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10_シンプルな旅路の開始。

 「では、折角覚えましたし、試しに唱えてみましょう。

 と言いますか、試しもせずにいきなり使用するのは怖いですしね。

 

 魔法の定期パス 目的地は西の洞窟。


 遠くの空から、空中に線路が引かれ始めましたね、何にもささえられていないのに、不思議に自立しているようです。そして、パタパタと瞬時に目の前まで線路が来まして、そのまま、反対側へ、伸びていきますね。


 列車のような駆動音と、風切り音が近づいてきていますね。というか、そのまま列車ですね、見た目は石炭を燃やして走るレトロな感じですか?汽笛も断続的に聞こえてきます。


 目の前に黒い列車が、スピードを落として、スムーズに止まりますね。あ、車掌さんらしき黒い人が定期パスを確認して、迎え入れてくれますね、列車に乗り込みまして、と、これはまたスムーズに発車です、アナウンスは直接車掌さんが行うのですね、と、そうこうしているうちに、西の洞窟前に到着です。


 タラップを降りますと、また列車が動き出して、パタパタと、線路をが回収されて消えていってますね。

 元ネタが何かありそうです。わかりませんが。けれど、無駄にすごい演出であることは、察することができますね。


 もう少しリソースのかけ方を考えた方がよろしいのではないでしょうか?神様」



 「帰りも同じでしたね。乗客って私だけでしたが、採算は取れるのでしょうか?」

「お帰りなさい、勇者さま、どうでしたか?」

「もう少しおとなしい感じの、移動方法でも良かったような気がします。巫女さま、時間はどのくらい経ってますか?」

「行き帰りで1分も経ってません、勇者さま」

「……時空が歪んでいるのでしょうかね?体感時間ではその10倍以上に感じましたが」

「ニチアサ時空でしょうか?勇者さま」

「単語の意味はわかりませんが、いろいろ追求したらまずそうな気配がしますので、それについてはコメントいたしません」

「最終的には機械の体とか、手に入れに行けたりするのでしょうかね?勇者さま?」

「だからコメントしませんというのに」


 「今日は、この魔法の定期パスの魔法を試したので、残りのMPが6しかありませんね。ちょっと心許ないので、休息日にしますかね、巫女さま」

「それがいいですね、しばらく働きづめでしたし、勇者さま」

「よく考えると、召喚されてから、こっち、休みとかありませんでしたね、ブラックな企業真っ青でしたね」

「召喚されて12日連続勤務でしたね。ええと12日しか経ってないのですよね、それで10レベルですか、さすが勇者さまですね、普通の人の20年分くらいは経験を積んでいますよ」

「……とすると、これから20年くらいは遊んでてもいいのですかね?巫女さま」

「その計算はおかしいです、と言いますか、本来の目的を見失っているような?気がしますよ勇者さま?」

「見失うくらいに君が魅力的ということですよ、あかね さん」

「あ、真顔で言いましたね。美形は得ですね、結構ドキッと来ますよ? トムさん」

「私は、それほど綺麗じゃないですけどね?」

「なるほど、自己評価低い系、の美形少年なわけですね。美味しく喰べて正解でした」

「ええと?」

「元の世界ではお姉さまがたに、気に入られていませんでしたか?」

「そういえば、親密なおつきあいをしているちょっと先輩とか、何人かいましたね?いえ別に同級生とか下級生にそういう方がいなかったわけでもないですけど?」

「同性の友達とか少なかったんじゃないですか?」

「いいえ?そのあたりのバランスも取れていないと、女の子と楽しく遊べないじゃないですか」

「あ、この勇者、結構、遊びなれているんだ、というか、女の敵?」

「私も楽しいし、女の子も全員楽しいし、winwinの関係だよね?まあ、のめり込まないで、結構表面的な付き合いが多かったですけども?本気にならない、させないが、基本ですよね?」

