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02_シンプルな出会いですね。

 「というわけで、王様です」

「はい、ええと勇者トムです。なんとも王様っぽい髪型ですね。トランプの絵柄みたいです」

「わかりやすさを追求しました」

「でも、傍に置いているくわみたいなものはなんでしょう?」

「くわですね、午前中の作業がまだ終わってませんから、謁見の後に続きをやります」

「やはりくわですか?え?農家な王様?」

「ちょっと豪華な麦わらが素材の王冠みます?」

「明らかにそれただの麦わら帽子ですよね?オーバーオールにマント姿って、シュールですね」

「人手がなくてね。王様自ら耕さないと食料が自給できないのですよ。」

「はあ、やはり悪くて強い魔王関係の問題ですか?」

「いえ、若い人が都会に行って帰ってきませんで、単純に働き手が年々少なくなってきてまして」

「限界集落な王国ってどうなんでしょうかね?」

「人口そろそろ100人を切りそうですからね」

「それ村って言いませんか?」

「人はそれぞれ自分の心に王国を持っているものなのですよ。若人よ」

「うるさいやい」


 「どうも、話が進みませんので、巫女が登場します」

「あ、どうも綺麗な方ですね。トムと言います。勇者だそうです」

「神様から聞いています、ようこそ、限界集落”斜陽”の王国へ」

「誰がそんな、没落まっしぐらな名前をつけたんですか?」

「響きが格好良かったからだそうですよ、当時の会議の資料によると?」

「そんな先祖がいたからこういう事態になったんじゃあないでしょうかね?」


 「我らが神から、申し送りを受けていますので、初期の装備とお金を支給いたしますね、


 ・布の服一式(厚手)

 ・檜の棒(武器です、長めで、杖がわりにもなります)

 ・皮とか布とかの頑丈な袋、リュックも添えて

 ・現金50c(単位はコインです)


 以上です」


「少なくないですか?」

「限界集落の財源に何を夢見ているのです?ちなみに、1日10コインくらいあれば何とか生きていけます」

「本当に私はわざわざ、世界を越えて呼ばれた勇者なのでしょうか?」


 「わが神の託宣によりますと、悪くて強い魔王の注意を引かない様に、あえて勢力範囲のはずれ、人の噂にも上がらないくらいの田舎に、呼び出させていただいたそうです」

「なるほど」

「最初のうちは、勇者は勇者(笑)くらい弱いので、そこを狙われる危険を避ける為だそうです」

「それにしてももう少しこう、未来が明るい類の田舎ではいけなかったのでしょうか?」

「そろそろ色々限界の王国でどうもすいません」

「あ、怒らせましたかね?」

「いえ、最近私も、この国にいても未来が無いので、出て行こうかなぁとか思ってましたし」

「それでいいのか神の巫女」


 「そういえば、巫女さまは神様をどのように呼んでいるのでしょうか?」

「神様のお名前は、ゲイリー・ガイギャックスと名乗っておられましたね」

「あれ、これはなんだか強く抗議しなければならないような気がしてきました、別にその名前は知らないのですけれど、きっと何かのネタであると確信してしまいました。何故でしょう?」


 「それでは後はのんびりと我が王国で力を蓄えると良い、そしてよければ畑仕事を手伝ってくれると助かる。葉物野菜がそろそろ収穫時期でな」

「王様、それ私のお仕事なんでしょうか?」

「食事くらいは出るぞ?」

「はい、喜んで」

「……頼んだわしが言うのもなんじゃけど、それでいのか?勇者様」


 「ええと、神のメモ帳が光ってますね、見てくださいということでしょうか?ペラリと表紙をめくりますと、なるほど、客観的に自分の強さをシンプルに知ることができる仕組みがあるのですね」


 「どれどれ、『自身の職業と、レベルや能力を数値で簡単に表してみました。参考にしてください』ですか、ええとなるほどなるほど、


 職業:勇者

 レベル:1

 累積経験値:0 (次は2でレベルアップします)

