第12話 新メンバーは不死身の少年! ~三人寄れば二人分の知恵と力~
「ボク、ナマエ、ニル、ヨロシク」
ニルはミリナにお辞儀をした。
「こ、この子が新しくパーティに入るの?」
ミリナは怪訝な表情を浮かべる。
「ダイジョウブダ、ボク、ツヨイ」
ニルは胸を張った。
「じゃぁ、早速クエスト入ってきてるから、ロック君たちと一緒に行ってきてもらうけどいい?」
「マカセロ。」
ニルは得意げに笑った。
「っで、今度はどこに行くクエストなんだ?」
ロックが気だるげに質問した。
「フッフッフッ、ヒントは、ロックさんの好きそうなところよ。」
地下闘技場、血、汗、涙、そのすべてがここで流れた。
魔光虫の群れがスポットライトのように中央の岩でできたリングを照らす。
「さぁ、大変長らくお待たせいたしました。第四百七十二回ルール無用アングラデスマッチ、開幕です。」
実況の熱い開幕宣言とともに、熱気に包まれた地下闘技場は地面を揺るがすほどの盛り上がりを見せる。
「選手の入場です。赤コーナ。立てば筋肉、座れば筋肉、歩く姿はやっぱり筋肉。無敗の王者、マッスラー・キングッ!」
筋骨隆々の擬人化のような上裸の男が、リングに上がり、ポーズをとると、会場の熱気は最高潮に達した。
「対する、青コーナ。口調片言、一見ひょろひょろ、包帯に隠す素顔は何者?謎の少年、ニルッ!」
「がんばれー。ファイトー」
選手関係者専用の観客席にいるアリスはリングに上がるニルに声援を送った。しかし、会場はアリスの声援をかき消すようにざわつき始めた。
「なんだぁ、迷子か?」
「おい、キング。子供相手だからって、手加減すんじゃねぇぞ。」
「あんなチビ、ぶちのめせ。」
「おい、アリス、やっぱり、俺が出た方がよかったんじゃねぇか?」
ロックは、ほかの観客の声に紛れて、隣に座っているアリスに耳打ちした。
「いいえ、このデスマッチの敗北条件は死亡、十秒以内に立ち上がれない状態にあるとき、降参のいずれか。今回の戦い、ニル君の言っていた不死身が本物なら、死亡による負け筋は消えることになる。」
アリスは膝に肘を置き、前かがみになって、リングを見つめた。
「でもよ、このデスマッチって、確か何でもありだったよな。どうするよ、不死身の人間を殺す剣を持ってくる奴だったらさ。」
ロックは売店で買ったマッスラー・キングの人形をいじっていた。
「そこで、やられないためにロックと私で、本番の動きをしっかりニル君に叩きこんであげたでしょ。大丈夫、ロックが一番わかっているはずだよ。だって・・・。」
「ロック、最初に戦った時、負けてたじゃん。」
アリスは口元を抑え、笑った。
「うるせぇ、あれは、その、まぐれだ。」
ロックは不貞腐れて、腕を組んだまま、椅子に思いっきりもたれかかった。
リングに上がったニルとキングの身長差は二倍近くあり、観客はアリとゾウが戦い、アリが勝つ方が、ニルがキングに勝つよりも、勝率は高いように感じた。
「おい、ガキ、ここはてめぇの遊び場じゃねぇ。帰りな。」
キングは大げさに指をポキポキと鳴らした。
「ミテクレノ、キンニクジャ、オレニ、カテナイ」
ニルはアリスに事前に聞かされていた、セリフを吐いた。
「フンッ、その生意気な口、二度と開けなくしてやる。」
カーン
ゴングが鳴り、リングを囲うようにしてバリケードが下りた。
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