表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/80

Death Game: Heart Unsealed(デスゲーム:ハート・アンシールド)

十二人の生徒が、命を賭けて挑むデスゲーム×学園ストーリー

土、火、水、風の四属性をメインに、街に群がるモンスター達を討伐し授業をクリアして自身の評価を上げていけ!

生き残るのは真の才能がある人間のみ

誰が生きて誰が死ぬのか完全オリジナル作品

《Death of the Academia》をお楽しみください

アラリックの失言により夕食の時間で寮に強制送還されたI組生徒六人……その中で下位三名だった彼等は、第一授業の内容を振り返り、同族の言葉を受けてラストチャンスに揺らぐ者もいた——


ヴェイルは、ソニントに喝を入れた後、自室のベッドに倒れ込んだ。ふと目を閉じると脳裏に蘇るのは第一授業アズローラにて——


ようやく、実戦の時がやってきた。

グランが開いたポータルを潜った俺達は、それぞれがモンスターの巣食うエリアに飛ばされた。

シークレットチャレンジに挑む資格を得るため。そして自分の存在価値を証明するために——


「マジか…情報じゃ魔獣じゃないのは1匹だけって、、」


「キィィ…ッギギギギギィ…!」


視界に最初に入って来たのは、現実離れした大きな緑色の体に、赤く光る鋭い瞳のカマキリ


「シャァァァァァッ!」


甲高い咆哮が耳を劈いた。体制を立て直す時間もなく大きなか鎌が振りかぶり、ヴェイルは反射的に回避した。

運が良かったのか、入学時に選んだローブが代わりに引き裂かれて、ヴェイル自身は命拾いをした。


「——ちょっと焦ったけどもう大丈夫だ。綺麗に燃やしてやるから大人しくしとけよ」


汗ばんだ手で剣を抜き今度はヴェイルから攻撃を仕掛ける。


「はぁぁぁぁ!」


鋭い鎌と剣が交わり再び甲高い音が鼓膜を襲う。それでもヴェイルは諦めず押し切り、一回目の火焔攻撃を成功させた。


「シャァァァァァ…」


剣から放たれる火焔の玉が、カマキリを包み込み一瞬で焼け焦げた色に変化する。しかし殻がバリバリと剥がれ落ち一瞬で元の色に戻った


「脱皮かよ。厄介だが、無限で出来る訳じゃ無いだろうし必ず倒してみせる——!」


結局その後、カマキリ特有の同色攻撃を受けて足を思いっきり斬られたり、不意を突かれて首を落とされそうになったり、あいつに大口叩いてたけど俺は弱かった……


自分の対象と、アラリックの対象の難易度が同じだったのかは分からないけど、あの第一授業で負けた事に変わりない……

カマキリのモンスターが、脱皮の上限を超えてようやく大鎌を一本落とした時には、シークレットチャレンジはあいつに取られてた。今はもっと強さが欲しい——



ストリクスは強制送還後、第一授業の内容を思い出していた——


各エリアに転送された後、自分のエリアでは禍々しい黒陣が現れて召喚されたのは、誰でも存在を知っているであろうケルベロスだった。


「こいつも俺と同じ無属性…?」


ストリクスが考えていると、ケルベロスは呼応するかのように、中央の首が天を仰ぐと、目では追えないスピードで闇の稲妻が目の前で落ちた。

ストリクスは動揺しながらも敵の属性が闇である事を認識して、剣を持ち直した。


「闇か……でも弱点は分かっている。それぞれの、頭に首飾りがかかっている……! それを破壊すれば必ず」


パープル色に輝く、小さな首飾りがストリクスにはしっかりと見えていた。


それに例え、相手に属性があったとしても、強い奴なら無属性でも何とかして勝つ方法を見出す筈!

ここで自分の色がはっきりしてなくても、最大限やれる事をやるだけだ!


ストリクスは剣を構えると、一直線に地を蹴った。

最初に狙うは中央の頭にかけられた、紫色の首飾り——

ケルベロスもすぐに反応して、長く伸びた三つの首が絡むようにうねり、大きな口を開けて捕食しようとしたが、上手く回避したストリクスは背中に乗って、首ごと首飾りを落とそうとしたその瞬間——


「——ッ!」


右の頭が反射的に振り返り、黒紫の閃光が稲妻の様にストリクスめがけて放たれた。驚いたストリクスは姿勢を崩して背中から転落した。


「いっ……たいけど、まだ戦える……」


しかし次に目を開けた時、その気持ちは一瞬で打ち砕かれる程の恐怖が広がった——

落ちた目線の先には、じっとストリクスを見つめてゆっくりと向かってくるケルベロスの姿だった。


心臓の鼓動が速くなり、全身は震えて立つ事すら出来なかった。

それでも自分に”逃げろ……!回避してもう一度”と言い聞かせる。

呼吸が乱れる中、ケルベロスが前脚を出して大きな口を開いて再びストリクスに襲いかかる——


ガラスのような何かが割れる音がした——

ストリクスはギリギリの所で剣を振って回避した。

ようやく我に返った彼は、大きく深呼吸して息を整える。


そして恐る恐るケルベロスを見ると最初に出てきた時よりも一回り小さくなっており、よく見ると中央の頭の首飾りが消えていた。


「……上手く行ったのか……何かで視線を逸らせればもしかしたら勝てる…かもしれない——」


勝つ方法は分かった僕は、ケルベロスの攻撃をかわして、壊れた地面の破片など、上手く活用して倒してみせた。

勿論結果は全然駄目だったけど、無属性なりの戦い方ともっと強くなっていつか自分に色がついてる日を夢見て——




「“お前の言葉がそう言ってもお前の目はそれを否定しているから”」


「”そのままだよ。お前の中にもまだ火は残ってる……たとえ脱落が運命でも……最後だけは、せめて自分らしく終わりたいって思ってるはずだ……!”」


ふと、ソニントはヴェイルに言われた言葉を思い返して、揺らぐ心が何なのかを自問自答していた——


「自分は何も思ってない……この学園に来たのだって親が俺に向ける過大評価で入っただけで、全然自分の意思じゃなかった。ここで脱落ならそれでいい…….——でも第一授業の自分の弱さには絶望した……」


