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Death Game: Welcome Master of Trial(デスゲーム:ウェルカム・マスター・オブ・トライアル)

十二人の生徒が命を賭けて挑むデスゲーム×学園ストーリー

土、火、水、風の四属性をメインに、二つのクラスに振り分けられた彼等は、新たなる試練【対人戦】に向けた戦いに駒を進める——

生き残るのは真の才能がある人間のみ

誰が生きて誰が死ぬのか完全オリジナル作品

《Death of the Academia》をお楽しみください

「皆さん、初めまして! 本日グラン先生の招集で、呼ばれました! よろしくお願いします」


無造作に跳ねた青髪が陽光を反射し、紫水晶のような瞳が笑みの奥で輝いている。

群青色のワイシャツに、ネイビー色のプレッピーなブレザーを羽織っている男。


右耳に揺れる澄んだピンクのピアスが、不思議な存在感を放っていた。左肩には、一匹のウサギがちょこんと乗っているのが特徴的。


「後は好きにしてもらって構わない。あくまでこれは、”リハーサル”だからな」


グランが言うと、フラーナは軽く会釈て二人は教室を後にした。


「じゃあ、まずは挨拶からかな。——初めまして私は{アーサー・ヴァレンティス}よろしくね!」


リーダー的立ち位置のアーサーを、目を細めて怪しげに観察するアラリック。


視線を感じたアーサーが、席まで行ってアラリックに声を掛ける——


「初めまして!君がランキング一位の生徒さん?」


「……それが何か」


「いやずっと、こっちを見てたから、どうしたのかな〜って

良かったら飴ちゃんとかいる?」


ポケットから一つの飴を取り出すとアラリックに差し出した


「……要らないですけど」


アーサーは即座にアラリックの殺気を感じ取った。


——刹那、空気が張り詰めた。


アラリックは飴を差し出すアーサーの手を鋭く(はた)き、レイピアを一閃——


その一撃は、左肩のウサギに向けてまっすぐ飛ぶ。


金属がぶつかり合う鋭い音が、教室全体に響き渡る。

風圧に押され、窓ガラスが震えた。


「……ごめんだけど、それだけは許容できない」


先程までの明るい声とは一変、明らかに暗い声色でアーサーは静かに告げる。


座ったままレイピアを突き立てるアラリック。ウサギを守るように、剣先を止めるアーサーの姿があった。


「……では何故、この生き物は人間でありながら、その姿を見せないのです……?」


教室に、一瞬、氷のような沈黙が落ちた。


「——っ。君は……君は、この子の正体が分かるの?」


「……は?」


剣を下ろすと、驚いた表情で瞳を揺らしながら、アーサーがアラリックに問いかける。


「分かるも何も、その子の首飾りに違和感があったから」


ウサギの掛けていた首飾りには、何かを埋め込むような場所が空っぽの状態だった。


「そうだよね〜 この姿じゃ落ち着かないよね」


重苦しい空気を消すように、ウサギが初めて声を出した。


「ティオル、約束通りにお願い」


アーサーの左肩を、ぴょんと降りると{ティオル・マキリス}の足元へ行って何かをお願いした。


ティオルは青い髪に細いお団子サイドテールに、紫色のかかった深い青色を基調とした袴姿の男性。


吊り目に怖い表情を浮かべながらウサギを見つめる。

大きくため息をつくと桃色の結晶を取り出して首飾りに埋め込んだ。


——そして結晶が首飾りに着けられると同時に、淡い光とともに白煙が広がった。空気が揺れ、眩い閃光の中から、一人の人間の姿がゆっくりと現れる。


「ふぅ。学園に来るのが楽しみで、すっかり忘れてたよ。ごめんね〜」


人間の姿は、狐色の髪に少し桃色が掛かった綺麗なロングヘアに左目を隠した女性。

左耳にはサファイアのように輝くピアスをつけて、白を基調としたピンクと淡いオレンジ色の水玉模様の長袖ワンピースを見に纏っていた。


「初めまして!私はアーサーの愛しき花嫁。{ルルナ・ヴァレンティス}と申します。よろしくお願いします」


ウサギの時の姿とは一変、月下に咲いた一輪の幻の花のようだった。


「アーサーとは冒険をしている時に助けてくれて、そこからって感じかな? それでこの三人も私の大事な仲間達です。——貴方も、さっきは怖い思いをさせてごめんなさい」


「いいえ、こちらも警戒しすぎました。申し訳ありません」


「——取り敢えず一件落着って事で、そろそろ本題に入ろうか——」


「本題って試験の内容……ですか?」


一番最初に声を上げたのはレンリーだった。


「そうだよ。今から僕達がどの生徒に指導をするかを決めたいと思います」


「ねぇねぇ、アーサー」


「なぁに?リゼルド」


リゼルド・グレイアス。

非常にマイペースで、喋り方もその名の通りゆっくり語尾を伸ばす感じが特徴的な男性。


サイズの合わないダボっとした白いブラウスに、オーバーオールを身に着けて、腰には大きなドクロの飾りが印象的だった。


「僕は〜アラリックの指導をしたいんですけど良いですかぁ〜」


「——どうして、僕の名前を?」


まだ一度も名前を名乗っていないアラリックは警戒心を強める。

グラン達の性格上、先に生徒達の情報を貰えていると思っていなかったからだ。


「僕の能力は死者と繋がれる扉の管理人って事で〜 死者の声が聞けたりするんですよ〜 アラリックの名前が分かったのは、君達にとっては幽霊的存在。つまり見えない物に情報を抜いて貰って分かったって感じかな〜」


