12_シンプルに塔を攻略しましょう。
「21日目のお昼前です。一応、東の森の塔、という名称で、魔法の定期の駅になっているのですね、
こう、外から観察すると、へんぽんと翻る旗のようなものが見えたのですが、ええ、洗濯物のようですね?誰が住んでいるのでしょうか?」
「今日はこの塔を探索することを念頭に置いて、怪物を避けてきましたから、MPを温存しています。
現在MP:25
累積経験点:1,226点
です、ここまで、結構な速さで到着しましたね。 能力値の はやさ が高いので移動速度もかなり上昇しているようです」
「おっと、神のメモ帳が光りましたね。お仕事のようです。
『お仕事:東の森、謎の塔を攻略しよう。
(報酬:次の村への安全な中継点を確保 取得経験値:128点)』
結構、手に入る経験点が大きいですね?難しいお仕事なのでしょうか?気を引き締めていかないといけませんね」
「塔の入り口には別に鍵もかかっていませんでしたね、広めの壁のない部屋のようですが、奥の上へと続く階段への道を塞ぐように、人影が立っていますね」
「複数立っているように見えますが、全て旅装の男性ですね。ただ、頭の上にゆらゆら揺れて生えている、ピンクのキノコが大きなワンポイントでプリティーです、
と言いますか、隠す気ないでしょう、この状況を作り出した方々、完全にキノコに操られている旅人ですね、状況的に、シャヨ国から出奔した、青年のなれの果てでしょうか?
どうしましょうかね?
単純に頭のキノコを攻撃して排除すれば、良さそうな気はしますが」
「安全策をとりました。 魔法の束縛 を使用して、はやさ を 0にしました。ベースが村人でしたので、予想通り行動不能になったところで、ロープと猿轡で拘束です。……男を縛っても面白くもなんともありませんね。
他の操られ出奔村人が群がってくる前に、撤収ですね」
「魔法の定期での移動は、拘束した物体を手に持つ扱いにすると使用できるみたいですね。完全に布か何かで覆わなければならないみたいですけど。
危険物の持ち込み対策とかしているのでしょうか?
よく考えたら、刃物を抜き身で持ち運んでも、止められなかったですね。その辺りの安全管理は結構ゆるい機構なのでしょう」
「と、いう現状ですね。出奔した村の青年がどのような展開で、頭に可愛らしいキノコをつけて、フラフラしていたのかは、わかりませんが、王様」
「おお、勇者を、貴重な労力を取り返してくれてくれるとは素晴らしい。じゃが、拘束を解こうとすると、暴れだしそうなやんちゃはちょっと困るなぁ」
「何か治す手立てはございませんかね?王様」
「巫女さまの領分ではないでしょうかね?勇者さま」
「呼ばれてきました、マリッジブルーとかどこの、都市伝説でございましょうか?状態の浮ついた巫女さまです」
「ご成婚おめでとうございます、巫女さま」
「ありがとうございます王様、この左手の薬指に光る指輪が、幸せを眼前に突きつけてくれるようで、嬉しい、巫女さまです」
「本題ですが、これはどうにかなりますかね」
「これは、怪物の、トリツキノコ ですね。宿主に寄生して、養分を横取りしつつ、その宿主の滋養を高めるために、健康管理とかしてくれる、取り憑き型の怪物です。近く人間が来ると、仲間を増やそうと襲いかかってくる点や、とりつかれた人間の元の自我が薄くなる点などを除けば、健康にいいキノコですね」
「その2点は致命的な欠点じゃと思うのじゃよ巫女よ?」
「オヤブンキノコを支配下におけば、制御も可能ですから、うまくやれば、文句も言わなくて、24時間健康的に対価も必要とせずに労働してくれる、黒い会社的な働き手を手に入れらますね、やりましたね王様」
「いやしないですよ?結局そういう歪な労働力は、全体的な経済バランスを崩しますからね?特に閉鎖的な社会では顕著ですからね、巫女よ」
「で治療可能なのですかね?巫女さま?」
「可能か不可能かというなら可能ですね。毒を消す魔法とか、呪いを消す魔法とか、その系列と並行して、キノコを除去させればいいのです。ですけど、このキノコでしたら、もっと簡単な方法がありますね、勇者さま」
