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第一・五話 竜の企み

こんにちは


ブックマークありがとうございまーす!!


  わたしはただただ困惑していた。


 自分の身に何が起きているのか。そして、目の前の存在が何なのか。


  それが、解らなかった。


  いや、予想はついている。膨大に溜め込まれたわたしの知識の中にも、該当する項目がある。でも、確信が持てない。

  

  だから、その存在にわたしは話しかけた。




  

  幾度かの呼び掛けにも、それは反応しなかった。どうやら、眠っているようだ。ならば、多少強引な手段もやむをえまい。


 ギギギギギィ~~~~!!ギギギギギィ~~~~!!


 生物なら、本能的に嫌うであろう音を周囲に響かせる。


  「あー、うるせえ!!」


  ようやく、目を覚ましたようだ。すかさず、わたしは覚醒したその魂を、心眼で視る。

  


  と同時に、わたしはそれに目覚めの挨拶をした。


 

  『やあ、おはよう』








  ◆  ◆  ◆







  どうやら、わたしの予想は正しかったようだ。彼は、この世界の住人ではない。そして、わたしの精神の殆んどは、彼に吸収されてしまったようだ。


 困惑は、確信へと変わる。そしてそれは、わたしに絶望と悲歎ではなく、歓喜と興奮をもたらした。


  それはそうだろう。

  わたしは竜だ。何万年と生きている。

  この世界は見尽くした。だから、退屈だった。


  そして、数十回と繰り返した転生のとき、わたしの身にそれは起こった。

  

  何万年と時が経つなかでも、めったに起こらない現象。それをわたしは今、体験しているのだ。


  これは、退屈な日常に起こった変化だ。


  それを喜ばずして、どうしろというのか。気が奮い立たずして、どうしろというのか。


  未知の体験にわたしの心は舞い上がった。


 




  彼はシンジといった。物分かりが良く、なかなかおもしろい魂だ。





 彼に、死んだという事実を伝えた。意外にも、すんなりと受け入れたようだ。だが、生きることに、未練があるようにも見えた。



  そこでわたしは思い付いた。そうだ、彼にはわたしの代わりに生きてもらおう、と。わたしには休息が必要なようだし、ちょうどいい。

  だけど、そのためにはこの世界で生きる目的を示した方がいいかもしれない。



  彼の責任感の強い性格を利用することになってしまうようで悪いけど、ここは、ひと芝居打つことにしよう。


  


  


  どうやら上手くいったようだ。嘘を一つついてしまったが、まあそれは、目覚めたときにでも謝っておけば、大丈夫だろう。

  わたしの身体は転生直後で弱っているから、無茶をしないか心配だ。一応知識と一緒に思念を送っておいたが、大丈夫だろうか。


  






  まあ、上手くやってくれることを願おう。


  











  そうして、わたしは眠りに就いた。


  


  



こんばんは

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