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15_シンプルな結婚式

 「冷たくも、熱い夜を過ごして、24日目の朝です。

 お薬を限界まで使うとどうなるのか、の実験結果によって、巫女さまがダウンしてしまいましたので、今日は自分でお弁当を作って、森への探索へ行く、勇者トムでありました。

 巫女さまなら、大丈夫です、かすれてはいましたが、息はしていましたし、出かける前には、意識も多少戻っていましたから、


 累積経験点:1663点 +20点ですね、濃ゆい夜でした」



 「東の森ですが、やはりいましたね、アカオビブドウ。別に強くはなっていませんね。落とす素材水晶のすっぱいブドウが、赤ワインの材料になるようですね」


 「アバレイノシシは、今日も4匹、狩れましたので、これでお肉は十分でありましょう。あとは、すっぱいブドウと、いい気持ちになるキノコを少し手に入れればいいですね。

 魔法で探索 の魔法は、常時展開しているので、感覚で、だいぶ繊細に使えるようになってきました、余計な敵と戦わなくて済むのはやはり便利ですね」


 「〇〇オビブドウシリーズは、とりあえず、シロとアカだけのようですね。もう少し強くて悪い魔王の勢力範囲に近づくと、強い種類のものが増えるのでしょうか?」


 「特に山も落ちもなく夕方になりましたね、一度100を振ってしまったので、多少HPを減らされて、治癒の魔法を使用しましたが、おおよそ、この がんじょう と 青銅の鎧 を抜いてダメージを通す敵との会敵を避けてきましたから、余裕ですね。ゴーストタイプだけは避けたほうが、効率が良いわけですか。


 魔法で探知を6回使用して、会敵した敵の総数は、16匹ですね。戦闘を回避したものを含めると、15分に1回くらいは普通に会敵するわけですか。


 内訳は、


 ・アバレイノシシ 4匹

 ・シロオビブドウ 7匹

 ・アカオビブドウ 4匹

 ・ウロツキノコ 1匹


 でしたね。

 嬉しいのは、ブドウ系の怪物モンスターから、複数個の素材水晶が落ちたことでしょうか。結構落ちやすいようですね。すっぱいブドウは。


 収穫は、

 コイン が

 40(イノシシ 4匹)+176(ブドウ 11匹)+20(キノコ 1匹)

 で、236枚。


 経験点も同値で、236点ですね。


 素材水晶が、


 ・アバレイノシシの肉 8個

 ・すっぱいブドウ 24個

 ・いい気持ちになるキノコ 1個


 ですね。


 累積経験点:1899点


 になりました。2048まで、あと149点ですか。もう1日森で稼ぎますかね?」



 「ビルさん、すっぱいブドウ24個手に入れました、ワインにしてください」

「了解だーよ、トイっと。手数料がコイン24枚だーよ」

「あと、いい気持ちになるキノコですが、感覚が鋭くなって、気分が高揚する薬にしてください」

「コイン2枚だーな、使いすぎには注意するだーよ?」

「大丈夫ですよ、私は使ってませんから」

「それはそれで、使い先が心配な、だーよ」



 「収入がコイン217枚ですから、半分国庫に入れて、108枚ですね。所持コインが972枚になりました。

 お肉はアバレイノシシの肉が10個揃いましたから、十分ですね。ワインが、白赤取り揃えて、25本ですから、もう少し欲しいですね、64本くらいは目標にしましょうか?巫女さま」

「国の人が全員飲むことができるとは限りませんから、そこまでは必要ないのではないでしょうか?米のお酒もありますし、勇者さま」

「どちらにせよ、後1日くらい森で戦ったら、12レベルになりそうですから、明日も引き続き森に行くのは確定なわけです、巫女さま」

「では、明日の結果を確認して、式の日取りを決定いたしましょう、告知とかは王様にでも任せればよろしいですしね、農作業の合間に触れ回ってもらいましょう、勇者さま」

「兼業農家の王様というのも珍しいですよね、巫女さま」

「今更のことですけどね、勇者さま」


 「お薬を追加して、作成してもらってきました。あかねさん」

「トムさん、それは本当にダメなのです。ええ、でも、体は正直なので、断れませんけど」

「断る気がないでしょう?限界量は見極められそうですので、安心してください、あかねさん」

「それを超えていくのも楽しそうです。まさに勇者の所業です!」

「テンションがおかしいですよ、巫女さま」



 「25日目の朝です。累積経験点:1891点ですか、+2点ですから、普通でしたかね?」

「意識が飛んでもすぐ戻ってこられましたね、気持ちよかったです、勇者さま」

「あのくらいが適量ですかね?まあ、一旦お薬は置いておきましょう。あの感覚に慣れすぎるのも、刺激が少なくなるでしょうし、巫女さま」

「ちょっと残念ですけど、お預けというのも、焦らされていい感じです勇者さま」




 「今日は、昨日に引き続いて、特記することがありませんね。ブドウ系列を中心に刈ることにしましたし、余計な敵とは戦闘を避けましたから、危機らしい危機もありません。ルーチンワークって素晴らしいですね。