「それはなんでしょうか?」
「除草剤でお亡くなりになります、原液を使用すれば、すぐに枯れて、被害者の体から、落ちますね、ポロリと」
「なんとも乱暴な気がしますが?巫女さま」
「まあ、噴霧器か何かで、濃いめの農薬をかければ、一発で動きが鈍りますから、あとは続けてかけて止めをさせばいいでしょう、簡単ですよ?勇者さま」
「想像以上に簡単でした、では道具屋のビルさんから噴霧器を購入してきましょうか」
「いやそれには及ばないぞ勇者よ、噴霧器なら業務用のものを貸してやろう。わしのお気に入りのやつがあるのでな」
「愛用の農薬噴霧器を持っている、一国の最高指導者。すごい字面なのですが、ありがたくお借りいたします、王様」
「うむうむ、これで田舎を離れていった若者も戻ってくるな、よきかな」
「下手に集落から出ると、速攻で命の危険がある、という現実を知った若者たちが、閉塞感で絶望しなければよろしいのですが、王様」
「嫌なことを言ってくれるでないわい、勇者よ」
「適度にMPを消費しましたので、続きは明日にしようと思います、巫女さま」
「そうですね、今更1日や2日で、事態が急激に悪化するようなこともないでしょうし、勇者さま、で少し時間できましたら、日程やら、式の内容やら、当日の料理やら、相談したいのですが?」
「はい、喜んでです」
「22日目の朝です。今日は、結婚式の計画を立てたのと、ベッドの野戦でのあれこれな行動で、合計4点の経験点を得ています。
累積経験点:1228 点
となりました。では行ってきます巫女さま」
「いってらっしゃい勇者さま」
「特に何もなく、塔の前まで来ましたね。移動に慣れたのか、魔法で探索 も、2回目がかなり余裕がありますね。
というか、はやさ 27 って、常人の3倍くらいの はやさ 何ですよね。
がんじょう も27 ですから、かなり体力には余裕ができるようです」
「塔の中です。一回は、シャヨ国から出奔した、村人が3人ほどでした。噴霧器での濃厚農薬噴霧で、簡単に攻略です。少し村人の顔にかかって、のたうちまわっていましたが、まあ、命には別状ないでしょう。
怪物のトリツキノコを倒したショックで気絶しているようですから、これ幸いと部屋の隅に固めて寝かせておきましょう。
手帳の行動履歴を確認すると、
・勇者トムはトリツキノコを3体倒した。
・経験点を合計48点てにいれた。
・コインを48枚手に入れた。
・いい気持ちになるキノコ の素材水晶を一つ、拾った。
最後の素材水晶、いろいろ、危険ではないでしょうか?」
「次の階に上がりましょう。魔法の探索によると、今度は一人、次の階段に続く道を守っているようですね。一つの階に、そこを守る人を少しずつ配置していって、順に攻略するというのは、何かのお約束なのでしょうか?」
「革の鎧一式に、根を構えている、戦う人ことが日常に近い、人間のようですね。まあ、先手はこちらなので、接近して噴霧器の一撃を頭のピンクキノコに与えるだけなのですが」
「驚きました、魔法を使ってきましたね、この革鎧の人。魔法の束縛 で はやさ が10下がりましたよ。速攻で、キノコを始末しましたら、それほど影響はありませんでしたが。
行動の記録を神の手帳で確認しましょう。
・トリツキノコにとりつかれた、元シャヨ国兵士のジョンソンが現れた。
なるほど、外貨を稼ぎに出た、兵士さんがそういえばいましたね。彼がそうですか。確か魔法の束縛が使えるとのことでしたから、間違いなさすです。
こんなところで、塔を守っていたのですね。
・勇者トムは、とりつかれ兵士ジョンソンを倒した。
・経験点を32点てにいれた。
・コインを32枚てにいれた。
この、コインって、兵士ジョンソンさんの財布から落ちたのでしょうか?」
「最上階のようです、何やら、動物の骨とかでできた王座に怪しげな仮面をつけた、人間が杖を片手に座ってますね。自分で言っておいて何ですが、怪しげでない仮面というのは存在するのでしょうかね?
で、頭の上にはピンクのキノコでありまして、ただ、かなり立派ですね。大きいです、オヤブントリツキノコですかね?
