23_勇者が暗殺者に転職してもシンプルになりません。
「ダクランさん、人気が無く、人目につかないところで、空を見上げていますね。と、鳥ですかね?彼めがけて、舞い降りました、伝書鳩にしては、個人にピンポイントで届いていますね。
と、その鳥の姿が、煙と共に消えて、書簡でしょうか?巻物に、変化しましたね。何かの魔法ですか、便利そうですね、私も欲しいですね。
内容を読んでいるようですが、何か驚いているのか、夢中になっていますね。
チャンスではないですかね?
魔法で口封じ で人を呼ばれないようにして、からの 魔法で拘束 して行動を大きく阻害しつつ、近寄って、鋼の剣で胴中央を刺し貫きました。
一撃でしたね、相手は怪物でしたので、死体は残らず、素材水晶へと変化します。
現在MP:10/32
(魔法の定期2回で14、魔法で口封じで3、魔法で拘束で3、魔法で探索2回で2、合計22MP消費しています)
少し魔法を使いすぎましたね、戦闘は控えた方がよろしいですかね?」
「ええと何が起こったのでしょうか?トムさん」
「人間に化けて、潜り込んできた怪物を排除しました。悪魔の使いと言うそうですね、倒して死体が消えたのは、そういう仕様です、若女将さん」
「いえ、仕様と言われましても」
「処理に困る死体がまるまる消えるわけですから、相手が怪物枠ですと便利ですね、完全犯罪とか目指せるのかもしれません」
「なにそれ怖い」
「経験点は、96点ですか、同じですね。コインも96枚ですね。
累積経験点:4,654点
所持コイン:2,191枚
となりましたね。さて、この怪物はなにを読んで驚いていたのでしょうか?ああなるほど、令嬢が無事で騒ぎが発生しなかったことを連絡してきたのですね、どうやら村の外に監視をしている怪物がいそうですね。で指示待ちと、領都側への責任者への繋ぎを求めているわけですか。
どうしましょうかね?偽装とかは、この伝達用の魔法が使えませんから無理ですし、ほっときましょう。とりあえず情報は握り潰せたでしょうか?それとも他の方向から報告が上がっていくでしょうか?なんとも言えませんね。どちらにせよ手が足りませんか?
若女将のトバリさん、辺境伯周りに何かつてはありませんかね?こう、安心して事情を話せられるとかいう都合の良い方とか」
「エリザベス様が働きかければどうにかなりそうですけど、こちらからのアプローチができそうな方はちょっと分かりませんね。館側の情報局がどれだけ敵側の影響を受けているかわかりませんし」
「あ、コンタクトは取れるわけですか。適当な理由で呼び出して、状況を確認するのはアリかもしれませんね。少なくとも直接出向いた人員が怪物かどうかはわかりますよ?」
「ただ洗脳されていただけですと、分からないのですよね?」
「直接話してみれば、わかりますけどそれも。いや、遠目から見ただけでもわかるのでしょうかね?ちょっと待ってくださいね、
神様のメモ帳を確認しまして。
そうですね、私が対象を見たら、その方が操られているかどうかまで判明しそうですね」
「便利な力をお持ちですね」
「そうですね、まあ、想定されていた以外の使い方ではあるでしょうけれども、奇妙な具合に領域が混ざっている影響かもしれませんね」
「どういうことでしょうか?」
「こちらのお話です、気にしないでください」
「情報局の方ですトムさん」
「大丈夫ですね、洗脳はされていません」
「?どういうことでしょうか?若女将さん」
「実はですね、この辺境伯爵さまの領都とかで、今魔王軍が策略をかけているのですよ、連絡員のバロックさん」
「ええ、なんですって?そんな気配は微塵もないですよ?若女将さん」
「現在、領民の伯爵さまへの悪感情を煽って、反乱を起こさせようとしている最中だそうです」
「なんですって?気がつきませんでした。いえ、悪感情があるのは知っていましたけれども、皆さん魔王の脅威はしっかり心の刻まれていますから、飲み込んで一致団結しようとしているのではなかったのでしょうか?」
「情報を司る部署にその情報を印象操作している者がいそうですね」
「この方はどなたでしょうか?若女将さん」
「ご令嬢が見つけてきた、外部協力者のトムさんです」
