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Death of the Academia 〜十二人の生徒達が紡ぎ世界を巡る英雄譚〜  作者: 鈴夜たね
あの日の真実と、青年を助けた英雄編
99/115

Curse Walker: Dialogue and Farewell (カース・ウォーカー:ダイアログ・アンド・フェアウェル)〈前編〉

十二人の生徒が命を賭けて挑むデスゲーム×学園ストーリー


I組第二授業から、ずっと離れて戦っていた外部の冒険者達と、記憶持ちの生徒達。


そしてようやく語られる——彼等と別れた後、どんな激戦を繰り広げていたのか……


そして、ネリカが助かり記憶持ちに参加した真相も明らかに——


《Death of the Academia》をお楽しみください

「これが、僕達の戦いの全貌だ」


話せることは、全て話した。

正直、ティオルと戦ったのも――一日で終わったのか、それとも何週間も眠らず続いたのか。


僕の中で、時系列はすっかり曖昧になっていた。


「じゃあ、砕けた結晶を一つにして、死ぬ前にネリカさんに届けた……?」


「そうだね……光輪と属性魔力の結晶を、残された最後の力で……託したんだと思う」


異空間として作り出した僕の結界を、彼は何事もなかったように結晶を送った。


……でも複製する時間なんてどこにあったのだろう。

本当に、神の領域へ足を踏み入れていたのかもしれない。


そして、リゼルドが話し終えた時――治療後に眠っていたネリカの瞼が微かに持ち上がり、ぼんやりとした目で起き上がった。


「ネリカさん、起きたんすね。体の具合は大丈夫っすか?」


まだ意識がはっきりしないのか、リオライズの呼びかけに反応がない。

その時ネリカは、うわごとを口にする。


「あの人、アーサーっていうのか。お礼………言わなくちゃ」


降りてくる瞼を必死に開き、手で目を拭う。

大きなあくびをして、やっと夢から覚め始めてきたようだった。


「おはようリオライズ。体は大丈夫になってきた……それよりも、不思議な夢を見てたよ」


「どんな夢です?」


天井を見上げたまま、ネリカは記憶を辿るように夢の内容を語った。


「僕を助けてくれた恩人のアーサーさんが、『君達の活動は、間違ってないよ』って。――『これからも、前に進んで戦い続けてね』って」


アーサーが死んだことを知らないネリカの瞳は、嬉しそうに輝いていた。

——だが今死んだと告げるのも、今後の戦いに支障をきたしかねない。


その時――恩人の親友リゼルドと、親友が助けた青年ネリカの視線が合った。

一瞬にして空間が凍りつき、長い沈黙の中に張り詰めた緊張が走る。



「もしかして、アーサー様の仲間……ですか」


「そうだね。あ……でも、アーサーは長旅で疲れてて。しばらく学園には顔を見せれないかも」


動揺を隠しきれず、リゼルドは余計な言葉まで口にしてしまった。

その返答に、ネリカは沈んだ表情を見せた。

だがすぐに顔を上げ、伝言を託すように頼み込む。


「分かりました。じゃあ、元気になったら連れてきてくれますか? 借りた属性魔力を返して、直接お礼を言いたいので――」


その真っ直ぐな言葉は、リゼルドの心を容赦なく抉った。

だが責めることはできない。

彼は息を整え、静かに約束を交わす。


「約束する。帰ったら本人に伝えておくね」

最後まで読んで頂きありがとうございます!

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