 新しい怪物モンスターも現れませんでしたし、東の森はだいたい攻略しましたかね?きっと塔がクリアの基準だったのでしょうね。

 噴霧器と農薬で無双でしたが。


 今日の収穫です。

 ・アバレイノシシ 1匹

 ・シロオビブドウ 8匹

 ・アカオビブドウ 10匹


 周回するルートもわかってきましたね。効率的にブドウが狩れました。素材水晶も2個平均で落ちてきます。ブドウ狩りに良いシーズンということでしょうか?怪物モンスターに旬とかあるのでしょうかね?

 竹林に行くと、たけのこ由来の怪物モンスターとかいるのでしょうか?」


 「獲得経験点288点のコイン+288枚ですね、レベルが上がっていますよ。


 職業:勇者

 レベル:12

 累積経験値:2,179 (次は4,096でレベルアップします)

 ・ちから 30

 ・はやさ 29

 ・かしこさ 30

 ・がんじょう 29


 ・HP:59/59(全快です)

 ・MP:24/30(魔法で探索 を6回使用しています)


 魔法で口封じ の魔法を覚えた。


 魔法で口封じ:相手の魔法を封じます。消費MP3。声を封印された対象が、ゆっくりと休息するまで、この魔法の効果は持続します。効果の無い怪物モンスターもいますので、過信してはいけません。


 この魔法、またシンプルに強くありませんかね?効果がある相手には、必ず効くわけですか。呪文を唱えさせないようなビジュアルでしょうかね?

 魔法は呪文を唱えないといけない、という法則があるので、発言を封じると、自動的に魔法を封じることができるわけですか。


 特殊な攻撃は防げないようですけど、十分凶悪な性能であるような気がします。こちらに向かって飛んできたら、逃げの一手になりそうな魔法ですね」


 「試しに、ゴーストメイジに使用してみたいですね。今日はもう遅いので帰宅しますが」




 「すっぱいブドウが37個あります、例のごとくワインにしてくださいな」

「了解だーよ、トイトイトイ、と、37コインになるだーよ」

「ありがとうございます、ビルさん」

「どういたしましてだよ、勇者トムさま」



 「お肉が一つ増えて、11個になりました、ワインは赤白取り揃えて、62本になりましたから、これだけあれば十分ですね。所持コインも1,098となりました、4桁ですね。日本円換算だとどのくらいになるのでしょうか?」

「1コイン100円くらいと考えたら、10万円くらいですかね?勇者様、まあ、流通とか経済規模とか、違うところが多いですから、乱暴な変換比率ですけど」

「意外と物価が安いのですかね?青銅の剣とか2万円くらいになりますよ?」

「10コインあれば1日生きていけますから、生活費20日分と考えると、妥当ではありませんでしょうか?勇者様」

「技術料とかもう少しとってもいいような気がしますが?スミスの親方とか」

「単純に需要が無いので高くしても売れないという理由もありそうですけどね、何せ勇者さまくらいしか武器防具を買いませんから」

「ではなおさらふっかけてもよろしかったのでは?私には結構必要なものでしたし」

「払えない金額を設定しても儲かりませんからでしょうかね?それに、農具やら日々の鍛冶製品のメンテナンスだけで、十分に食べていけるという、経済的な余裕もあるのでしょうね。勇者さま」

「そんなものでしょうか?傷を瞬時に治すような薬が、千円以下で買えるというのも凄まじいといえば凄まじい気もしますし、なんだか、騙されているような気もします、巫女さま」

「最初の村ですからね、神様の調整の結果なのでしょうね。ああ、あと、勇者さまが積極的に怪物モンスターを狩ってくれて、地域の安全を保ってくれている、謝礼も込められている、可能性がありますね」

「なるほど、では、もう少し雑魚でもしっかり狩っておくべきでしょうか?」

「そこは、もっと、大物を狩ってくださって、国庫を潤してくださった方が、全体的に国の防衛力が増すと思いますよ、勇者さま」

「なるほど、そういう仕組みもあるわけですね」



 「披露宴の材料が揃いましたし、王様にお願いして、日程を調整してもらいましょう、田植えも終わったようです、次の作付けの合間に、1日、飲んで騒げる日を作らせます、勇者さま」

