Death Game: Secret Challenge(デスゲーム:シークレット・チャレンジ)
十二人の生徒が、命を賭けて挑むデスゲーム×学園ストーリー
土、火、水、風の四属性をメインに、街に群がるモンスター達を討伐し授業をクリアして自身の評価を上げていけ!
生き残るのは真の才能がある人間のみ
誰が生きて誰が死ぬのか完全オリジナル作品
《Death of the Academia》をお楽しみください
こういう試験、こういう敵は必ず弱点になる物がある……おそらく僕の授業内容は、相手の弱みを曝け出させて、如何に早く倒すかが鍵になると言った所か。
大きな前脚を連続して振り下ろしてくる犬の魔獣に対して、アラリックは冷静に分析を始めた
なるほど……僕の視線が脚に行くと衝撃痕は浅く首回りに視線を向けると深い衝撃痕に……やはり弱点は見えない首飾り。——毛並みで隠しているみたいだが行動に出過ぎている……
アラリックの中で分析が終わり、地面に足をトントン鳴らして、首元集中で地面から、土の刃をお見舞いした。しかしズブッとした鈍い感覚で手応えを全く感じず、目を見開いたアラリックが見たのは衝撃だった——
「———な……っ」
「グルルッ……」
「自分の腕を犠牲にしてまで命を守った……」
土の刃で仕留めようとした時、アラリックの攻撃と一緒に腕を持っていき首を守った。犬の魔獣はそのまま横に倒れて瀕死の状態になっていた
「大体分かった……ありがとう、さようなら」
横になっている犬の魔獣の元に魔法陣を発動させて、浅い落とし穴に悲鳴を挙げて落ちて行った。
———アラリックが最後の一撃でとどめを刺そうとした時魔獣の首元が光り突如大きな爆発が起き、アラリックのエリアは一瞬で炎に包まれた——
「ここまで来たらアラリックの一人勝ちかな〜?」
「今の爆発で死んでしまったのでは……?」
「よく見てみろ。術を巧みに使って、先程の石礫を塞いだ時のように、自分と同じサイズの盾で爆発の攻撃を防いでいる」
「無傷…!あれが、天才……」
あまりの適応の速さに感動するフラーナ。
爆発が起きる瞬間——アズローラの住民を石で隠した時のように、自分と同じ身長の強力な盾を、何枚か出していたのだった。そしてアラリックは再び分析する。
「水から火に変換する強大な爆発、風攻撃だったら、勝負がどちらに転がるかは分からなかった……」
最初に見た水色の毛並みから一変、赤黒い血の色に変わり命を繋ぐ首飾りが、不気味に赤く光り続ける。
魔獣はアラリックに最後の一撃で襲いかかるが、先に仕掛けられていた魔法陣が発動し次の瞬間、無数の土の刃が全身を貫き咆哮を挙げることなく、魔獣は灰となり微かな火花と共に散って行った。ただ静かにアラリックはその光景を見つめていた——
“お疲れ様〜アラリック。この後シークレットチャンスあるけどやる?”
灰になってから、エリアを見渡しているとグランから、連絡が入った。
「他の生徒達はどうなってますか?」
“レンリーとゼフリィーは終わりそうだね。他はもう少し掛かりそうって感じ”
「では今すぐシークレットチャンスを受けます」
“了解した”
青い髪にサファイヤの様な光り輝く瞳。
その容姿からも水属性を思わせる紳士な男だった。でもその瞳の奥で、悲しい何かを背負っている様にも見えていた。
「さぁ仕事の時間だ。マリーナの弟子とあらば、全力で任務を遂行せよ……アズレイン・ルーヴァ」
「殺すつもりで良いのか?」
「勿論だ。アラリックにもそう伝えるように——」
その頃グランは他生徒に案内を流して、アラリックがシークレットチャンスに挑む節を伝えた。
“あっあー皆さん聞こえます〜? 今からアラリック•オーレルが、シークレットチャンスに移動する事が決まりました。なので皆さんは対象を撃破したら、待機をお願いします。評価基準は実戦前に言った通りだからよろしく”
ゼフィリー単独陣営では、鳥の魔獣と対峙していた。
自分の価値と、何故I組に振り分けられたのか明確に分かった彼のエリアは、風魔法で斬り落とされた、翼や爪に鳥の魔獣は複数の火傷痕や、黒く焦げた傷もあった。
既に、鳥の魔獣は再生の術を無くし地に体を預けていた。
シークレットチャンスを取られた事を聞かされた彼は、自分の杖を見つめて小さく呟いた。
「あと少しだったのに……自分は元々火属性の一族で風属性だと思って来たのは勘違いだったんだと分かったのに……」
持っていた杖を更に強く握り締めて、戦闘力の消えた鳥の魔獣に対して最後の一撃を与えて静かに試練を終えた。
「丸焦げにした鳥の死体を見届けながら待機なんて、凄くつまらない——」
レンリー単独陣営ではアラリックと数分の差で撃破となっていた。(シークレットチャンスを受ける)という報告を聞いている間での討伐となった。
「ずるいぜアラリックさん……俺を置いて先にクリアしちゃうなんて……」
虎の魔獣を相手にしていたレンリーは、勝ったは良いものの重傷を負っての勝利だった。
相手を極限状態まで追い込んだ時、膨大な魔力の氷となった刃が腸を切り裂いた影響で、レンリーは瀕死の状態だった。
「レンリー・ノア生きているか」
「グラン先生……? 視界がぼやっとしてるけどよく見えてるし、ギリギリ生きてます……よ」