 ・ちから 2(パワーのことです筋肉と言ってもいいですね)

 ・はやさ 2(素早さです、手先の器用さも含ませました)

 ・かしこさ 2(頭の良さです、魔法を使うときにも関わります)

 ・がんじょう 2(体力とかタフとか言われるやつです)


 ・HP:4 (ちから+がんじょう です)

 ・MP:2(かしこさ そのままです)


 ですか、なるほどわかりやすいですね、ええと『一般人のレベルは平均6~8ですが地方によっては前後します』『能力の数値は、10前後が平均ですが、同じく地方とか設定とかによって変わります』」


 「私、実は弱いんじゃないかな?『うっかり怪我とかしないように注意しましょう』って、うん確かに気をつけよう」


 「ええと、また光りましたね、結構自己主張が激しいメモ帳ですね。ええと『お仕事:畑で収穫を手伝ってみよう(報酬:野菜のスープとパン 取得経験値:2)』ですか?流れに沿ってみるとしますと、農家王様の収穫を手伝えばよろしいようですね」

「おお勇者よ、畑仕事を手伝ってくれるとはありがたい」

「なんだか有名なセリフのパロディのような気がしますね、知りませんけれど」


 「おっと、なんだか世界がセピア色になりましたね、自分を含めて周囲の動きが止まってますね。ええとこれから野菜を収穫するぞ、というところなのですが」


 「0から9までの数字が書かれたサイコロ?のようなものと、10から90まで書かれた同じような形のものが、視界内の宙で、くるくると回ってますね」


 「『畑から野菜を収穫するという、一般的な判定です。基本の50%に素早さの2を加えます。ダイスを振って、52%以下が出ましたら、その行為は成功です』と宙に書いていますね。なるほどこれが事前にあの神様が言っていた、世界を渡った人物が手に入れる、特有の能力ですかね?」

 

 「試しにやってみましょう。ええとダイスを振ると考えればいいのでしょうかね。おっ、転がりだしましたね。と、ええと30と6ですね、これで36と読むようです」


 「『成功です、見事に葉物野菜を綺麗に丁寧に収穫できました。』と、なるほど、判定の結果と同時に世界に色が戻って、体が動いてますね、動かされるという感じもなく、自然に動いています、不思議ですね」


