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25_魔王に唆されて反乱、なんて状況が、当然シンプルに行くはずもなく。

 「この、湖上の僧院、難攻不落というまでではありませんけれども、こっそりと潜り込むとか、潜入とかは難しそうですね。


 湖は広いですし、泳いで渡るとしても遮蔽物がないのですぐに発見されそうです。

 潜水して近寄りますかね?水中に危険な生き物とかいませんかね?濡れるのも厄介ですね。


 むしろ、辺境伯からの手紙を利用して、堂々と正面から乗り込みましょうか?手紙だけ受け取られてさようなとかになりそうですが、そこは返事を求めていけばよろしいでしょうかね?それよりも、面会は無理と言う場合もありますか?

 そもそも、主たる目的は辺境伯のJrではなくて、その周囲で暗躍している魔王の手下を排除することですから、ある程度、中を歩き回れて、不意を打てるようなポジションを確保しなければならないわけなのですが」


 「とりあえず、もう少し観察をしてみることにしましょうか。

 ……と、誰かが出てきましたね、結構いい身なりをした男性と、もう一人は小柄な?女性でしょうか?橋を渡って、門番に挨拶をして、村の方へ行きますね。


 途中で道を外れましたね?ええと、人目を忍んでいるのですか?森の中へ踏み込んでいってます。村から離れていくようですね?姿が森の木に隠れて見えなくなりました。追うべきでしょうか、どうしましょう。一人だとこういう時に困りますね。


 おや?修道院側が少し慌しくなっていませんか?ええと、何やら偉そうな男性が、飛び出してきて、門番に何やら詰問していますね?と、配下の者を集めて、修道院を飛び出して行きましたね。


 さて、ここからでも、確認できますかね?

 こう、おもむろに、神の手帳を開きまして、行動記録を確認します。

 

 なるほど、これは森の方へ、行かなければならないようですね。急ぎましょうか」



 「魔法で探索の範囲がこうなると微妙に狭いですね、能力値が基準ですから、半径が狭いです。まあそれでも32メートルはあるわけですが。

 おかげて見つけるのに苦労しました、時間が経過しているので、向こうは向こうでお話しが進んでいるようですね。

 男性と女性が連れだって、森の中、少し開けた場所で、追っ手と対峙しているみたいですね。

 迫ってくる追っ手の首魁は、お髭がチャームポイントのダンディなお方のようです。胡散臭い笑みを浮かべてますね、悪者っぽいですね。

 

 さて、神のメモ帳で行動記録から正体を再確認しましょう。


 逃亡中の男性は反乱軍の旗頭予定の領主の息子のJrですね。追っているのは、その参謀役で、人間に変身して唆している魔王の手下と。

 Jrのそばで、かばっているのも魔王の手下のようですが、どうやら、色々とロマンスの後に人間側と言うか、Jr側に寝返った?個体のようですね。


 と、追っ手の手下が本性を現しましたね。能力を使って、直接、再洗脳をするみたいですね、同時に他の追っ手の顔が能面のように無表情になりまして、ぼんやりと無力化しているようです、なるほど、認識阻害して、後で思考誘導でつじつまを合わせる予定ですね。


 それに対して、Jr側の女性も怪物モンスターとしての姿を現して、対抗するようです。

 女性型は、小さな翼と、小ぶりのツノが生えているくらいで、あまり姿が変化していませんね。この悪魔の使いという怪物モンスターは性差でかなり見ために違いがあるのですね。


 特殊能力対決は、拮抗しているようにも見えますが、側近に化けていた悪魔の使いが、Jr側に仕掛けた暗示が発動しまいましたね、Jrの意思を無視して、女性タイプの悪魔の使いを羽交い締めにして、行動を阻害しているようです。

 

 悪い笑みを浮かべて、集中してさらに、Jrに強く洗脳を施そうとしていますね。

 

 で、そこで、私が背後から、ずんばらりんと。ここまで無防備だと、楽ですね。

 Jrを襲っていた悪魔の使いは、背中から胸にかけて生えた、鋼の剣を呆然と見ていますね。ひねって引き抜いて、もう一撃、首をはねてみましょう、できるものですね。いい切れ味です。


 はい終了です。


 呆然としてないで、悪魔の使いのお嬢さん?でいいのかな、バケの皮をかぶってくださいな。惚けている他の追っ手であった方々の、暗示状態が解けて、人間達が正気に戻りますよ?

