18、終結
「なんだよ!!この虚しさは!!なんなんだ・・・」尻つぼみに叫び、吠え、涙する。
「違う」柑奈が、はっきりと言う。
「あの人たちは、私たちのために命を投げ出してくれた・・・だから私たちは、ここから脱出して、生き残る」
やることは、部屋のドアを蹴破ること。
そして集まっていたムカデたちをすり抜け、上へと逃げださなければならない。
「行こう」そう言い、歩き出したとたん、眞希は倒れた。ふくらはぎの出血がひどい。と言うか・・・骨が見えている。
「眞希君・・・その傷・・・!!」
どうやら、生きて帰ることは無理のようだ。
「柑奈・・・お前は上へ行け」
「嫌だよ!!何言ってるの急に!!一緒に脱出するよ!!」
「俺が一緒に行ったんじゃ、絶対にお前も死ぬ俺が気を引くから、その間にお前は上へ行くんだ、いいな」
「嫌!!」
「時間がない・・・」事実、本当に時間がなかった。意識が遠のいていく。
「行け!!」ドアを開けると、金槌で床を叩く。ムカデが集まってくる。
その隙に、柑奈がでていったのを眞希は理解した。
見えるのは、無数の足。どうやら本当に終わりらしい。駆け降りるのにかかった時間はおよそ六〇秒。一〇〇秒したら、このスイッチを押そう。
最後の力を振り絞って、スイッチに手を伸ばす。
柑奈が外へ出た。
次の瞬間、ビルが地中に飲み込まれるように崩れていった。その時、柑奈の耳に、声が聞こえた気がした
―さよなら、と。