「どうも」
「凄腕の暗殺者です」
「違います」
「なるほど、そんなに人間にそっくりに化けられる怪物がいるのですね、それは脅威ではありませんか?」
「今更ですか?バロックさん。領主の後妻なんてあからさまに怪しい雰囲気ではないですか?しかもそれを迎えた時から、辺境伯の様子が激変したのでしょう?」
「新しく迎えた若くて綺麗な奥様にいいところを見せようと、はっちゃけたのでしょう、というのが、情報局の分析でしたが」
「もしかして、印象操作云々ではなくて、最初からこの部署がへっぽこであった可能性も出てきましたね」
「まあ、予算は年々少なくなってきている部署でしたから、腕のいいものは、民間に流れていったりしてますし」
「いや、権力者側の情報を持ったまま抜けられたら、機密上やばいでしょう?」
「表向きは死んだことになってますからねー、あ、秘密ですよ?」
「軽いですね」
「あ、そういえば、そういう流れでうちの構成員として雇った方が何人かいますね」
「若女将、あなたまでへっぽこでしたか」
「あまり、腕ききを引き抜いたという認識がありませんで。まあ、領主側との繋ぎなど、ご覧の通りつけやすいですし、ちょっと年代は古いですが、機密系の情報は筒抜けです。が、それだけですよ、トム様」
「いや、かなりすごいことのような?」
「逆から見てみると、人間側の情報収集、分析組織を骨抜きにしようとしていた、魔王軍の策略と見ることもできますね」
「まあ、軍側に外向きの偵察部隊とかいますからね。魔王軍の動きを探るそちらが、主軸で、予算をかなり持って行かれていますので、内向きの情報局が、相対的に干されているのは仕方がないのではないですか?トムさま」
「なるほど、若女将さん。つまりはそのような建前で、予算的にも立場的にも不要論、縮小論を仕立てて、力とかやる気とかを削いで行って、無力化していったわけですね。良い手かもしれません」
「確かに、うちの部署、基本やる気のある奴いねーですからね、ええと暗殺者様?」
「だから違います。魔王側が、人間をよく観察していると言うとよいのでしょうか、人間かわがちょろすぎると言えばよろしいのでしょうか?判断に迷いますね」
「辺境伯の執務室とかへの手引きってできますか?現状の調査局で?バロックさん」
「できるかできないか、で言えばできますけど、嫌ですよ、暗殺者の手引きなんて」
「ええもう暗殺者で良いです。よく考えると、したこととか、しようとしていることとか考えると、あまり大差ないことに気がつきました。でも大丈夫です、刈るのは、怪物だけですから」
「そこのところが信用できるかというと、困るのですけど、ねえ、若女将さんこの人大丈夫な人なのでしょうか?」
「少なくとも、伯爵令嬢エリザベスさまの命の恩人にして、先ほども、ワーグナー将軍の側仕えに成りすましていた怪物を駆除してれた、功労者でありますから、それほど説得力がないとは言えないですよ?」
「まあ、若女将さんがおっしゃられるなら、信用しましょうかね?もし何かあったら、こっちに私逃げ込んでもよろしいですか?」
「繋ぎが急にいなくなるのは困りますけど。まあ、最低限身の回りを綺麗にしてくださるなら、構いませんね」
「わかりやした、では伝説級の暗殺者の手引きをいたしましょう」
「若女将さん、これと同じようなお薬は領都では手に入りませんか?」
「貴族様ご用達ですけど、伝はありますよ?6本ほどでよろしいですか?」
「助かります、頂けますか?今後のこともありますので、MPを回復しておきたかったのです」
「中毒性がありますので、1日3本までですよ」
「そこは、私の持っているのと同じなのですね、
現在MP:28/32
となりました。これならまだ戦えられますね」
「そうです、売り文句が24時間戦えるドリンク、です、から」
「そういうネタはどこから流れてくるのでしょうね?」
「何やかにやと、しているうちに、夕方になってきました。基本的には情報局のバロックさんの手引きで、こっそりと、辺境伯の仕事場へと潜入していたわけですが、途中で、後妻の婦人を眺める機会がありました、綺麗な方ですね」
