24_結構な権力者にコネクションを得ましたが、シンプルには程遠く。
「さすがにあんまりな格好でしたので辺境伯のお着替えが、速やかに完了したようです、ちなみにお名前はロビンさんというそうですね」
「うむ、今回の件非常に助かって感謝しているぞ。執務室が少々破壊されているくらいの被害で、あっさり黒幕の大物を排除してくれて、驚愕の極みというか、唖然とはしているが」
「そうでしたね、黒幕でした、神のメモ帳からの記録を確認すると、
名称:悪魔の管理職
というのでしたね。なんだかブラック企業にいそうな名称ですね、
取得経験点は、120点で、コインも120枚でした。
素材水晶は、それぞれの死体ですね。
管理職も食べると、美味しいのでしょうか?
さらにボーナスがありまして、
『お仕事:辺境伯に潜む魔王の手先、のボスを排除しよう。
(報酬:それなりの財産とか後ろ盾 取得経験点:1,024点)
(備考:達成済み)』
なるほど、お仕事が後づけで発生することもあるのですね。
もしや、テーブルトークRPGの神様が、忘れていただけではないでしょうかね?
累積経験点:5,798点
所持コイン:2,311枚
となりましたね」
「さて、頭を潰したので、対応される前に、残りの手足を潰しておきたいのだが、協力を頼めるだろうか?」
「誰が対象だか、わかるのですか?辺境伯様。後、怪物狩れるのはこちらにも利益がありますので、喜んでやりますが」
「まあ、あの姿のでも中の意識は結構はっきりしていたからな。わしに化けたやつも、隠そうともしなかったしな。では、順次確定してる輩と、怪しいのを呼び出すから、バッサリとやってくれ」
「了解しました」
「バッサリとやりましたねー」
「本当に怪物の死体が消えるのだなぁ、今ので、最後だな」
「まだボスが成り代わっていると思っている、辺境伯に呼び出されて油断している怪物を後ろから切り捨てるだけの簡単なお仕事でした、4匹でしたね。
取得経験点:386点 累積経験点:6,184点
取得コイン:386枚 所持コイン:2,697枚
となりました、不意打ち美味しいですね。うっかり本物の人間を狩っても経験点が入手できたりするのでしょうか?」
「何か不穏当な発言が聞こるぞ?」
「やりませんよ?部屋が血だらけになるじゃありませんか?」
「躊躇する論点がずれているのじゃないかね?」
「ボーナスが残っていないか、じゃないや、取りこぼしがないか、白を一回りしてきてもいいでしょうか?」
「そうだな、怪しまれないように、城の兵士をつけよう。新しいビジネスパートナーが城内を見学するという程で良いだろう。ああ、いきなり切りつけるのはなしだぞ?」
「そんな目立つ真似はしませんよ?発見したら、人気のないところに誘い込んでバッサリと行く予定です」
「事情のわかっているのをつけるから、うまくやってくれ。まあ、ボスの記憶から見て、おそらくもう日村ている怪物は、いないとは思うが」
「まあ、念のためです」
「一周してみましたが、見つかりませんでしたね。人間に変身して潜んでいるタイプの怪物はいないようです。入れ替わりができるのは、管理職のボスだけだったようですね。あとは、後年外部から引き入れた人材が、魔王の手下だったようです。
履歴とかは、辺境伯と入れ替わっていた管理職がいいようにごまかしたのでしょうね」
「そのような記録も残っているな。しかしよくもまあ、これだけ民衆の不満をあおるような政策がなされたものであるな、明日は早朝から主だった部下に事態を説明して、方針の大変換をしなければならないな」
「魔王軍への備えとかはどうなさるので、領主様?」
「確かに備蓄とか戦費とかは必要だが、それを用意しようとして再生産できるリソースを潰すわけにはいかんだろう、そこまで追い込まれてもおらんし、逆に民草を潰しながら戦うしかなくなった時点で最終的な負けが確定してしまうしな」
「そうすると、民衆からの敵意はそらせますね。とすると次の問題なのですが」
「息子だな、Jrの復帰と、名誉の回復は急務であるし、辺境の基盤を強化するためにも後釜をしっかり据えなければならない、こちらもすぐに手を打たねばな」