「不気味だ……」


アラリックの呟きがアーサーの心を揺らす。


「もし嫌だったら、他の仲間達に頼む事も出来るけどどうする?」


「大丈夫です。面白そうなのは変わりありませんし、”二人を除けば他は誰でも同じ”ですから」


その言葉に、五人全員が何かに反応したように目を見合わせたが、リゼルドが場の空気を元に戻す。


「じゃあ決まり〜」


「OK。じゃあ次は——」


「僕が、二番目の子の指導に行こうかな?」


アーサーが次の指導者を決める言葉を言おうとすると、ティオルが真っ先に指を差して、レンリーに声を掛ける。


「ぼ、僕ですか?」


「うん。君、覚醒系の技術が全然なってないんだよ。もう少し自我を持たせる……我を忘れずに実力だけを底上げする抑制の訓練をやろう」


「ぜ、是非お願いします!」


爽やかな青年のような声で掛けられる一言は、普段優柔不断なレンリーにとっては安心できる一幕となった。


「ねぇ、クレヴァスはどっちが良いとかある?」


「……別に仕事で来てるだけだし、どれでも良い」


{クレヴァス・リュエン}

無口で表情を変えない古風な着物スタイルをした青年。

金髪の三つ編みを肩に流した感情の読めない剣士


「うーん……じゃあヴェイル君にしよっかな。私で大丈夫そう?」


「俺は全然良いんすけど、その……」


ヴェイルの視線がアーサーに向き、目が合うとすごい剣幕で睨まれていた。

その眼差しは、嫉妬という感情だけが滲み出ていた。


「アーサー!また、くだらない事で人を睨みつけてるわよ!」


「……だって」


「私が決めた事を尊重するのも夫の役目でしょう? ヴェイル君、この馬鹿は気にしないで同意してくださる?」


「わ、分かり……ました」


かなり気まずい雰囲気の中、三組の振り分けが決定した。

〈アラリック&リゼルド〉〈レンリー&ティオル〉

〈ヴェイル&ルルナ〉


残りはアーサーとクレヴァスだけとなった。アーサーが問いかけようとするのを察知したかと思う程タイミング良くクレヴァスが話し始める。


「……じゃあ俺は、緑頭のそいつにする」


「ゼフィリー・フィオラです。よろしくお願いします」


「……うん、どうでも良いけど。じゃあアーサーは白髪の奴の遊び相手になれば良いって事で決定だね。実に、どうでも良いけど……」


「何故二回言った? えっと……ストリクス君が嫌じゃ無ければ、これで全組決定にしたいんだけど」


「構いません。自分を強くしてくれるなら、どんな事でもクリアします」


「良し。じゃあ決定だ」

〈アラリック&リゼルト〉〈レンリー&ティオル〉

〈ヴェイル&ルルナ〉〈ゼフィリー&クレヴァス〉

〈アーサー&ストリクス〉


「いい感じの振り分けになったね〜 早速フィールドに移動する〜?」


「えっ?フィールドがもう用意されてるのか!?」


ヴェイルが腰を抜かすように驚くと、淡々とアラリックが推測を話す。


「さっき死者との扉が開けるとか言ってたし、それと似た術で何か作れるって感じなだけだろう……」


「お前に聞いてねぇし! しかも今日もアーサー怒らせて。どんだけ短気なんだよ」


「——っ。決めた……貴様の首を今ここで落とす」


レイピアを再び抜いて戦闘態勢に入るアラリックに、レンリーは慌てふためき、ストリクスは無関心、ゼフィリーが仲裁に入ろうとした瞬間——リゼルドが口を挟む。


「はい、ストップ〜 喧嘩しない、しない。それに大体アラリックの言ってる事で正解だよ〜 僕の能力は何処にでも扉を置ける事と、自分からも部屋を作れちゃうんだ〜 皆きっと気に入ると思うよ〜」


リゼルドがスティック取り出すと、杖に変化して先端が鎌のような刃で出来ている黒い杖を掲げた。

すると、一瞬にして大きな石の扉が出現した。


「じゃあ皆さん、出発進行〜」


教室内がまだ、どよめく中リゼルド達は、足早に扉へ足を踏み入れた。それに続いて戸惑いながらも、生徒達も後を追った——


黒い渦に体を預けると、次に立っていたのは洞窟だった。

尖った岩から水が滴り落ちる音が静寂の中響き渡る。

辺りを警戒する生徒達を安心させるようにリゼルドは説明をする。


「ここが僕達の訓練フィールド、【地獄の洞窟】だよ〜 

ネーミングは単純でごめんね〜 目の前の五つの入口に、さっきのペアでそれぞれ入ってね〜」


ぐにゃりと歪みながら、しっかりと形となる入り口が出現していく。


「中では各自、訓練してもらうよ〜 大事な事だけど、戦闘中に地面から手が出たり、マグマが落ちるかもしれないから——気をつけてね〜」


「戦闘において、障害は付き物だからね。良い訓練になると思うよ」


こうして五人の新たな成長を目指して、対人戦に向けた特別試験が始まるだ——

この後、II組第一授業編のように1人ずつ描いていく予定ですので、本番まで長い道のりかもしれませんが皆さん応援よろしくお願いします

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