「はい、結構人気がありますよ、優しくて、気配りもできて、結構気さくです。ファンクラブもあるくらいですよ。領民に痛みをもたらす今回の案件についても、どうにかならないでしょうかねとか、意見を述べているくらい、良い人でして、それが、怪物が変身した姿だったとは、騙されましたよ、せっかくファンクラブ番号の2桁台をゲットしたというのに」
「ええと、大丈夫です、彼女は怪物が変身した姿ではありませんね、ちょっと強い洗脳状態にあるだけです、黒幕はおそらく他の方ですね」
「私は、最初から婦人を信じていたのですよ」
「そいいうのは、嫌いじゃないですよ私」
「というわけで、執務室です。部下とか下げて、一人で作業しているようですね辺境伯」
「他に人間がいると、集中力が落ちるそうです」
「部屋の前の見張りは二人ですか、片方は任せました、少し遠くへ誘導してください」
「了解です、ちょっと小細工して壁の装飾とか落として、確認をしにい行かせますね」
「……意外とそういうのは有能なのでしたね、驚きです」
「まあ、普段暇でして、城の隠し通路を使用して、いたずらをするくらいしか、楽しみが無い職場でしたからねえ」
「今はそういうお茶目な職場であったことを感謝しましょう」
「もう一人残ったのは、魔法で拘束で一発でしたね。これ、人間相手だと、はやさを0にすると本当に何もできなくなるのですよね。
と、扉を開いてと。
いましたね、ロマンスグレーの結構な美丈夫ですね。間髪入れずに、魔法で口封じ です。あ、普通にかかるのですね、驚いて口をパクパクとさせているのが、愉快ですね」
「変身して、襲いかかろうとしていましたね。でも姿が変わるのに時間がかかるのは仕様としてどうかと思うのですけどもね?
そこそこタフでしたが、口を封じて、急所とかを滅多突きにできましたね。まあ、白昼堂々、正面から襲われるとか、想像の埒外であったのでしょうから、見事に不意をつけました。死体が残らないのは本当にいいですね、さて、素材水晶と、コインを回収して、ずらかることにしましょう。
やってることが本当にテロリストじみてきましたね、と言うかそのものですね」
「はい、お城の隠し通路で、情報局のバロックさんと合流です」
「なんで仮面をかぶっているのですか、しかも怪しいのを、トムさん」
「見張りの方に顔を見られるのはいけませんので、持ったままでしたが、意外に役に立ちましたね、この怪しい仮面」
「左様で、見張りの兵士は復帰しましたけど、辺境伯が行方不明になったと、騒ぎになってますね」
「相手が怪物なら、血痕も残りませんから、部屋が多少荒らされた程度ですね。綺麗なやり口でした」
「犯罪者が目の前にいます」
「そうですね、共犯者さん」
「しかし、辺境伯が偽物であったのですね。怪物と入れ替わっていたのですか。でも、そうすると、本物はもう……」
「では、本物に会いに行きまして、事態の収拾を依頼しましょう」
「生きてるのですか?ええとどこに隠されていたのでしょうか?」
「まあ、隠されてはいないのですが。いえある意味強烈に隠されていたとも言えますが」
「で、来ました後妻である婦人の部屋ですね」
「なぜここに?洗脳が解けた婦人に本当の辺境伯の居場所を訪ねるのでしょうか?」
「隠し通路が、部屋の中まで直結していたのは助かりました、どうも、こんにちわ、マダム」
「ああ、なるほど、君か?」
「そうです、私です、人を下げさせたのは、感じとったからでございますね?」
「さすがに、侍女にバレて、キャーキャーと叫ばれると困るからな」
「とすると、意識がはっきりしだしたのですね、体の方は変化がありそうですか?」
「頭の奥の方では私のままだったからな。表を取り返したのは、ちょっと前だな。まったくひどい目にあった……と、体の方も兆候が出てきたな」
「ええと、婦人の体が煙に包まれましたよ、トムさん!」
「気をしっかり持ってくださいねバロックさん」
「うわああ、煙が晴れると、そこには、がっしりした体型の老年が、しっとりとしたドレスを着込んでいます。そして、肉で、色々はちきれそうです。というか、婦人がおっさんになってしまいました!あれ?もしかして辺境伯様ですか?」
「うむ、さすがにこの格好はなんなので、着替えを持ってきてくれるかな?」