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Death Game: The Codex Chronicle(デスゲーム:ザ・コーデックス・クロニクル)前編

十二人の生徒が命を賭けて挑むデスゲーム×学園ストーリー


土、火、水、風の四属性をメインに、学園の闇に気付いた四人の生徒達。

外部の仲間との連絡は途絶え、絶望しながらも自分達で道を切り拓いていく。

そして、世界そのものに異変を感じた彼等は、歴史が全て眠る図書館へ赴き、三百年前の真実を知る——


《Death of the Academia》をお楽しみください

リオライズ達が、マリーナ達の元へ話し込んでいた同時刻、

アラリック達も、目的の図書館へ辿り着いていた——


「こんな大規模な図書館で、無属性について書かれてないとは思えないけど……」


皮肉じみた言い方で、少しだけストリクスの心を抉った。


「小さかったし、勘弁して……」


その外観は、まるで時間がともに動いているような大きな城だった。


黄ばみかけた石材が幾重にも積み上げられた外壁。中央の重厚の扉には、六属性を象徴とする向日葵のステンドグラスの形を成して、紋章のように輝いてた。


土を象徴する麦のように淡い橙色、火を象徴する紅蓮の赤色、水を象徴する透明感のある水色、風を象徴する深い緑色。


そして、最上位と呼ばれる白き光と、禍々しくも妖艶な闇を象徴する紫の花びら——それらが織りなす六枚の光が、扉に神々しい輝きを宿していた。


「入るぞ……」


「うん、行こう」


重厚な扉を押し開けると、六枚の花びらの紋章が三枚に分けられた。

中に足を踏み込めば、冷たい空気が肌を刺す。


天井は高く、曇った窓から差し込む光が、宙を舞う埃を捉えていた。

長年、誰も手入れなどもしていなかったことは、一目見ただけで理解できた。


両壁に、ずらりと並ぶ書物。辺りを見渡せば入口の奥から微かに見える、螺旋階段があり、二階へ続いているようだった。


「この図書館の最上階の六階に、それが記されているらしい」


「どうして、そんなに詳しく分かるの?」


何を言い出したかと思えば、正確性のある歴史の書物の在り処についてだった。

すると、少し嬉しそうにな瞳に、奥底では悲し気な瞳を見せたアラリックが、答える。


「最近、脳に直接語りかける、神の声が聞こえるようになって……全てが見えてるみたいに、大体合ってる時の方が多い」


「アラリック、そんな力いつの間に……? なんかついて行けないかも」


深いため息をついて、ストリクスの驚きも無視するかのように、催促した。


「とにかく先へ急ぐぞ。あまり時間は無いのだから――」



そして、二人は長い長い螺旋階段を登って、ひたすら目的の階まで足を動かし続ける。


「六階ね……一階ごとの段数が多いから、目が回ってくるよ……」


ストリクスが、視界が揺れる中、手すりをしっかりと捕まえて駆け上がっていく。


一階だけは、どこにでもあるような静かな図書館だった。

そして二階は、琥珀色の光柱が中央に聳え立ち、大地が土属性の知識を閉じ込めるような場所だった。


三階は、中央に浮かぶ巨大な灯が、赤い結晶のように輝いて脈動していた。そして部屋全体に、火花が舞うように、火属性の知識の書物が並べられていた。


「ところで、貴様が書物を調べたのは何階だったんだ?」


「最上階以外の本は全て見尽くしたと思う……記憶も確かじゃないから何とも言えないけど。でも“六階だけは絶対に行くな“って、釘を刺されるように両親に言われたよ」


「やはり、そこに眠っているのか……」


四階は、全体が淡い青色に染まり、中央の噴水を囲むように紫陽花が、輪を成して咲いていた。

記憶を流すように、水音が静かに響いていた。


五階は、どこからともなく風が吹き抜け、小さな蝶達が舞うように飛んでいた。

部屋を囲む緑の樹木は、微かに揺れ、靡くたびに風属性の知識を囁いているようだった。



そして六階へ続く階段を見つけた時、ストリクスが何かを聞いたように後ろを振り返った。


「ねぇ、今何か聞こえなかった?」


「何かって何?」


「凄い低い男の呻き声みたいなのが聞こえた。もしかしたら、僕達がこの先へ入るのを拒絶しているのかも……」


二人は口を閉ざし、耳を澄ませる。しかしどれだけ待っても、呻き声が聞こえることはなかった。


「どうする? アラリック」


辺りを見渡してアラリックは、敵の気配を探る。

目を瞑って、魔力を掴もうとするも何一つ異変は見られなかった。


「ここまで来て帰る。という選択肢は僕には存在していない……手短に目当ての歴史を読み解き、ヴェイル達と合流する」


「分かった。急ごう!」


二人は足早に、螺旋階段を駆け上がる。

その間も、男の呻き声などは一切聞こえず、ただ、不気味な雰囲気が近づくのを肌で感じながら、あっという間に六階へ辿り着いた。


しかし、六階の入口へ立った時、更なる問題が立ち塞がる。


「アラリック、これは……」


彼等が見たものは、入り口で透明な結界がバリケードのように、外の人間を入らせない形になっていた。


「流石にここまで、やられたら……」


ストリクスから、徐々に声に活気がなくなっていく。

その姿を見かねたアラリックは、結界に手をかざして誰かに問いかけるように話し始めた。


「この階を守りし番人よ……世界の歴史を知り、腐った常識を元に戻す為、今一度、結界を解きたまえ……」


そしてアラリックの言葉が聞こえているかのか、結界が脈打つように動き始めた。

そして、どこからともなく声が聞こえ始める。


「ようやく、世界の混沌に気付く者が現れた……ここに入ることを許可する」


その声は、まだ幼き少女の声。

やがて、結界は解けるように姿を消して、六階の書物の在り処へ飛び込んだ。


「あ、ありがとうございます番人様。どうして僕等を入れてくれたのですか?」


「私は、この世界に六属性を生み出した者。そして、三百年前のあの日……神の暴走によって実体を失いました」


暫くの沈黙は、まるで彼女が世界の混沌を作ってしまったかのような、悲しき静寂が広がった。


「私が彼等に重責を押し付けたのです……だから、“悪いのは全て私です“」


すすり泣くような、ふり絞った声で彼女は言った。

そして、右側の本棚から一つの本が、アラリックの手元へ宙を舞って降りて来る。


「この本に、六属性の神のことが記されています。これは、私が遥か昔、今世まで受け継がれるように遺した物です。大事に扱ってくださいね」


渡された本は、白く黄ばんだ分厚い本だった。そして、ページが独りでに開くと、確かに六属性についての古代文字が記されていた。


「今から貴方達に、全てを話します。六属性の神と代行者。――そして、記憶を辿れる地について」


そして遂にアラリック達も知らされる、新たな世界。六属性の神の名前、封印されし真実。

その全てが、次回明らかに――

最後まで読んで頂きありがとうございました

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