Death Game: Clash and Farewell(デス・ゲーム:クラッシュ・アンド・フェアウェル)
十二人の生徒が命を賭けて挑むデスゲーム×学園ストーリー
ネリカの記憶持ちに復活した真意を知るも、思わぬ形で決別してしまったリゼルドとアラリック。
そしてグランの死を通じて、記憶持ちへと進化を遂げるゼフィリー。
一方で——レンリーには、大きな問題が立ちはだかる。
I組の生徒へ課せられた、最難関の試練を彼らは突破できるのか——
《Death of the Academia》をお楽しみください
俺の唐突なアイディアに、全員が呆気に取られる。
そんな中、最初に冷静な声で反応したのは、アラリックだった。
「……無論、海底をこちらへ引き寄せられるのなら大歓迎だ。だが、今朝からマリーナたちの姿が見えない。――恐らく、罠だろう」
「……追憶の海底っていうのは、Ⅱ組の選別の時に、アラリックたちがいた場所のこと?」
そうだ……ゼフィリーは、グランたちの思惑に気付いただけで、実際どんな活動をしていたかは知らない。
「あぁ、そんなところだ。自分の記憶の中に、深く関わりのあった死者がいれば……その時、海底の扉が開く」
だが、アラリックの言う通りだ。
もしマリーナの掌で踊らされているとすれば、行かない方がいい。
せっかく逃がした仲間を、無駄に死なせてしまっては元も子もなくなる。
何より、今の戦力じゃ――奴らに太刀打ちできるはずがない。
「結局、決めるのはレンリーだ。本人が一か八かの賭けに出ても、記憶を取り戻したいなら……俺たちは全力で援護する」
だが、望みは薄い。
今朝の筆談でレンリーは確実に後者を選んだ。
それに、この会話の流れで心変わりすることもないだろう……
「転移スキルを持った人が、僕を守ってくれるなら……もう一度考えてみてもいいかもしれません」
転移。確かにリゼルドに頼めば……直接、海底に扉を開いてくれるかもしれない。
「俺たち生徒の中にはいないが、当てになる奴はいる」
昨夜、ネリカを救出した直後——
アラリックが一足早くコロシアムを去った瞬間、微かに感じた懐かしい光の魔力……
あれは、多分リゼルドの魔力の気配だ。
「アラリック。あれから、リゼルドとは連絡が取れているのか? もしできるんだったら――」
俺の言葉を遮るように、アラリックは無言で立ち上がった。
そして、衝撃的な一言を口にする。
「……ごめん。リゼルドとは、もう関わるのをやめた」
平然と告げるアラリックの姿に、思考が止まりかけるも——俺は思わず声を荒げる。
「……なんで急にそんなこと!」
「……僕とリゼルドに亀裂が入っただけで、貴様らの関係は壊していない」
感情に任せて、俺はアラリックの胸ぐらを掴む。
再び闇に沈む表情を覗かせても関係なく、問いかけた。
「そういう問題じゃねぇ! アーサーたちも全員無事だったんだよな……!?」
会議室に怒声が響き渡る。
レンリーは怯えたように肩をすくめ、萎縮する。
対照的に、ゼフィリーは冷静なまま、じっと俺たちのやり取りに耳を傾けていた。
「アーサーが死ねば、全員の士気が下がると感じたからだ。でもリゼルドは……それを拒否した」
リゼルドとの関係を絶ったのは——アーサーを復活させるか否かの問題。
アラリックの振り絞ったような声に、自然と手が解ける。
「遅かった。アーサー、なんでお前が先に逝くんだよ……」
また守れなかった……
どれだけ強く見せかけても――実際には、何一つ進化していない。
己の無力さに下唇を噛み締めると、血の味が口に広がった。
それでも、前へ進まなければいけない。
立ち止まれば、勝利は絶対に訪れない。
「悪かったな。お前の考えていることは分かるし、俺もアーサーの復活は同意見だ」
絡まった糸を解くには、限られた時間を無駄にできない。
「一旦、リオライズとネリカも交えて会議しよう。……レンリーは、思い出したことがあれば必ず教えてくれ」
時を同じくして――ネリカはリオライズに、アーサーの死を知らされていた。
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