第15話 不死身の少年、決死の逆転~10カウント~
「グガァ」
キングはバリケードの棘を体から引き抜き、足をふらつかせた。
「おぉっと、これは勝負あり、かなぁ。」
アリスは鼻につくような声色と動きでキングを煽る。
「おい、実況、黙ってろ。」
「そうだ、そうだ」
バキン
ロックは手元にあった、拡声用の魔導具をのせたスタンドをへし折った。
観客たちは一気に静まり返る。
「外野は黙って観てな。」
そういうと、ロックは不敵な笑みを浮かべた。
一方、ニルは燃える刀身を振り回していた。
「何してんだ、アイツ?」
キングはかいた汗をぬぐい、自身の体に起こった違和感に気づいた。
(揺れる視界、吐き気、頭痛、それにいつもと比較して、少ない発汗)
「これは、まさか、ま・・さか・・」
キングは倒れる。
「1、2、3、4、5・・・」
審判がカウントを始めた。
「6、7、8、9・・・」
「10!」
観客たちは魂が抜けたように、茫然と立ち尽くしていた。
「最後に勝ったのは、なんと、意外、ニル選手だー」
アリスはガッツポーズをとった。
「ふざけるな!こんなの認めねぇぞ。」
「おい、キング、お前に何万賭けたと思ってんだ。」
「どうなってんだ。なんで、あんなガキにキングが負けたんだ。」
観客の混乱はピークに達した。
「さぁて、ネタ晴らしの時間だね。ロック」
「あぁ、アリス、いっちょ、かましてやれ。」
アリスは拡声用の魔導具を手に取ると、会場中のどよめきをかき消した。
「キングが倒れた原因、それは熱中症よ。この会場は、観客の熱気が選手に直に伝わる、また、リングは岩でできていることから、魔光虫による、ライトの照り返しも相当なもの、そして、ニルの燃える刀身、
これらの要素が作用して、リング上は熱した鉄板のような状態になっているの。」
アリスは淡々と解説を始めた。
「そして、私達の狙いはリングの中だけじゃない・・・。」
そういうと、アリスはパチンと指を鳴らした。
「ウォー」
会場に一斉にギルド所属のパーティ達が押し寄せた。
「ギルドの許可なく営業する、違法賭博の現場を押さえること。それが、私達のもう一つの目的。」
会場にいた観客達は凄まじい勢いで拘束されていく。
「おい、アリスこの状況をどう言うか知っているか?」
「・・・『ざまぁ』って言うんだよね。」
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