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33_立ち塞がる試練がどのようにして用意されているかを推測するときには、シンプルな方法ではないのだろうな、と呟きます。

 「ではミノタンロース戦です」

「ミノタウロスです、トムさま」


 「特定の箇所に出現する特別な怪物モンスターですが、このように、閉鎖された空間、部屋へ入ると、中央の何やら文様が描かれた円上の装飾物から光が立ち上って、出現します」

「あー、映画とかで見たことがあるような、ないような?魔法なのですか?」

「魔法的ではあります、再現する魔法はまだ開発されていないようですが、召喚という、似たような効力を発揮するのではないかという、魔法が王都では開発されたとかされつつあるとかという噂は耳にしたことがありますね」

「出入り口は自動的に閉まるのですね」

「はい、これから出現する怪物を倒すか、挑戦した冒険者一行が全滅するかしなければ、再び開きません」

「かなり怖い仕様ですね」

「ですので、ただ下層へと進む時には、足止めとかをして、階下に降りる扉へ飛び込みます」

「そっちは開くんですね、抜けてるなあぁ」

「まあ、階下での怪物モンスターと安全に戦えるくらいの実力がありましたら、この区切りに出現する怪物モンスターくらいなら、平気で倒せないといけませんから、本当に先を急ぐ時とか、特殊な場合を除いて、駆除して進みますけれど」

「なるほど、ちなみに特殊な場合とは?」

「下層のパーティに急ぎの郵便物を届ける時とか。あと、稀に、通常の個体よりも強い個体が出現することがあるので、その時には回避したりしますね」

「あ、それはおそらく”旗が立った”というやつですねきっと」

「何のことですか?」


 「トム様!気をつけてください、あれはただのミノタウロスではありません」

「ほらね」


 「ミノタウロスの魔法使いです!そんな、60層くらいでしかお目にかからない怪物モンスターですよ!あれにはとてもかないません、急いで逃げましょう!」

「あ、魔法使いなのですね、まあ、試すだけ試してから、考えましょう。ほい、 魔法の口枷 、あっさりと、効きましたね」

「へ?」



 「魔法が封じられた魔法の使い手とか、鴨でしかないですね。しかも大きなネギをしょっているようなものです」

「あっさりと勝ってしまわれた……信じられません」

「相性が良かっただけですよ、やはり行動の法則は同じなのですね、魔法が使えなくなっても、唱えようとして隙ができるとか。お間抜けな感じですね。


 取得経験点:160点

 取得コイン:160枚

 素材水晶:ミノタウロスの上質肉

 討伐財宝:魔法の短杖(MP消費量軽減 1点 ただし最低1点は消費します)


 美味しすぎませんか?もう何体か狩りましょうか?」

「あれ、これは常識がオカシイ?というか、魔法封じの魔法は、教会の専売特許ですよ?今更ながら、トム様、なんで使えるのです?」

「まあ、そういう仕様ですから?おっと累積経験点が溜まってレベルアップしていますね」

「もう、トム様ならなんでもありなような気がしてきました」

「ええと、実際のところ、諸々の実力をきっちりと比べるなら、冒険者の優秀な方々といい勝負ができるか、若干不利じゃないか?と予想しているのですがね。つまるところ、相性の問題ですからね、本当」



 「あ、特別怪物モンスターを倒したので、宝箱が出てきましたね」

「どういう仕組みなのでしょうかね?宝箱の中身よりもそちらの方が気になってきました」

「私が調べますね、っと、おかしいですね」

「どうしましたか?」

「こんな浅い階層で出現するはずもない罠がかかっています?この辺りなら、せいぜい毒の矢が飛び出てくるような程度のはずなのですが、空間転移の罠がかかっていると、鑑定されましたよ?」