「結構最悪な男の子かもしれない。いいですね、ますます好みですよ?」

「正直巫女さまの趣味もどうかとは思いますよ?」



 「13日目の朝ですね、日記とか書かなくても、神の手帳で確認すると、すぐに記録がわかるのは、地味に便利ですね」

「そうですね、夜の生活も記録が残るとか、とても考えさせられる仕様ではありますけど、バリエーションとかローテーションとか組む時に便利ですね、勇者さま」

「まだ、いろいろ新鮮で、マンネリするほどのことはないですけどもね?神様の描写とか、修飾とか、さらに洗練されてきてますから、読み物としても、良いですね」

「そのうちにどこかで作品として公開されるのでしょうか?」

「需要はないでしょう?というか作品として公開って何ですかね?巫女さま」



 「累積経験点:522 ですね。今日は、シャヨ国の周囲を探索してみましょう」

「東の未舗装な街道をずっと進むと、比較的大きな町?がありますよ、勇者さま」

「どのくらいの距離ですか?」

「徒歩で2日、途中で野宿しなければなりませんから、そうですね、80㎞くらい先でしょうか?ただ、”未舗装の街道”と表されているのでわかる通りに、道が消えかけていますから、もう少し時間がかかるかもしれませんね?」

「なるほど、ちなみに、この限界集落から脱出した青年とかが、行くのがその町ですか?」

「いえ、その町というか村の少し大きいくらいの規模ですが、そこをさらに南にだいぶいった先に、大きめの辺境都市国家があるので、そこまで行ってるんじゃないでしょうかね?」

「ずいぶんあやふやな情報ですね?」

「一度この国を出てしまうと、本当に全く誰も帰ってきませんからね。手紙とかを届ける人もいませんし、行商人とか本当に存在するのですか?レベルのレア度ですから」

「なるほどそこまでですか。しかし、それにしても、この国の出身者なら、一度くらい帰郷しても良さそうなものですが?」

「たぶん、この国に対して未練がなくて、むしろ、思い出すと苦しくなったり悲しくなるので、あえて戻ろうとかすら思わなくなっているのかもしれませんね?」

「どんな辛いことがあったのでしょうか?ああっ、美人巫女に、手酷くフラれてショックだったとかですかね?」

「みなさん根性がなくてですね……、私の照れ隠しの一撃で、すぐに沈んでしまうのですよ」

「根性でどうにかなる一撃ではないですよあれは……」


 「村の北が山林ですね」

「はいそうです、鬱蒼と茂った森が峻険な山脈に向かって続いています、悪くて強い魔王の影響とは関係なくて、自然の脅威とかが猛威を振るっている、人類未踏の環境ですね。山の比較的浅いところからは、鉱石とか岩塩とかが取れるそうです」

「結構足をのばして訪れる人がいるのですね」

「昔の話ですけども、確か60年くらい前?ですかね?」


 「西が洞窟がある丘陵、ちなみにさらに西に行っても何もないのでしたよね?」

「はいそうですね、断崖絶壁の海が見えてくると思います」

「一応海の幸が取れる可能性はあるのですか」

「海面近くまで行くのが一苦労だと思いますよ?」


 「南は平原で、先にさらに進むと湿地帯ですか」

「途中の川にかかっている橋を越えると、怪物モンスターの分布がガラリと変わりますので注意してくださいね」

「橋とかあるんですか!とっくに整備されてなくて朽ちているようなものですが」

「不思議な魔法がかかっている、石のような材質で作られた太古からある橋だそうですね、メンテナンスフリーなのは、結構うらやましいです」


 「東は、整備されていない街道があって、2日ほど進むと、村があると」

「森の中を通る形ですので、街道と言うよりは獣道に近いですかね?一応道標とかは要所要所に、残っているといいですね、という、感じですが」

「それ、この国を出奔した若者たちって、順当にそこで迷って遭難しているので、帰ってこないんじゃないんですかね?」

「……なるほど、それは考えてもみませんでした。十分ありえますね」

「外から人が来ない理由もそれじゃないかなぁ」


 「さてではどちらに向かって進みましょうか?」



 「順当に東へと行きましょう。森の先に村があるということですから、まずはそこを目標としつつ、森そのものも探索してみます、巫女さま」

「それがよろしいかと、ついでに彷徨っている村の若者がまだいましたら、ここまで連れて帰ってくれると嬉しいですね、勇者さま」

「未だ彷徨っっているなら、人ではなくなっている可能性もありますが、善処しますね」



 「というわけで王様、勇者トムはこれから、東の方へ旅に出ますので」

「おお勇者よ、そろそろ田植えのシーズンなのであてにしておったのだが」

「お米あるんですね」

「収穫率とか、輪作障害対策とか、考えるに、優良穀物だからな。当然水耕栽培だぞ?」

「技術の伝達とか発達の歪み具合が半端ないですね、王様」

「正直、文化の発展がここまで歪だと、あっさり世界大戦が起こりそうで怖いとは思うぞ?まあ、その辺り人間同士諍いをを、強くて悪い魔王という共通の敵という存在が押しとどめているのかもしれんが」