何か、言ってますけど、さすがキノコ、意味をなしませんね、なんですかね、『闇の炎の支配者である偉大なる魔法使い』って?」
「魔法の矢 のような魔法を使用してきましたね。黒っぽい炎でしたが、一度に19点減らされました、しかし、先制で吹きかけた農薬が、キノコに徐々に効いてきたのが勝因でしたね。
魔法を毎回連族で放ってこられると、かなりピンチでしたが、やはり操っているのが菌類であるので、その辺り愚かに、殴りかかってきたり、菌を振りまいてきたりしてきましたから、逆に助かりました、治癒が間に合いましたね」
「原液の農薬と、噴霧器を用意しておいて正解でしたね。これがなければ危なかったです、王様に感謝ですね、神の手帳で、行動記録を確認しましょう。
・オヤブントリツキノコに取り憑かれた、元シャヨ国宮廷魔術師の弟子、チャーリーが現れた。
なるほど、そういう方もおられましたね。
……出奔されたのは、30年前じゃなかったですかね?そんなに長くこの塔にいたのですか、
・勇者トムは農薬の原液を吹きかけた、オヤブントリツキノコに命中。
・オヤブントリツキノコは、苦しんで、徐々に弱ってきている。
一応オヤブンですから、すぐには倒れなかったのですね。
まあ、時間の問題でしたが、
・勇者トムは、オヤブントリツキノコに取り憑かれた魔法使いチャーリーを倒した。
・経験点を40点てにいれた。
・コインを40枚てにいれた。
・悪い魔法使いの仮面をてにいれた。
いや、こんな趣味の悪い仮面なんて、要らないわけですが……高く売れますかね?」
「噴霧器の命中する判定が、攻撃と同じで助かりました、しかも、普通の武器より命中しやすいとか、トリツキノコみたいな奴にしか使えませんが、これは便利ですね。私も手に入れるべきでしょうか?
・勇者トムの攻撃、噴霧器で原液農薬を放った。
攻撃:50 + はやさ 27 + 噴霧器の特性 + 20 = 97%
トリツキノコ の はやさ 10
で、命中率が87%
まず当たりますね。ダメージも、がんじょう を無視で、継続してHPが減っていくとか、これはもう、科学の勝利と言って、いいかもしれませんね」
「さて、トリツキノコの被害者の皆様も一階に運びまして、それぞれもともと持っていた荷物とか、衣服とかも大体運びましたね。
まだ目を覚ましませんね、
一応、仕事はクリアしたことになっていますので、ちょっと整理しておきましょうか。
・トリツキノコなどを倒しててにいれた経験点 +120点
・仕事を達成しました。経験点 +128点
で、合計 +248点 ですね。
累計経験点は 1228 + 248 = 1476 点となりました。
・コインは合計 +120枚です。
・素材水晶は、 いい気持ちになるキノコ が一つですね。
あと、怪しげな仮面を一つ拾いました、つけませんよ?」
「HP:54/54(全快です)
MP:15/27 (治癒の魔法を3回、魔法で探索の魔法を3回使用済)
ですね、もう少しは戦えそうです」
「手荷物扱いで、魔法の定期で読んだ列車で気絶した青年達を運ぶのは、数が多いので無理でしょうね。
ということは、自分の足で歩いてシャヨ国まで戻ってもらわないといけないのですが、大丈夫でしょうか?まあ、見た目では弱っている感じはしませんし、むしろ、完璧な健康管理をされているので、若干マッチョな感じではありますね。
魔法使いのチャーリーさんまで、あまり年齢を感じさせないというか、若々しい肉体ですし、このトリツキノコ、うまく使えば、アンチエイジングとかできるのではないでしょうか?
プラントハンターではありませんが、サンプルを持ち帰ることも検討しましょうか?
シャヨ国で、菌が蔓延してパニックになる映像が脳裏に浮かびましたね。
行うのならば、しっかりとした、隔離施設を作ってから考えてみるべきでしょうね。その後には、製薬事業とかにも発展しそうですね。キノコがトレードマークになるのですか?ちょとした地方再生事業としては、物騒なものになりそうな予感がしますね……」
「おっと、そろそろ目を覚ましそうですね、さて、まずはお話をして、現状の認識をすり合わせなければなりませんね」