「了解しました、巫女さま」

「一週間くらいを目安にスケジュールを調整してもらいます、その間勇者さまはどうしますか?」

「もう少し東の森を探索しつつ、素材水晶を集めていこうかと。式の前後には完全休養を入れるとしても、適度に時間がありますので、もう少し披露宴の料理を豪華にしていきましょう、巫女さま」

「式の相談とかもしたいのですけど、勇者さま?」

「そうですね、では、1日おきくらいに稼ぎに行ってきます、で、1日は準備に費やすで、どうでしょうか?巫女さま」

「はい、そうですね、だいたいの準備は国でやりますけど、意見のすり合わせとか、セレモニーの演出とかは、十分に話し合いたいですから、それで行きましょう。式自体は、神前結婚と言いますか、私の神殿風ですので、なんとでもなりますし。衣装合わせとか、予行練習とか」



 「ご両親への挨拶とか、ないのが、ちょっと寂しいですかね?巫女さま」

「あ、そういえばそういうものもありましたね、普通の結婚式なら。でも、私の両親は、幼い私を残して、広い世界へ旅立っってしまいましたし、他に肉親はいませんし」

「音信不通なのですよね、心配ではありませんか?」

「そうですね、異世界からの勇者さまたちを差し置いて、強くて悪い魔王をぼてくりころがしてしまわないか、という点では心配ですね勇者さま」

「あ、そういう最強系のご両親であるわけですね、巫女さま」

「東の森を抜けないで、10年前に、南へまっすぐ進んだ方が早いと、強めの怪物モンスター多発地帯を突っ切ったのは、確信していますね」

「あ、そいういうルートもあるんですね巫女さま」

「お勧めしませんよ?南の橋を越えると、半端なく強い怪物モンスターが出てきますので」




 「意外に式の準備に忙殺されて、探索に出られませんでした、巫女さま」

「5日で全部段取りを済ませましたですからね、勇者さま」

「おかげで、夜戦で経験点が10点伸びて、結婚式の準備自体でも6点てにはいりましたね、巫女さま」

「その手の引き出しの多さに、ますます痺れます。惚れ直しました勇者さま」




 「というわけで今日の良き日を迎えたわけじゃ、二人の若き夫婦に幸多からんことを!」

「王様、張り切ってますねぇ、巫女さま」

「しばらくぶりの、王様らしいセレモニーですから、勇者さま」

「やっぱり、こちらの結婚式でも、近いのキスとかするのですね巫女さま」

「舌まで絡ませるのは、普通やりませんけど?勇者さま」



 「さあ、今日は大盤振る舞いだよ!アバレイノシシの肉、100選!各種ベリー種のソースや、野菜もたっぷりのシチュー、燻製にしたものに一手間加えた香草漬け、単純に塩胡椒で焼いたのもいけるよ!今日の主役、新婚さんに感謝しながら、食べるんだよ!」

「王妃様というか、肝っ玉母さんコックですね、巫女様」

「ちゃんと栄養のバランスを考えている姿が素敵ですね、勇者様」



 「ちくしょう、うまいじゃねーかこのお酒」

「あー、あかね さま、本当に勇者のものになってしまったんだなぁ」

「……これで諦めがつくと、いうものであるかなぁ」

「幸せそうな顔してやがるなぁ、うう、なんだよこの酒やけにしょっぺーなー」


 「村の青年団の席を隔離しておいて正解でしたね巫女さま」

「はい、これで、まっとうに村の女の人とくっついてくれるといいのですけど、勇者さま」

「お嫁さん、いるのですかね?限界集落でしたよね?巫女さま」

「厳しいですけど、なくはないのですよ?勇者さま、最悪よそから攫って、違いました、騙して、連れてこなければならないですけど」

「言い直しても犯罪臭しかしないのですか巫女さま?」



 

 「異世界生活31日目です。結婚しました。

 今日の行動記録を、神の手帳で確認しておきましょう。


 『勇者トムは、巫女あかねと結婚した。』

 『勇者トムは、巫女あかねの愛をてにいれた』

 『勇者トムは、呪われてしまった、もう巫女あかねを手放せない』

 

 最後のログがちょっと不穏当ではありますが、まあ、祝われているのも、呪われているのもそれほどの違いはないということでしょうか?」


 「幸せですよ、勇者トム さん」

「はい私も幸せですよ、巫女あかね さん」


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