「おそらく、Jrさんを旗頭に、反乱軍を結成しようとするような動きが画策されているでしょうしね?」
「ああ、そういう計画もあった。まあ、娘が無事であったので、こちらからの武力圧力がなくなって、振り上げる拳の理由が小さくなっているので、少しは時間が稼げるだろう。問題は、Jrのそばにいて、工作をしているであろう魔王の手下なのだが」
「どうにかしましょうか?」
「さらに頼まれてくれるか、ありがたいが、それだけのこと善意のみで行ってくれるというなら、裏があるのではと疑うぞ?」
「魔王の手下は、効率的な獲物なのですよ。それに、我が神からの『お仕事』でもありますので二重に報酬が美味しいのです」
「よくわからんが、やってくれるなら報酬は弾むぞ」
「3重に美味しいかもしれませんね」
「Jrは、ここ領都ペンタから北東へ3日ほど徒歩で行ったところにある、ドゥの村というところの、修道院に軟禁されている。わしに成り代わっていた魔王の配下の計画によると、村々の青年団の代表が、すでに接近しており、軟禁も形だけ。修道院側も、Jrの立場に同情して、協力しているらしい、まあ、要所要所で、洗脳やら扇動をうまく使用しているあろうな」
「すぐには爆発はしそうにありませんね、では、明日にでもそちらへ先行して、障害を排除しておきましょう」
「こちらの使者も、Jrが信用しそうなものを選抜して、後から追いかけさせよう。……先行できるのか?結構な早馬で出るぞ?」
「まあ、足は早い方ですので」
「そうか?まあそういうならば、では、軽く事態の経過を書いた書簡を渡しておく、これを見せれば、Jrからはそう疑われることも、あるまい。まるまる偽造されたという懸念は出るかもしれんが、まあ、Jrが符丁を覚えておれば、問題ないだろう」
「ありがたく、受け取ります。では、今日のところはこの辺りでいいですかね」
「そうだな、日もすっかり落ちた、部屋を用意させているので、そちらで休むといい」
「いえ、妻が待ってますので、お暇しますね。明日また、ここで、バルコニーをお借りしますね?」
「妻帯者だったのか?というか、バルコニーでどうするのだ?」
「こうします。 魔法の定期」
「なんだこの煙を吐く巨大な物体は!」
「驚いたことに、これは、移動用魔法の視覚効果、つまりはエフェクトなのですよ、伯爵さま」
「……お主は何者なのだ?」
「通りすがりの、勇者ですよ」
「ただいまです、巫女さま」
「あれ?2、3日かかるのではありませんでしたか勇者さま?」
「領都で、MPの回復薬が手に入りましたので、帰ってきました。私は巫女さまに会いたかったのです。嬉しくありませんか?」
「もちろん、嬉しいです。大好きですよ、勇者さま、すぐに夕食にしますね」
「それよりも、私は、君が欲しいな、だめかな?」
「いいえ、いつでも、ウエルカムですよ、勇者さま」
「46日目の朝です。夫婦仲がとってもよろしいので、今朝も経験点が増えています。
累積経験点:5,800点
です、あと、国庫に多めに入金しておいたので、
所持コイン:2,100枚
となりました」
「というわけで王様、とりあえず、辺境伯に化けていた怪物は狩ってきましたので、次は、反乱軍の頭に担がれそうになっているJrを狩ってきます」
「おお、勇者よ、Jrを刈っちゃダメなんじゃないか?」
「素で間違えました、刈るのは、その周囲にいると思われる、魔王の配下で、おそらく人間に化けている、悪魔の使い、ですね。一体で100近くの経験点は美味しいのです、出来ればばらけて複数体欲しかったですね」
「それほどはいないのか?勇者よ」
「2匹だそうですよ、あとちょっかいをかけてきそうなのは、遠巻きに監視している、魔王軍の別働隊ですかね?狩れそうならこちらも狩りますが、数が多ければ、領軍に任せてもいいかもしれませんね、こちらは単独なので」
「一人軍隊みたいな者が何を言っておるのじゃろう?」
「中遠距離に対応、補給も自前で行って、行軍速度も魔法を併用すれば、まさに神出鬼没。テーブルトークRPGの神様のご加護で、戦闘は必ず1対1となる。高い防御点と、能力値の高さを考えると、場所と相手を選べば、一軍くらいなら相手できそうですね」