「おかしいのですか?おかしいのですね。なら、別に無理に開かなくてもよろしいのでは?」

「そうですね、ちょっとイレギュラーが過ぎますし……」

「あ、トバリ、急いでそこから離れてください、いや、ちょっと間に合わないかな、よっと」



 「え!?嘘私何もしてませんよ、何で空間転移の罠が発動しているのです」

「何か変な魔力か何かの動きがありましたよ、今」

「て、何でトム様までこっちに来ているのですか!」

「いや、引っ張り出そうとしたんですけどね?ところで、ここはどこでしょうね?」

「そうでした、幸い、岩とかの障害物に埋め込まれていなくてよかったですが。ええと、フロアの階層番号は、と、嘘でしょう」

「あ、80層ですか、最深部ですね。ちょうど成長したのでしょうかね?ダンジョン」

「何でそんなに冷静なのですかぁ!この辺りの怪物モンスターなんて、私たち逆立ちしても勝てませんよ!」

「まあ、私一人なら何とでもなりますし?」

「ひい!私を見捨ること前提の冷静さ!酷い!」

「とりあえず、怪物モンスターのいない小部屋でも探しますか」

「本当に冷静ですね、少し覚悟が決まってきました」

「あ、それは良かった、少しは良心の呵責が……、もともとなかったので変わりませんね」

「ひ、人でなしでした、トム様」

「面倒がちょっと少なくなって、感謝はしていますよ?抵抗されるとちょっと苦労しますから?」

「あ、本当に酷い」


 「さて、魔法で探索 と、各種しのび足とか逃げ足とか駆使して小部屋に到着です、簡易の休息所みたいですね。ダンジョンの中ってどういう基準で製作されているのでしょうかねぇ?」

「うううう、身を隠して怪物モンスターが通り過ぎるのを待つだけで、寿命が縮みました」

「あの大きな爬虫類、て、ドラゴンというのですね。初めて見ましたよ」

「そんなの、魔王のお膝元くらいでしか出現しない怪物モンスターじゃありませんか!」

「なるほど確かに、強そうでしたねー」

「ええと、念のために尋ねますが、トムさまなら勝てそうですか?」

「まだ、無理かな?レベルでいうと、後6くらいは上げたいですね、装備も炎を吐いてましたから、それ用の対策をしたものが必要ですね」

「では、逃げ切ることは。下層から上層へと向かう時には、10階層ごとの特別な怪物は出現しませんから、可能かもしれませんよ?」

「どうかな?試してもいいけど、多分、それだと、トバリが死ぬんじゃないかなぁ」

「うう、確かにそうです、逃げ切れるビジョンが浮かびません……。足手まといですね、置いていってください、いや、いっそ苦しまないように、とどめをさしてもらった方がいいのでしょうかね?……ああ、短い人生だったなぁ」

「来世に期待ですね」

「あっさりと酷いですね。でもトム様も難しいのではないですか?」

「最悪でも死ぬ程度ならどうとでもなる仕様ですので」

「……それもテーブルトークの神様のお力ですか?あーいいですね。私も帰依したら、助かりますかね?」

「どうかな?信者が増えるのは純粋に神様喜びそうですけど、ちょっと私の立場が特別過ぎますからね、とまあ、そのようなことをしなくても、なんとかなりますが」

「え、本当ですか?トム様?」

「多分大丈夫なのじゃないかなぁ?ええと、トバリ、つかぬことをお聞きしますが、梱包されて手荷物扱いになることをどうお思いですか?」

「何かのプレイですか?」

「発想がディープですね、違います」



 「脱出に成功しました。魔法の束縛を併用して、きっちりと梱包しましたトバリさんを解放しましょう。

 いろいろと出てはいけないような汁が全身から出てきていますね。ピクピクと痙攣しているので、息はあるようですから、問題ありませんね」

「……猿轡までされる必要はあったのでしょうか?いけない趣味の扉が開いてしまいました、トム様」

「それならそれで、責任は取りましょう。ええ結構そういうのも好きですから、さて、種明しであります。

 つまりは、レベルが上昇した時に覚えた魔法で脱出しただけですけれども、


 

 職業:勇者

 レベル:14

 累積経験値:9, 512点 (次は16,384点でレベルアップします)

 ・ちから 35

 ・はやさ 34

 ・かしこさ 35

 ・がんじょう 34


 ・HP:69/69(全快です)

 ・MP:26/35(MP回復のブレスレットが良いお仕事をしています)

 

 魔法の非常口:ダンジョンや建築物から脱出できます。消費MP5。魔法を唱えると、その手には銀色の鍵が現れます。適当な壁やら扉やらにそれを差し込みひねると、安全な出口までの通路が現れます。不思議な力でかき消される場所もありますので、過信してはいけません。また、非常通路で迷うと、奇妙な世界にたどり着くこともありますが、細かいことは気にしてはいけません。


 相変わらず、酷い魔法です。褒めてますからね?