ソニント単独陣営にて第一授業の記憶を掘り起こす——


俺の対象はアズローラの長老から聞いた狼の魔獣を相手にする事になった。全く気にも乗らないのに渋々剣を抜いて初撃を仕掛ける。


「ガルルルッ…」


「やっぱり攻撃出来ても傷を作れない……か」


理解はしていた……俺の剣は入学前に適当に作った精神攻撃の剣で、実体に傷は入らず、相手の精神内で攻撃が通った時のみ。


次の瞬間——

咆哮が空気を裂き、全身を貫くような衝撃が走った。

ソニントの体は浮き地に叩きつけられ痺れと脱力が同時に襲った。


「……お前の方が使えてんじゃん。精神攻撃ってやつ…」


「アオォォォォン……」


響いた遠吠えと共にその身がぶくりと脈打つ。

次の瞬間、一体だった魔獣の体から小さな影が、幾つも蠢くように分裂した。

子分の狼達は飢えた目をギラつかせ、ソニントを見つめながら涎を垂らしていた


「お前達が終わらせてくれるのか……?」


応える様に飢えた狼の子分達がが一斉に飛びかかる。

肩に足に鋭い牙が刺さり肉が裂ける感触と共に視界も揺れ始めていた。その時だった——

空から、鋭く光を裂く斬撃が落ちた。そして目の前にいたはずの狼達は塵のようにかき消えていた。


「後少しだったのに……誰が助けなんて——」


ふっと見上げると、冷たい視線で見下ろすグランが立っていた。


「実戦前に言ったはずだ……この授業では死人も出さないし危なくなれば俺が入ると」


「なんだ。あんたか……それで、どうすんだよ」


「ソニント・シープ。貴様は第一授業は失格とする……もしもまだチャンスが欲しければ、最下位王争い(キング・オブ・ザ・ウィーク)で再び結果を残せ。それ以外に貴様がこの学園に残る意味はない」


段々と見放されていく感じに絶望するソニント。そして振り返る事もせずそのまま去っていくグラン……

この時彼には”悔しい”とか”怒り”でもなく、”このまま終わりたくない”という気持ちが少しだけ芽生えていた。


記憶はヴェイルとの会話に戻りソニントはベッドに横たわって再び思い出す


「”たとえ脱落が運命でも…最後だけは、せめて自分らしく終わりたいって思ってるはずだ……!”」


あぁそうだ……一回くらいは本気で頑張っても良いって思ったし、一度くらいなら本気で試してみたい……!


涙が頬を伝う——初めての感情に気付いた感動なのか、悔しさなのか分からないが、そのまま彼は眠りについた——


【早朝五時】

ソニントは朝日の光で目が覚めた。早速制服に着替えて寮部屋を出る。そして担当属性の職員室らしきものを見つけて、勇気を振り絞ってノックをした。


「どうぞ」


「し、失礼します!」


「ソニントさん……こんな朝早くにどうしたのですか?」


「あ、あのグラン先生はいらっしゃいますでしょうか」


「あの人は、現在就寝中ですが急ぎの用事ですか?」


「そうです!どうしても話しておきたい事があって——」


数分後、寝起きとは思えない程の速さと、クオリティで、フラーナに連れられたグランが職員室へ入ってきた。


「おっはよー!あれ今日の客人はソニントか……珍しい日もあるもんだね〜」


「グラン先生、あの後第一授業で受けた先生の言葉や強制送還後のヴェエイルの言葉でよく考えました。特別試験(キング・オブ・ザ・ウィーク)を受けますだから再審査して俺をもう一度見てください!」


頭を深々と下げて懇願する。まだ期間は残ってる……あれだけ白い目で見られても試験を受けたい……!


「分かった……貴様のそれは同意と受け取る事にする」


「では……!」


「あぁ、既定の起床時間になったらフラーナに2人へ連絡を入れて貰う」


「かしこまりました」


「しかしあれほど、マイペースで自分の人生に疲れていた貴様が何故急に? 言葉で動いたと言えど、他に理由があるだろう」


「そうですね……変かもしれませんけど仮に脱落する未来が変わらなかったとしても、この学園で生きた証を残したいと思ったからでしょうか」


「ハハハハハッ!」


「や、やはり変でしょうか?」


「いや実にお前らしい回答で何よりだ。次の特別試験(キング・オブ・ザ・ウィーク)期待している」


「はい!——」


こうして初めての熱に目覚めたソニント。同意という言葉を聞いて安堵のため息をつくヴェイルと、ストリクス。

そして遂に脱落者確定の生き残りを賭けた特別試験(キング・オブ・ザ・ウィーク)が幕を開ける——

次回再びバトルシーン突入です!お楽しみに

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