 と、片付けた悪魔の使いは素材水晶になりましたね、相変わらず手頃のな経験点ですね、

 

 取得経験点:98点 累積経験点:5,898点

 取得コイン:98枚 所持コイン:2,198枚


 となりました。……さすがに、あっちの女性型悪魔の使いは刈れませんね、少し残念です」



 「さて、落ち着いた場所までやってきましたよ。ここは修道院の中です、敵対的な悪魔の使いはあの一体だけだったようですね?

 どうです、Jr、事態をさらにシンプルにするべく、隣の残りの悪魔の使いも排除しませんか?」

「冗談でもやめていただきたい、彼女が怯えているではないか」

「まあ、半分は冗談ですが。さて、では情報のすり合わせといたしましょうか、Jrさま」



 「というわけで、辺境伯爵がわの魔王が派遣してきた勢力は、駆逐済みです。税制とか、無用で混乱を生んでいる不必要な条例とかは、順次撤回されて、改善される予定です。一応、私自身の信頼保証は、その手紙が証明してくれるそうですので」

「間違いない、符丁も正確だし、父の字だね。信じよう、まあ、魔王の手下が入り込んでいたのは、こちらも認識していたから、疑いはしないのですけども。……と言っても分かったのは最近のことだけどね」

「そこですね、どうやったんですか?怪物モンスターをたらしこむなんて?」

「個としての人格があって、自意識が存在して、対話ができるなら、結構どうにかなるものなんだよ。もしくは、結果としてどうにかなりましたということかな?調略用の種族で、人の感情の機微とかも学習しているうちに、人そのものにひかれるようになった、そうですよ」

「信用できますかね?まあ、今更ではありますが」

「正しく今更だね。結構価値観は似ているし、潜入工作に適しているので、人食に対する欲求も低いから、嫌悪感もないね」

「欲求が低いとはいえあるのでしょう?危なくないですか?」

「まあ、そういう欲求は代替が効くものでしたので。ええと、これ以上の説明は、彼女の羞恥心的に無理かな?」

「あ、なるほど。あなた様、結構ロマンあふれるいい男でありますね」

「ありがとう」

「ええと、Jr?平然と言わないでね。僕恥ずかしいよ……」

「なるほど、そういう方向へいくわけですね」

「その通りだよ、可愛いだろう?彼女」

「ええ!そんな可愛いなんて、えと、なんだか困る」

「あざといくらいですね」


 「まあ、そんなこんなで彼女と信頼関係を作った上で、裏の話が判明しましたので、洗脳を強められる前に、とりあえず、逃走しようとしたんですけどね、意外と早くバレまして」

「僕のせいです……、だから置いていってくだされば」

「君を置いて一人で逃げられるわけないだろう?」

「……それは、感情的にではなくて、実務的に自分に生活能力がないからに聞こえますねJrさま」

「はっはっは。面白いことを言うね、トムさんは」



 「これで反乱の目は無くなりましたし、明日の夕方くらいには正式な辺境伯爵がわの使者が来ますから、それを待って、領都へと移動してくだされば問題なさそうでうすね。ああ、まだ何匹か魔王の手下である悪魔の使いが領内に潜伏している可能性はありますか?」

「それは中枢がこれからまともに動き出しますから、情報局を中心にしてあぶり出して駆除していきますよ」

「あの情報局って役に立つのでしょうかね?」


 「僕もついているから大丈夫。同族の気配はなんとなくわかるし。それに、大抵の洗脳状態ならとけれるし、暗示も誘導し直せるから。Jrのことも守れるし役に立つよ」

「そんな危険なことはさせたくないのだけどね、私は」

「大丈夫、普通に人間なんか敵じゃないし。僕はここらあたりの、大抵の怪物モンスターよりも強いから。……ええと目の前の規格外のような人じゃなければ。狩らないでね?」

「狩らないですよ、ちょっと経験点的に残念ですが、ここから暗く復讐に燃えるJrの物語とかに巻き込まれたくないです。私は、シンプルな状況を目指しているのですよ、主に神様の要望的にですが」

「神の使徒だったのですか!?」

「そうですよ、悪魔の使いのお嬢さん。私はテーブルトークRPGの神様に遣わされた、勇者なのですよ、名前はトムと言います」

「「てーぶるとーくあーるぴーじー?」」

「いいのです、知名度の低さには自信があるのですよ、と、遠い目で言うトムさんでございました」



 「まあ、彼女の、ええとリリスさんというのでしたっけ?そのことは、Jrが責任を持って調教……違った、教育と管理をお願いしすね。どうにもならなくなったら、言ってください、隙をついて、お手軽に狩りますから」

