17、壮絶
谷さん!拳銃片方!!」谷が片方を投げる。そして、彼も怒りを爆発させた。
谷は草津に、眞希はこの広い部屋の入口へ向かった。
リロードするまでもなく、草津の頭に拳銃が突き付けられた。無言で。
「殺せば?」静かに草津が問う。
「できるものならな・・・!!」憎しみのこもった谷の声。
眞希は、扉の前で仁王立ちしていた。両手で、拳銃を構えて。足が動かなくなってきている。
彼は驚くべき腕前を見せ、一発、二発と迫りくる鉄パイプを持った人型の者らを倒していった。だが、弾がない。
悪あがきに、拳銃を投げつける。一匹が不思議と倒れた。暴発したらしい。
その時、部屋の中で、二度銃声がした。
「!!!」眞希は我に返り、部屋へと戻る。
谷と草津が、ともに腹を押さえてうずくまっていた。血が流れている。
「クソ・・・」二人ともまだ意識があるようだ。谷のもとへ駆け寄る。
「おぅ・・・眞希君・・・僕もうだめだわ・・・」息も絶え絶えだが、不思議と達成感にあふれていた。
「ここに来た時から、命はないものだと思ってた・・・予想通りになったけど・・・」
そう言われ、ケータイを渡された。
「竜宮に伝えてくれ、ちゃんと、すべてを」
最後の谷悠人のメッセージを、眞希はしっかりと受け取った。
「随分・・・かっこいい終わり方じゃないか・・・まぁ、死ぬけれど」最後まで格好をつけて、谷は木更津と合流するつもりなのか。
「谷さん・・・谷さん!!!」
「谷さん・・・」柑奈も谷のもとへ寄ってきて、涙を流している。
「泣くなって・・・カッコ悪いから・・・」
最後に思いっきりカッコつけて、彼は逝った。
「残念・・・ギリギリで邪魔されるなんて・・・でも、これでいいのかもしれない・・・」一人、草津がつぶやく。
「草津・・・さん・・・!!」
敵でも、友の仇でもやはり恋した人だった。
だが、最期の一言は、それはそれは彼女らしいものだった。
「自爆スイッチ・・・ここにあるから・・・ムカデは集まってる・・・しっかりね」
「ふざけんな!!何で今俺に頼むんだよ!!謝れ!!謝れよ!!」半狂乱で叫ぶ眞希を、柑奈が止める。
そこまで言い、目の光が弱まる
「頼んだ・・・よ」
連続して、今度は草津が事切れた。