 今回はとても助かりましたが。

 基本一人しか対象にできないので、手荷物扱いで無理やりトバリさんを運ばなけれいけませんでしたが、かなり便利になりましたね。

 少なくとも、ペンタのダンジョンなら結構ギリギリまで潜れそうです」

「本気で、テーブルトークRPGの神様に帰依したくなってきました」

「いつでもウエルカムですよ?どうやって、具体的に宗旨替えするのかは知りませんけれども、聞いておきましょうか?」

「気軽に神様と交信できると言う一点だけでも、破格な関係だと思うのです」




 「ただいまです。ということで、信者が一人増えそうでありますよ、巫女様」

「おかえりなさいませ、それは、嬉しいような、被害者が増えるのを嘆くべきなのか、微妙なところでありますね。勇者さま」

「さすがに、仕える巫女様がその物言いはないような気がしますが、あのテーブルトークRPGの神様では、仕方がない面もありますね」

「その通りですね」

「いやそこで胸を張られても」


 「コインも結構稼げましたね。手に入れた素材水晶を売却に行きましょう」


 「王妃様、いろいろお肉を手に入れたのですが?」

「小鬼の鬼は、燻製にすると珍味ですね。クセがあるので好き嫌いがはっきり分かれますけどねえ。一つ2コインで買い取るよ。

 牛頭の上質肉は、100コインは出せるね、それで勇者トムさん、これ味見とかしたいだろ?」

「もちろんですね」

「じゃあ、ステーキにするから、出来立てをみんなで食べようか。巫女様と一緒に後でおいで」

「ありがとうございます」


 「ビルさん、いろいろ素材を手に入れたので、買取つつ、作れそうな有益な道具とか押してください」

「あいよー。ダンジョンラットの牙とか、ダンジョンオオトカゲの目玉とかは、麻痺とか毒とかの状態異常を解消する薬になるだーよ」

「あ、それは便利ですね、どのくらいできますか?」

「この量なら、それぞれ3つくらいは作れるだーよ、作成手数料は合計でコイン6まいでいいだーよ」

「では宜しくお願いします」

「小鬼のツノは、うさぎの後ろ足と合わせると、幸運のお守りになるだーよ。ちょっと量が足りないから今は作れないだーよ」

「うさぎの後ろ足は知らない素材水晶ですね」

「ソウゲンオオウサギとか、クラヤミツノウサギとかが稀に落とすだーよ、幸運のお守りは、一度の致命的な失敗を打ち消してくれる消費アイテムだーよ」

「?いまひとつイメージがわかないですが?」

「”判定”で”100”を振った時の致命的な失敗を、ただの失敗にしてくれるアイテムだーよ」

「あ、それは便利そうですね、ではウサギを探して狩ってきます」



 「これらの素材は、武器や防具の材料にはならねーな、残念だがガハハ」

「そうですか、ちょっと残念です」

「まあ、ダンジョン産の素材で言えば、鉱石関係とか、硬い体を持っている怪物モンスターとかを狩れば素材なることが多いぞ、ガハハ」

「参考にしますね」

「魔法の金属系列やら、ドラゴンの鱗やら、そういう強そうなのがいい材料だな、ただ、入手は難しいが、ガハハ」

「あ、ドラゴンって素材になるのですね」

「むしろ素材の塊だな、ガハハ」

「これは、異世界系の小説を司る神様が、核としている主人公格の、ええと名前は確かアレス?さんでしたっけ?を探すことと並行して、積極的にダンジョンに潜っていくべきでありましょうか?」



 「あ、本当に美味しいお肉ですね。ステーキなのに口の中で溶けるようです王妃様」

「だろう?味付けは簡単に塩胡椒のみだけだけど、お好みでニンニクもあるよ」

「嬉しいですね、ありがとうございます王妃様。今更ですけど香辛料とかも充実しているのですね、この国」

「うむ、相変わらず王妃の料理は素晴らしいな、ますます太ってしまうぞ」

「王様はもう少し体型に気をつけた方がよろしいのでは?」

「おお勇者よ、そのような指摘をされるとは、情けない。いや、富裕層はその財力を誇るためにあえて、恰幅の良い体型を維持するわけであるのでな」

「文化侵略が完成している昨今、その体型はメタボで成人病リスクまったなしと言わなければならないのではないでしょうか?王様」

「巫女さま、正論は時に、人を追い詰めるのだぞ?」

「まあ、ダイエットは明日からという言葉もあるよ、今は、ただ肉を喰らうが良いさ。うん、我ながらいい感じに焼けたわ」

「王妃さまがそうおっしゃるならば、本当に美味しいですね、ワインもすすみます」

「そうじゃな、ここまで美味しいと、ちょくちょく狩ってきてもらうことを、申し付けるぞ、勅命だな」

「未だかつてそこまでどうでも良い勅命があったでしょうか?」

「意外と、わがまま系列の王様ならよくある展開だとは思うぞ?勇者様」

「確かに、ありそうな展開ですね。王様の無茶振り。まあ、私も食べたいですから、見つけたら積極的に狩ってきます」

「うむ、良きにはからえ」


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