 「またメモ帳が光っていますね、なるほどレベルが上がったんですね、ええと、行動の記録が記入されているようですね、


 勇者トムは畑仕事(野菜の収穫)を成功させた。

 勇者トムは経験点2を手に入れた。

 勇者トムはレベルが1上がった

 勇者トムはレベルが2になった。

 ちから2上がった。

 すばやさが2上がった。

 かしこさが2上がった。

 がんじょうが2上がった。

 能力に自由に2点割振れます、神のメモ帳に書き込んでください。


 なるほど、ええと、ではバランス良く、ちから と かしこさ に1点ずつ割りふりましょうかね?っと、記録が続きますね。


 魔法の矢 の魔法を覚えた。


 これも、言われていた通りですね、勇者は接近して戦う術と、離れて戦うための魔法を覚えると。あとで使い方を調べておきましょう。


 勇者トムは新鮮なキャベツを手に入れた。


 あ、はい」


 「無事に仕事ができているようだの、その調子で次々と頼むぞ」

「了解致しました。……なるほど後の農作業は、不思議判定無しでそこそこの成功扱いなのですね」



 「勇者トムよ、よくぞ畑仕事を手伝ってくれた、これは報酬じゃ、遠慮なく受け取ってくれ給え」

「ありがたく、はい。美味しいですねこのスープ」

「じゃろう?王妃の料理は絶品なのじゃよ」

「あ、先程の恰幅の良い、エプロン姿のご婦人が王妃さまでしたか」


 「泊まるところじゃが、馬小屋が空いておる、そこならただで泊まれるぞ?」

「それも多分伝統くさいですね、王様。一応コインが残っているので宿屋とかに、泊まりたいのですが?」

「素泊まりなら部屋を貸してあげよう。明日も農作業を手伝ってくれるなら食事をつけて只じゃ」

「明日は、国民に話しを聞いたり、散策とかしに行きたいのですけど?」

「それほど時間はかからんよ、午後からでもいいじゃろうそれ」

「それもそうですね、お世話になりますが、これヒッチハイクとかで田舎を旅する自分探しの青年とか見たいな流れですね、聞いたことしかありませんがそんな状況」

「自分なんぞ探してどうするんだろうなぁ」

「ここにいますしねぇ?レクリエーションの一環でしょうかね?」


 「さて、メモ帳を確認しましょう。あかりが灯って薄暗い中でもよく見えるようになるのも便利ですねこれ、さすが神様道具、では、


 職業:勇者

 レベル:2

 累積経験値:2 (次は4でレベルアップします)

 ・ちから 5

 ・はやさ 4

 ・かしこさ 5

 ・がんじょう 4


 ・HP:9(減ると痛いです。0になると、復帰ポイントに戻されます。)

 ・MP:5(減っても違和感はありません。魔法を使うと減ります)


 と、なるほどですね。色々と仕事とかをして経験をためて行くと成長して強くなるという流れなわけですね。

 覚えた魔法はどんな効果なのでしょうか?


 魔法の矢:必ず対象に命中します。使ったものの、かしこさ の分だけ対象のHPを減らします。消費MPは2です。注意、この魔法が効かない対象もいますので過信しないように。


 ですか、強くないですかねこれ? かしこさ が上がっていくと際限なく強くなるんでしょうか?消費するMPも少ないようですし、必中とかバランス崩していませんか?一応確認のために質問として書き込んでおきましょう」


 「あとは、レベルが上がる経験点とか、能力値上昇の法則とか、魔法の覚え方とか、気になるところを一通り質問しておきましょう。……これでいいですかね。眠るとしましょうか」


 「それにしても、夢のような世界でさらに眠るとか、結構シュールな状況ではないでしょうか?おやすみなさい」



 「おはよう勇者トムよ」

「おはようございます王様」

「うむ気楽にアレックスさんとか呼んでくれてもいいぞ」

「欧米系?名前の付けかたとか法則あるのでしょうかね?」


 「普通に農作業でしたね」

「普通じゃない農作業とかあるのかね?」

「経験点が溜まるかどうかの違いでしょうか?」

「なるほど、さすが異世界の勇者さまだな。あれは、初めてやった仕事とか、神様が提示した仕事とかを成功させたり、失敗させたりするともらえるようだぞ」

「これは思わぬ方向から情報が入りましたねありがとうございますアレックスさん」

「わしも若い時は結構レベルが上がったものだよ。今では立派な農夫であるぞ」

「いやそこは王様を鍛えなさいよ」


 「さて、午前中の農作業も終わりましたので、メモを確認するとしましょう。なるほど経験点の獲得方法とかもまとめられていますね。

 

 ええと、いろいろシステム設定が知らされきていますね。


 ・経験点は累積点が、2の現在のレベル分の乗数分溜まった時に即時に上昇する。


 つまり、2レベルに上がるには2の1乗で、累積で2必要だったのですね、3レベルなら2の2乗で累積4と。4、5、6、7、8、9、10レベルだと、8点、16点、32点、64点、128点

、256点、512点、といった具合に倍々に累積点が必要になるわけですか。


 ・レベルの最大は99である。

 ・能力値はレベルが上昇した時に、上昇する。

 ・能力値の上昇はそのものがついている職業による。

 ・勇者の場合は一律2上昇した上で、2点、任意に割り振れる。

 ・一般人は一律1上昇の、1点任意割り振りなので勇者は優遇されている。


 テーブルトークRPGの神様、頑張ったんですね。でもなんだかまだまだ設定が続いているのですけど、これ全部読む必要があるのでしょうか?いや面白そうだから読みますけどね」




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