「そうはならないようにするよ、トムさん」

「あ、あのトムっていう人、目が冗談を言ってる感じじゃないです、怖いよぅ」

「大丈夫ですよリリスさん。そんなに震えなくても。おいたをしないでおいて、状況が許したり、狩る方のメリットが大きくなったり、うっかり寝ぼけたりしなければ、生き残ることができるかもしれませんから、多分?」

「僕、生存確率が低すぎるのですけど!」




 「というようなことがありまして、速攻で解決できましたので、戻ってまいりましたよ、私の巫女さま、あかねさま」

「展開が早いですね!さすが私の愛する旦那さま、勇者さま、トムさまです」

「忘れないうちに、国庫にコインを入れて、


 所持コイン:2,149枚

 

 になりましたね。


 と、手帳が光りましたね。


 『お仕事:辺境伯のJrを助けよう!

 (報酬:それなりのコネクション。 取得経験点:1,024点)

 (備考:達成済み)』


 結構経験点を大盤振る舞いしていきますね、うちの神様。


 累積経験点:6,922点

 

 になりましたよ」

「テーブルトークRPGの神様ですからね、シナリオの終了時には、適切な量の経験点を渡すようにしているのでしょう、その割には報酬が絞られているような気もしますしが、勇者さま」

「シナリオ?台本ですか?いつもながら、よくわからない名称を使うシステムですね。

 まあ金銭については、その気になれば、お小遣いとか辺境伯にいくらでも強請れるような気もしますけど、今のところ欲しいものは、怪物モンスターを狩っていかないと手に入りませんからねぇ、巫女さま」



 「これからどうするのですか?勇者さま」

「異世界物の神様が核にしている存在には、まだ会えていないようですし、辺境伯爵領をうろうろしつつ、怪物モンスター狩りからの素材集めからの装備の充実ですかね?

 ヌマオオカトンボを狩って、マントも作りたいですし。

 そういえば、豚顔の怪物モンスターにも会いましたよ?巫女さま」

「トンカツとかできそうですね、期待していますね、勇者さま」

「あ、そういうのもあるのか」


 「それにしても、仲間になる怪物モンスターとかもいるのですね、うかつに端から壊滅してはいけないのでしょうか?巫女さま」

「以降のサプリメントでは、怪物モンスターを仲間にする職業とか、システムとかを実装する気であったのかもしれませんね、我が神は。そのテストケースであるのかもしれません、まあ、勇者はまだ基本的なシステムでのバランス調整をされているわけですから、深く考えなくて、シンプルに、ハックアンドスラッシュを行なっていればよろしいのではないでしょうか?」

「異世界物の神様との領域と、微妙にかぶっている、もしくはもろにかぶっているので、不具合が起きている可能性はありませんかね?巫女さま」

「うちのテーブルトークRPGの神様が、素でバグっているような存在ですからねえ、そのあたりは、なんとも言えませんね、勇者さま」

「そんなことを奉じる巫女さまに言われて、神様、泣いていないといいですね、巫女さま」


 「怪物モンスターとの対話ってこれかもあり得るのでしょうかね?巫女さま」

「会話ができる相手を刈らなければならないのは苦痛ですか?」

「それはないですね、むしろ人間を狩っても経験点にならない仕様が不満なくらいです、巫女さま」

「あ、久方ぶりに背筋がぞくっとしました。その笑顔。いいです、好みです、勇者さま」

「君も大概ですね、そういうとこも好きですよ、巫女さま」

「嬉しい」


 「私が奉じるところのテーブルトークRPGの神様は、全年齢版を作成する心算ですから、その辺りレーティングに引っかからないように注意しているのではありませんかね?まあ、そう言いながら、テスト中の勇者さまが一番言動とかが危ないですけども。そのような存在を引っ張ってきたところが、へっぽこな神様である所以であるわけですが、勇者さま」

「そこまで、年齢を選びますかね?巫女さま?」

「勇者さまがなさっていることを、細かに描写するだけで、カテゴリーCクラスどころか、確実にX指定になってしまうと言うと、理解しやすいですかね?勇者さま」

「何のことはない自然の営みじゃあありませんか?」

「子供には早すぎる、と、いうことですよ、勇者さま」

「……じゃあ、今晩は自粛しましょうか?」

「いえ、私たちは子供ではありませんので」


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