第8話 ロックの大逆転劇 ~狼は月に吠え、石を食らう~
『部分石化』
ロックは右腕を石に変え、拳でエルクの家の窓を一瞬で吹き飛ばした。
「ロック!」
「念のため、外から見張っておいてよかったぜ。」
ロックは家に入り、狼へと姿を変えたエルクを見た。
「醜いな」
エルクの歯は牙に変化し、毛は全身を覆い、家中を獣の匂いで満たしていた。
「さぁて、今回はようやく俺の出番だな。」
ロックはそういうと、狼と化したエルクを指を振り挑発し始めた。
「ウ、ウォーン」
エルクは吠え、ロックにとびかかり、噛みつこうとする。
「甘いな」
そういうと、ロックは右腕をエルクに噛みつかせた。
「奥まで食いついたな。」
ロックは自身の右腕が、ちゃんと噛まれているかを確認し、左手でエルクの上顎と下顎を固定、前蹴りでエルクの首を蹴ると同時に腕を自分の方向向けて引き抜いた。
バキバキバキ
エルクは吹き飛ばされると同時に、牙が何十本と折れていった。
「へっ、これで、もう人は食えねぇ。」
ロックは牙が折れた痛さで倒れこんだエルクを見下ろしながら、不敵に笑った。
「ウ、ウ、ウ、ウォー」
エルクは諦めず、ロックに襲い掛かろうとした。
「どうしようもねぇな。」
そういうと、ロックは右腕を思いっきり振り、右の拳で彼の顔面に思いっきり殴った。
バキバキ
エルクの残っていたすべての牙が折れ、彼はその場に倒れこんだ。
「勝った?」
アリスはテーブルの隅からひょっこり顔を出した。
「いや、まだだ。牙を折ったとはいえ、まだ危険なことには違いない。」
ロックはそういうと、とどめを刺そうとエルクに近づく。
「すまねぇな。」
ロックは右腕を振りかぶり、彼の顔面目掛けて拳を振り下ろす。
「ウ、ウォーー」
エルクの青い目が一瞬キラリと光り、ロックの一撃を躱す。
「ウグルァー」
そして、その隙を逃さず、エルクはその巨大な口で、ロックを一気に丸呑みにした。
「ロ、ロック・・・。噓でしょ。」
アリスはあまりの出来事に腰を抜かす。そして、エルクはアリスに狙いを定め、飛びかかろうとした。
しかし、
『全体石化』
エルクの腹からロックの叫び声が響いた瞬間、とんでいたエルクの体が急に地面に叩きつけられた。
「ガ、ガ、ウ、ガガ」
エルクは腹を抑えながら、うつ伏せに倒れた。
「そうか、腹の中に入って石化をすれば、その重みで行動不能にできる。それを見越して、あえて、歯を
先に折って丸呑みさせるように誘導したのか。うわぁ、ロックもなかなかクレイジーなことするね。」
そういうと、アリスは町のハンターを呼び、腹から、石化したロックを取り出してもらった。
「ねぇちゃん、人狼を捕まえてくれたのはありがたいけどよ、その石像がどうかしたのか?」
アリスはハンターの質問を無視して、石造の襟の裏に隠されていた金の針を思いっきり石像に刺した。
「おい、何やってんだ!」
石像は金の針を刺した瞬間、石化が解け、ロックが動き出した。
「ロック!」
アリスはロックに抱き着いた。
「せ、石像が人間に!」
ハンターたちは、いっせいに腰を抜かす。
「お、お前、石化病だな。今すぐ出ていけ。」
「アリス、早くここから出るぞ。俺たちの目的はもう済んだ。後はギルドに報告するだけだ。」
そういって、ロックはアリスに肩を貸してもらいながら、家を出た。
外は暗く、上を見ると、田舎特有の満点の星空が広がっていた。
「ねぇ、なんであんな無茶なことをしたの?」
アリスはロックに質問した。
「なんでって、そりゃ、あれだ、できるだけお前に危害が出ないように戦いたかったし・・・」
ロックは少し言い淀んでから、口を開いた。
「お前なら、石化を解いてくれるって、信じていたからな。」
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