「意外に物を考えている王様であることが判明して、勇者は驚いています」

「失礼な、限界集落国家と言っても、王様をやってるんじゃぞ?最低限の知識はあるわい」

「お見それしました」

「まあ、わしが持っている技術は、大半は農作業の知識じゃがの」

「感心して損した気分ですね」



 「旅に出るとは言いましたが、魔法の定期パスの魔法がありますので、帰還は結構頻繁にする予定ではあります、正直、野宿とかあまりしたくありませんし、開けた場所からなら、問題なく、時空を歪めてやってくる列車に乗れますので、今晩も帰ってくる予定です。MPが枯渇したら、わかりませんが」

「便利な魔法じゃのう。うちも宮廷魔術師がまだ居れば、その魔法が使えたので、よかったのじゃが……」

「昔はおられたのですか?また出稼ぎにでも出られているのですか?」

「亡くなられたよ、寿命でな、100は過ぎていたかな?20年前に大往生じゃったよ」

「なるほど、ええと、お弟子さんとかいなかったのですか?」

「おったけどなあ、そやつが、若い頃に『世界を見てくる』と、村を飛び出して、それっきりじゃなあ」

「あー」



 「という、なんやかんやがありましたが、現在私こと勇者は、東の整備されていない街道を進んで森の中に入っています。昼なお暗いという、鬱蒼とした森ではあります。広葉樹が多いので標高はそれほど高くはないようですね。


 道標はほとんど倒れていたり、朽ちていたりして消え去っていますね。街道も笑ってしまうくらいに草木に埋もれています。正直、一から端から整備し直した方が、結果的はやく森を抜けられるのではありませんかね、というレベルです。


 太陽の位置とかも判りにくいですし、普通に歩いていると、これは確実に迷うのではないでしょうか?そこで、この魔法、 魔法で探索 の出番です。これ何と方位磁石も兼ねるのですね、ちょっと感覚をつかむ練習は必要でしたけど、東西南北、丸分かりです。

  

 この世界も地磁気とか正常にあるのですね、そこにも驚きです」


 「と、これは懐かしい怪物モンスターが現れました、アバレイノシシですね。魔法で探索のおかげで、不意打ちも受けませんし、装備も一新されています、ここは正面から、受けて立ってみますかね?


 と、さすがに、がんじょう、と青銅の鎧で40点まで攻撃を無効化できるのはすごいですね。突進攻撃ですら、受け止められましたよ。

 ざっくりと返す剣で反撃をしまして、はい、3回切ったら、倒せましたね。魔法を使うまでもありませんでした、


 ・勇者トムは、アバレイノシシを倒した。

 ・経験点10点を手に入れた。

 ・10コインを手に入れた。

 ・アバレイノシシの肉 の素材水晶を手に入れた。


 森までに、出会った、怪物モンスターも全部倒しましたから、ここで少しまとめますかね?


 ・本日今までの獲得経験点は合計22点、コイン22枚。

 ・素材水晶は、アバレイノシシの肉1と、オオガラスの風切り羽根1。


 ・累積経験点:544 


 ですね」


  「おっと、また 魔法で探査 に反応がありますね、なんでしょう、あれは?青白い影でしょうか、ふわふわと浮かんでいる人影でしょうか?

 こうスーと宙を滑るように近づいてくる、半透明な人影、ちょっとデフォルメされていて、人間そのものではない感じですね。腰から下は、すぼんでいて足がないように見えます。

 コミカルな感じの、幽霊ゴーストですかね?


 襲ってきますね、さて、ああいう怪物モンスターに、青銅の剣は通じるのでしょうか?


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