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宿泊研修まであと少し2

「お世辞なんかじゃないよ!僕がそう思ったんだから、もっと自信を持ってよ!」


 そう、自信満々に言った沙紀の顔は真剣そのものだった。いつも見せている優しい雰囲気は今はなく、少し目に涙を浮かべている。


「沙紀……?」

「スオーはカッコいいよ!みんなが委員長をやらないってなっちゃた時、やりますって言ったんだから」

「いや、でもあれは先生にやれって言われたからで……」


 あの件については全くぼくはえらくもないしカッコよくもない。ただ先生にやれって言われたからやったにすぎない。小学校の時となにも変わっていないじゃないか。


「ううん、確かに先生は『やってみないか?』って声は掛けたけど、スオーはちゃんとそれに応えた、『やります』って。フツー、いきなりのアクシデントとか起こったら軽くパニックとかになっちゃうのにはっきりと『やります』って答えた。ちゃんと応答が出来たんだよ?先生と言えど、まだゼンゼン知らない人から頼まれたことを素直に引き受けるのはすごく難しいことのはずだよ?」


 沙紀はひと区切りつけた。ピンっと張られた糸のように真っ直ぐとぼくの瞳に視線を送る。ぼくは恥ずかしくなって視線をそらした。


「分かる?笹神沙紀はこんなにもスオー、周防涼白のことが好きなんだよ?」

「………」


 え?

 おかしいな聞き間違えたのかな、今沙紀の口から『好き』って単語がよどみない小川のようにさらりとこぼれた気がしたのだけれど……

 きっとあれだ、ぼくの都合のいい幻聴だろう。そうだよ、ヘンに意識して逆になんでもなかったらとんだオマヌケさんだよ。

 そむけた視線を戻すと、ほほを紅く染めている沙紀がそこにいた。

 あ、れ?どういうことだろう……?


「ちょっとお花をつんできます!」


 そう言いながら早足で教室から退散する沙紀。

 待て待て待て待て!今逃げ出してしまうと、なんだ、告白された気がして止まないんだけど……状況を整理しよう。

 先生に委員長を頼まれる→ ぼくが委員長になる→ 沙紀がぼくのことを好きになる→ 今にいたる……とんだ3流映画の内容だな。もうちょっと面白い内容にできるものがあるだろう。

 結論、さっきのは聞き間違いだな。それにぼくは小説家や脚本家とは遠い存在だということが分った。

 期待した分、現実と妄想の落差が身に浸みるぜ……

ちょっと修正。

友達からの指摘。トンクス!

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