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Death of the Academia (デス:オブ・ザ・アカデミア)

十二人の生徒が命を賭けて挑むデスゲーム×学園ストーリー


遂に、記憶持ちへと進化していない{ゼオン、エニアル、サイラス}を学園から連れ出した。


逃げる選択肢を下し、次なる舞台へ駒を進める生徒たち。

呪い持ちとの激闘の末、救いの手であるリゼルドが降り立った。


それぞれの想う願い。新たな目標は、果たしてどのように動くのか――


《Death of the Academia》をお楽しみください

話を終えたリゼルドは、静かに屋敷の外へ出た。

暗闇の廃墟のような静寂に、ひとつの風が通り過ぎると、生徒たちに向けて言葉を紡いだ。


「みんな聞いて。……あまり、ここに長居はできない」


この時間停止の空間に、彼らが連れて来られる前。

学園内で、マリーナたちと接触している以上、奴らがいつ追ってきても不思議ではない。


生徒にとっては、初めて見る顔に警戒と恐怖の心が滲んでいるようだった。

僕は、敵意がないことを示すように優しく落ち着いた声色で続けた。


「僕の転移術を使って、今から異空間の安全地帯へ移動する」


僕は冷静に、話を続ける。


「呪いが解けた三人は、あの医者に診てもらう。そして――アラリック。君も今回、一番負傷しているから治療をしてもらいなさい」


先程まで死人のように、横たわっていた生徒たちも、朦朧とする意識の中——重い体を起こしていく。


全員が元に戻った(記憶持ちになった)ことで、微かな安堵と血の匂いが漂っていた。


「混乱している者、聞きたいことがある者も……もう少しの辛抱だ。今は、協力してくれ」


その声に導かれ、生徒たちは互い肩を貸し、気を失った仲間を担いで集まってくる。

皆、言葉を交わすことはなくても——全員が諦めずに戦っているのが分かった。


こうして、生徒たちはリゼルドに導かれ、新たな拠点へと歩み出す。



木々の枝で形作られた、柔らかく温かな光に包まれた学園。

壁には病室と治療室の名札が並び、異空間ならではの静けさが広がっていた。


リゼルドが扉を押し開け、呪いに侵されていたサイラス、ゼオン、エニアルをベットに横たわらせるように促す。


部屋の中では甘い花の香りが漂い、殺伐していた雰囲気は、少しだけ和んだ気もしていた。


ホワイトが無言でリゼルドを一瞥すると、一人一人モノクルで診察した後、寝息が静かに聞こえる中でこう言った。


「流石、光属性の持ち主。私が手を加えずとも、安静にしていればそのうち目を覚ますでしょう」


その場にいた全員が、その診断にほっと胸を撫で下ろした。

すると、「次は君の番」と言うように、リゼルドはアラリックに視線を向けた。


「I組の皆も、II組の二人も順に治療するけど……少しだけ待っていて——」


そして、数十分後。

リゼルドが他の生徒たちを別室へ案内している間、治療室ではアラリックとホワイトが向かい合っていた。


空気は静まり返り、患者(アラリック)の右目に一筋の光るライトが消されると、衝撃的な診断結果を言い渡される。


「右目失明。——適性のない属性を酷使した代償ですね」


「この世界では、片目が無くても困ることはありませんが……」


「それだけじゃない」とホワイトが、アラリックの言葉を遮るように続けた。


「寿命も……そう長くはない。持って二年、早ければ一年ほどでしょう」


しかし、アラリックは全く動じなかった。

まるで、そうなる未来を知っていたかのように。


ホワイトは呆れた様子で、言葉を残す。


「余命宣告された割には、落ち着いてますね。普通の人間なら、泣き喚いてもおかしくないのに」


治療室の天井。自然の香りが鼻をくすぐり、木目の模様を見ながら、うわ言を呟くようにアラリックは答えた。


「遠い昔。自分の恩人であり、師として任務命令を下した人間を、自らの手で殺したことがあって……寿命ごときで驚かないのは、それが理由だと思います」


自分に一つしかない命を、『ごとき』で済ませてしまうとは……壊れた人間になっただけか、相当その現実が深い傷を与えたのだろう。


「ほんと、ここの学園の生徒たちは、何もかも人間離れしすぎている……」



「今日から、ここが君たちの寮室」


グランたちに案内された寮とは違い、みんな同じ部屋で上質なベットが並べられていた。

窓辺に映る景色は、深い海の色が広がっている。


「アラリックの治療が終わったら、ホワイトに呼ばれると思う。しばらくは各自ゆっくり体を休めていて」


新しい学園の寮室へ案内された九人の生徒たちの中で――リオライズが、リゼルドを呼び止めた。


「リゼルドさん!」


振り返った瞬間、胸の奥に嫌な予感が走った。

そこにいたのは、アーサーと共に戦ってきた過去を知るリオライズ。そして、そのアーサーに救われたネリカが並んで立っていた。


「あの……ひとつ、お話ししたいことがあるので、お時間頂けますでしょうか?」


沈黙が落ちる。

それは、これから訪れる対話の重さを物語っていた。



時を同じくして——ヴェイルは一人、寮室を抜け出していた。

深海を背景に作られた教室を目に呟いた。


「ここが、新しい学園。またスタートを切る……俺たちの英雄譚を始めるために」


今までの戦いも、追い込まれることの方が多かった。

仲間を守る盾も、的確な判断で分析して、口頭なしに指示を送れる奴もいない。


俺たちは精神的にも、肉体的にもまだまだ弱い。

だからこそ、リゼルドの力を借りて、同じ志を持つ人間を探すんだ。



このD()e()a()t()h() ()o()f() ()t()h()e() ()A()c()a()d()e()m()i()a()で——

形はどうであれ、タイトル回収まで書けてほっとしています。

最後まで読んでくださりありがとうございます。まだまだマイペースでの更新にはなってしまうかもしれませんが、引き続き応援よろしくお願いします。

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