンジョンのコアのこととか知らなければ、ダンジョンが攻略されてもそこが消えるわけではありませんものね」
「何のことです?」
「設定のお話ですので、お気になさらないようにしてください」
「呪いって、そのようなアイテムでなければ解除できないのですかね?」
「簡単な魔法的な呪いですと、解除する魔法はありますよ、ただ教会が秘匿しているので、使用者は教会関係者に限りますね」
「アレス一行はそちらには行かないのですか?」
「教会と裏の方で、対立しているらしいという情報もありますが、そもそも呪いが強すぎるので、生半可な腕では、解除できないということもあるのでありましょうね、実際、パーティ内でも、結構な腕の魔法使いがいますけど、解除できなかったそうですし」
「なるほど、しかし、すごいですね、ここまで詳しい情報が手に入るとは」
「ペンタの街は私たちの庭のようなものですし、対象が、そこにいるならば、瞬時にその財布の中身まで丸裸にする自信はありますよ?」
「今更ながら、若女将の組織ってすごいのですね」
「ペンタ限定ですけれどもね、さすがに領都を離れるとその情報収集能力とか精度は落ちます、お役に立てたでしょうか?」
「もちろんですよ」
「では、ご褒美がほしいです、ご主人様♪」
「これから用があるので、軽くですね、あとでまたじっくり時間を取ってあげますね」
「♪」
「冒険者組合に到着しました、まずは観察ですかね?
アレスさんというのは、あの若い少年のような方ですね、結構整った顔立ちです。周囲にいる一緒に丸テーブルを囲んでいるのが、パーティメンバーですか。頭上に猫の耳のような飾りをつけている若い女の子に、10歳くらいに見える杖を抱えた幼女、際どいラインを金属製の鎧で隠した大柄な、スタイルの良い女性、清潔感あふれる寒色系のローブを着込んで、頭もすっぽりとフード?のようなもので包み込んだ、清楚な女性……。と、アレスさん以外は全員女性ですか?
……違いますね、アレスさんも女性ですか。見た目を少年のような格好にしているのは自衛の為ですかね?いや、これだけ女性が集まっているとそれはあまり意味がないような気がしますが?それぞれに魅力的でありますし、私にはよくわかりませんが、このようなフォーマットが、最近の異世界転生や異世界転移の小説の典型的な、主人公格の人物像であるのでしょうかね?
女性同士だからと言って、偏見の目で見るようなことはありませんが、いささかやりすぎのような気もうっすらといたしますね
いえ別に、誰に対してやりすぎなのかは、わかりませんが」
「僕らに何か用?ナンパならお断りだよ、僕ら、今結構イライライしているから、対応が荒くなってるから、気をつけてね」
「こんばんは、私の名前はトムと言います。アレスさんというのは、あなたでしょうか?」
「そうだよ?何か用?」
「端的に言いましょう。呪いを解除するお薬とかご入用ではありませんか?」
「「「「「!!」」」」」