「いつの間にやらとんでもないスペックじゃなぁ」
「努力の結果です、と言い切るには、補正が大きいような気もしますが、まあ、才能やら資質も、個人の財産であるから、気にしないでおきます。というか、そんなところで躊躇する方が、贅沢というものでありましょうよ」
「おお、勇者よ、葛藤の一つもないとは情けない」
「王様、それはシンプルな行動ではありませんよ」
「正直、自分の能力の理不尽さに悩むとかいうようなテーマの展開は、別の神様が司っていますから、テーブルトークRPGの神様らしくないのですよ、勘ですけどね。王様」
「そんなものかのう?勇者よ」
「今までの経験から言うと、テーブルトークRPGというのは、敵が出た、倒した、報酬を手に入れた、強くなった、強い敵が出てきた、倒した、良い報酬を手に入れた、さらに強くなった、を延々と繰り返すゲームだと、判断しましたので。そこに、内面の葛藤はいらないというか、邪魔ではないでしょうかね?」
「確かに、ハックアンドスラッシュはテーブルトークRPGの一面ではありますが、それだけではないと思いますけども?勇者様?」
「そうなのですか?巫女さま?」
「いろいろとやることができるから、多方面から楽しむのが、あの神様が司っているゲームですから、例えば、勇者を呼び出した美人巫女と結婚して、掛け合いを楽しむというのも、遊び方のスタイルだと思いますよ?」
「別に、巫女さまとの恋愛に葛藤はないのですけども。ああ、毎晩戻らないといけないきがするというのが、葛藤のうちなのかもしれませんね。なるほど、そういう悩ましさに対する行動をどう選択するかとかは結構面白そうですね、巫女さま」
「今日は、まずニチ村に飛びます。昨日の辺境伯の説明では、ドゥ村の場所は、ニチ村から、東に1日くらい徒歩で向かったところにあるようですから、ショートカットです。これで、今日中にドゥ村につきますね、巫女さま」
「ドゥ村に着いたら、一度こちらに戻ってくるのですか?」
「そこは流れですね、夜には帰りたいですが、サクッと狩れそうなら、狩ってきます、巫女さま」
「あまり無理はしないでくださいね、勇者さま」
「無理なんかしたことありませんよ、私。ねえ、あかね さん」
「……そういえば、いつも余裕がありますよね、トム さんは」
「いつも、限界まで力を振り絞らなければ事態に対応できないのは、それは、見通しが甘いだけですからね。お仕事をするには、十分に安全度を取らなければいけないのですよ。巫女さま」
「その通りですね、勇者さま!」
「いや、それはそれで、盛り上がりに欠ける気がするのじゃよ、王様としては」
「魔法の定期でニチ村に飛びまして。……何か忘れているような気がしますね?まあ、思い出せないのなら、大したことではないのでしょう。
早速ドゥ村へと出発です。基本怪物との戦闘は回避する方向でいきますので、そういえば、この辺りで出現する怪物って、まだ未調査でしたね?
レベル的には、シロオビブドウとかアカオビブドウクラスでしょうか?
もう少し強いかもしれませんね」
「頭が豚で、ちょっと大柄な人間くらいの大きさの怪物がいましたね、確かお肉が美味しいのでしたっけ?しかし豚って、人が品種を改良して、家畜にした生き物ですよね?なんで怪物の頭がそうなっているのでしょう?
猪頭の怪物を誰かが、品種改良したのでしょうか?
まあ、今日は気付かれていないので、戦闘は回避しまして、後日狩りにきますか。
生姜焼きとか美味しそうですしね。
そういえば、実際に見たところ、私には、あまり人型だから、という理由での、食材に対する忌避感はないですね?」
「そうこうしているうちに、ドゥの村に到着です。少し外から伺ってみますと、湖畔の村ですね、そして、その中央の島に修道院らしき建物がありますね。そこに至る橋があって、一応警備されているようです。あらかじめ辺境伯に聞いていた通りの地形ですね。さて、どうしたものでしょうかね?忍び込むのは結構大変そうでしょうか?正面から突破してもいけそうではありますが、騒ぎになると狩りにくいですからね」