「よく頑張った。シークレットチャンスに手は届かなかったが見事だ。褒美に順位を先に教えてやろう……」
話しながら回復してくれるグランも、段々と見えなくなっていき、レンリーはそのまま意識を飛ばした。
「回復は間に合ったのですか」
「あぁ脈も正常だ。ちゃんと生きて帰ったよ」
「他三名は…」
「彼等も時期にクリアする所まで来ている。それにお楽しみはこの後だぞ?」
「相変わらず性格が悪いですね。グラン先生——」
時間はシークレットチャンス発動後に戻る。グランのポータルでアラリックのエリアにアズレインが既に到着していた。
「やっと来たか……シークレットボス」
「待たせていたのか。それよりこの炎は邪魔だろう…」
振り返ったアラリックは、まるで勝ち誇った余裕の表情で火の海の中で不気味に笑っていた。肩慣らしにすらならない程度に、周りの炎を一瞬で消してみせた。
「流石の速さです……充分貴方となら楽しめそうですね」
レイピア一振りで火の海だったエリアを元の世界に変えてみせても、動揺という感情すら持たない冷徹なアラリック。
試しにアズレインはひとつ、問いかける
「随分と余裕のある態度だが、勝算でもあるのか?」
「勿論です。貴方が来るまでに時間もありましたし、魔獣討伐後からグランの連絡が入るまでにも、時間はありました」
「しかしお前が言ってるのは属性有利の話じゃないのか?」
「それもありますが、”他にも沢山戦略を練ってきたので”安心して倒されてくださいね」
「良い度胸だ。受けて立つ」
アズレインは浄化した時に抜いたレイピアをそのまま構えて、アラリックは魔力が込められている左手を前に出して構えを取った。
静寂の中風が吹き抜けるのを合図にアズレインの素早い五連撃を繰り出した。
速い五連撃に氷の牙か……一度でも当たったら何が起こるか分からない。連撃中は隙も生まれないなら、攻撃のチャンスは次のモーションに移る時……
次の連撃のモーションに入る瞬間に、アラリックはアズレインの持っていたレイピアを素手で弾いて、氷の刃が空を切る音が耳に届く。その瞬間にバク転の様に華麗な動きで後方に飛び地に魔力を注ぎ込む。
「——まずは序の口程度に」
そう言い放つとアズレインに向かって無数の小さな岩山が、噴きあがった。
「私が貴方のレイピアを弾いた時、必ず追撃をする為に距離を詰めるはずだ。しかしその道さえ封じてしまえば多少の傷は避けられないでしょう」
その瞬間エリア全体が冷気に包まれ岩山は氷結し砕け散った。右肩には岩に掠った一撃の痕。
頭からも血が滴りアズレインの視界を赤く染めている。
「貴方のその回避法も想定内です。逆に”狙いだった”と言うべきでしょうか……」
砕けた岩の破片が物量を増し、魔力が更に膨大となる。
アラリックが指を鳴らすと石飛礫として、アズレインに更なる攻撃を与えた。
「チッ……」
「おや、逃げるのですか?残念です」
プライドを傷付けられる選択を迫られたアズレインは、舌打ちを漏らして背を向けて退避する。
しかし石飛礫は、自我を持ったように、アズレインに一斉に襲いかかり、粉塵によりエリアは白く包まれ、再び静寂が訪れる。
「なるほど、一瞬だけ自分の体を氷の中に閉じ込めて致命傷を避けたか……良い判断ですね。しかも全回復をお持ちとは」
「これは想定外だろうな……」
「えぇ……でもこの後の貴方の攻撃手段は、想定の範囲内だと思います」
余裕な表情で返答を行うアラリックに、プライドを傷付けられても、今から全てを返上する様な口ぶりを見せるアズレイン
「”大海原”」
アズレインがタイルの隙間にレイピアを突き刺すと、次の瞬間、圧倒的な水量が地を這うように襲いかかり、あっという間にアラリックの膝下を飲み込む。
「———ッ」
足元を取られかけたアラリックは流されかけるも、すかさず膝を折って踏み止まる。先手を取って静かに術を込めていた。
「凍れ……」
アズレインはレイピアを横に払い、氷が生まれる音と共に水面は滑らかな鏡面へと変化を遂げた。
「”それも全部知っている”」
予測していたアラリックは、あらかじめ練り上げていた術式で、巨岩の柱を地面から隆起させ、一気に跳び乗って足場を確保する。見上げるアズレインの瞳は何かを訴えるように揺れていた。——だがアラリックは一瞬の迷いすら許さない。
「チェックメイトだ……」
石飛礫が命中する瞬間——冷たい感情の読み取れない低い声が、アラリックの予想を上回る結果を招く。
「”蒼潮解放”……」
着地点、いや全てが再び大海原に変わり、アラリックは初めて自分が追い込まれた事に気付いた。
「しまった…!足場が——」
次の瞬間——
アズレインのレイピアが、アラリックへと突き出される。
氷の牙が生まれ、一直線にアラリックの左肩を貫いていった。
「——ッ!」
背後の壁へと叩きつけられるアラリック。その体を尚も冷たい氷が拘束していく。
「流石の動きと言った所でしょうか……1本してやられましたね」
貫かれた左肩から凍る体と、内側からも骨や筋肉が凍っていく感覚を味わいながら、アラリックは一発逆転の一手を探し続けていた——
という事で次回でシークレットチャンスクエストはちゃんと締めたいと思います。次回アラリック対アズレインの激闘を結末を見届けてください!