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プロローグ 君を探して

作者: ツリー

以前(と言ってもだいぶ前ですが)活報で予告していた一次創作の恋愛モノのプロローグです。


本編として始めるのがいつかは分かりませんが軽く目を通していただければ幸いです。


因みに今回はまだ細かい設定等を決めていないので固有名詞は一切出てきていませんがご了承ください。

「またここに来たのか・・・」


誰もいない神社の裏で一人呟く。何時も辛い事、悲しい事、ショッキングな出来事があった時はこの場所に来ていた。此処に来ると何故か僕は癒されるのだ。ススキや小さな森林、そして計算し尽くされたかのような心地良く拭くそよ風。元々神社といえば普通は静かな所だから何処だってそういうものじゃないかとか言う人もいるかもしれない。


でも違う。今日はその為に来たんじゃない。


心を一振するつもりで来たんだ。


高一の冬、僕は一人の女の子に恋をした。体験談を話すものとしては凄く在りがちなものかもしれないが、事実その通りだったのだ。彼女とは中学の3年間、同じ学校だったが高校の時離れ離れになってしまった。僕は共学の所を選択したが、彼女は女子高を選択したのだ。それはそれで問題なかった。僕は彼女の意志を尊重したかったし離れ離れと言っても地図的にそんなに遠距離という訳ではなく帰り道で会おうと思えば会えるくらいのものだったから。実際、彼女とは一緒に映画を見に行ったり本を買いに行ったりして共通の時間を過ごしたこともある。冗談を言ったり時々笑ったり、何だか誰でも体験しそうな当たり前すぎる些細なことかもしれないけれど、そんな当たり前すぎることを彼女と一緒に体験してとても幸せだった。


でも、それも永遠ではなかった。彼女と一緒にいた時間、付き合った・・・・・ではなく一緒にいたと実感できた時間はおよそ1年。それが長かったのか短かったのかは正直分からない。どちらにせよ、終わりという名の始まりは突然やってきたのだ。良く歌詞とかでも探せばありそうなフレーズだが、まさに『終わらせるのは一瞬で十分』だったのだ。


二人で順調にトロッコにでも乗っていた様な気分だった。時には少し浮かれもしたし、スキンシップとかもしたりした。


彼女の声は透き通ったソプラノ。音楽の時間が大好きで部活はコーラス部だった。合唱コンクールに参加して優勝した時の彼女の笑顔は何時にも増して輝いていた。


そんな思い出だけが今でも残っている。もう今の僕の隣に彼女はいない。


12月の年も終わりかけているある日、学校から帰る途中で携帯のメールで呼び出された。指定された場所の公園で待っていると彼女が入り口で入ろうか入らざろうか迷っているのが見えた。埒があかなそうだったので僕の方から近付いてみた。


「やぁ」


「っ!・・・」


そこにいた彼女は僕の知らない表情をしていた。彼女の悩んだりしている様な表情や泣き顔は何度か見た事があったがソレとも全く別物だった。


「ど、どうしたの?」


「・・・・・」


俯いたまま何も言わない。


こちらから近づこうとすると一歩下がった。向こう側に壁があり、距離もそれほどない。このままだと物凄く誤解されそうなのでそれ以上は進まない。否、進めなかった。


「うっ・・・うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・」


とうとう顔を両手で覆って泣き出してしまった。事情が呑み込めない僕はどうしていいか分からなかった。


「ど、どうして泣いて・・・一体何があったの?」


ポケットに入れていたハンカチ(一応洗っていて清潔)を持って拭いてあげようとしたら、


「ダメ!来ちゃダメ!」


まるで弾かれたかのような衝撃が全身を走った。此処まで拒絶された事は今までなかった。


「う・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」


そのままその場を走って行ってしまった。


「あっ、ちょっと!」





時計を見ると6時半を回っていた。携帯で図書館で勉強しているから遅くなると打って送信した。元々、放課後に図書館に籠る事も少なくなかったのでよくこの手を使って遊びに行ったりする事もあったが今はそんな楽観的な事を言っている場合ではない。





「一体何処に・・・」


それからあちこちを探しまわったものの、その姿どころか街灯に影も映らない。携帯にもかけてみたが電源を切っているせいか繋がらない。まぁあの様子なら電源を入れているとしても無視しているだろう。


コンビニ、スーパー、行きつけの本屋等、心当たりのある場所を一通り探してみたがやはり見つからなかった。


夢中になっていたので時間を気にしていなかったがふと携帯を開くと既に20時をまわっていた。言い訳は後1時間位なら突き通す事も出来るがそこまでがタイムリミットだ。駅前のお菓子屋のアルバイトの人や八百屋のおじさんにも聞いてみたが姿を見ていないらしい。御両親には・・・確認していないが何となくする気が引けた。実に勝手な憶測ではあるがもしかすれば家庭の事情で何かがないとも限らないしそれであの場に僕を呼び出したものの、打ち明ける決心が付かずにいたのかもしれない。余計なお節介だとかお人好しだとか言う人もいるかもしれないがそんな事は関係なかった。


思い当たる場所はあと一箇所しかなかった。そこにいなければ警察に捜索願を出すつもりだった。


この選択が正しかったのかどうかは今でも疑問に思う事がある。

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