第13話 不死身の少年、痛みに耐える ~9カウント~
「おい、チャンスをやるよ。」
キングはガードを下した。
「ナンノ、マネダ。」
ニルは警戒し、ガードを固める。
「一発だ。一発だけ、ノーガードの俺に攻撃させてやる。出血大サービスだ。」
「ホントウニ、シュッケツ、スルゾ。」
「ふーん、そうかい。最近は、対戦相手の血しか、見てなかったんでな。それは、楽しみだぜ。」
キングは鼻で笑った。
「トリャ」
ニルは拳に全体重を乗せる勢いで、キングに渾身の一撃を放った。
ぺちっ
ニルの正拳突きによる攻撃は、血なまぐさい闘技場にふさわしくない、可愛らしい音を立て、不発に終わった。
「今のが本気か?」
キングは顔を真っ赤にし、ビキビキと音を立て、血管を浮き出していた。
「本気のお手本を見せてやるよ。」
キングは、軽くニルを上に蹴り飛ばし、落下のタイミングに合わせて、正拳突きを繰り出し、ニルをバリケードまで吹き飛ばした。
「グハッ」
バリケードは鉄条網でできており、ニルの体に細かい鉄の棘が食い込んだ。
「おい、死んだんじゃねぇか。あいつ」
「えー、もう死んだのか。」
「だっさ、もうちょっと粘れよ。」
観客は好き勝手に罵声を浴びせた。
「マ、マダ、ボク、シンデナイ!」
ニルは叫んだ。
「キング、手加減すんなって、言ったよな。」
「はぁー、死んどけよ。」
生きていても、死んでいても、観客は罵声を浴びせ続ける。その狂気に、ニルは得体の知れない恐怖を感じた。
「何を、よそ見している」
キングはニルの頭を掴み、今度は、リングに叩きつけた。
リングに土煙が舞う。
「1、2、3、4、・・・」
バリケードの外にいた審判がカウントを始める。
「終わりだな。」
キングはニルに背を向けた。
「5、6、7、8、・・・」
「9!」
9カウントまで審判が数えたところで、土煙の中から、ニルが立ったまま現れた。
「なっ!」
キングは振り返り、ボロボロのニルを見た。
「タフだな。」
ニルは着ているおんぼろのコートの下から、刀身を出していた。
「なるほど、これからが本当の本気って訳か。」
キングは、ようやく笑顔を見せた。
ニルはつぶやく。
「ファイロ」
それは、彼の口にした、炎を発生させる呪文で、ニルの刀身が真っ赤に燃える。
「モエテキタ。」
ニルはニヤリと笑った。
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