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義妹にグイグイこられて、義兄妹の関係から1歩ほど先に進めたお話

「義兄妹とはいえ、血も繋がってない男女がもう10年以上一緒にいるんだよ!惚れてもおかしくなくない!?」

「……俺の部屋に来るなり、何だ突然」

 義母の連れ子として義妹になった天音が脈絡もなにもなく、叫ぶ。兄妹になったのは、もう13年前くらいだ。同い年だが1ヶ月差で俺の方が上だったので、兄ということになっている。

 血は繋がってないが、世間一般的に見ても、かなり良い兄として、家族として義妹とは関われてきたと思っている。


「しかもだよ?高校入ってからは二人とも上京して同じアパートで二人暮らしだよ?間違い起きても仕方ないシチュエーションだよ?」

「その程度で間違いが起きる関係だったら、父も義母も俺達の二人暮らしなんて認めなかったろう」

 義理とはいえ、小さい頃から一緒に過ごしてきた義妹に手なんぞ俺は出さん。


「そんなことないよ!お母さんは実家から引っ越した日に避妊はしっかりね、とか言ってゴム渡して来るくらい信用されてなかったよ!そのくせ孫は出来たかとか毎年聞いてくるよ!」

 ゴムの箱をビシッと見せつけてくる。何を言ってるんだあの義母は。というかそれは俺ではなくて、天音が信用されていないだけではなかろうか。そのゴム、二年以上前のとか、きっと劣化して使えないだろうに。

 天音は別に俺にベッタリなブラコン義妹というわけではない。やはり血が繋がってないというのもあるだろうが、普通の兄妹よりは少し一線を引いたような感じでいることが多かった。中学半ばくらいから思春期?なのか知らないが少しスキンシップしてくることが多くなったが、その程度だ。

 

「義兄ちゃん、私って魅力無いかな」

「そんなことはないぞ。天音はモテるだろう」

 俺達兄妹は血は繋がっていないが、一緒に暮らしてきたせいなのだろうか、端から見ると兄妹にしか見えないくらいには似ている。本当に仲が良い友人以外には血の繋がった兄妹としか思われていない。

 そして、俺達は美男美女兄妹として学校で有名なくらいには容姿が整っている。なので二人ともわりとモテるのだ。何故か二人とも恋人はいないが。

 

「外野からモテるのなんてどうでもいいの!義兄ちゃんはどうおもってるのさ!」

 どう思っているかと言われても、なあ。


「家族だと思ってるとしか」

「そこから1歩くらい踏み外せませんかね!」

 踏み外してはだめだろう。


「何だが俺にお前を異性として見て欲しいみたいな言いぐさだな」

「そのとおりでございますよ?」

「……そんな素振り今まで無かっただろう?」

 今しがたまでは、普通の義妹、義兄の関係だったのだと思うのだが。


「そんなことないから!?スキンシップは積極的にしてるし、ご飯食べさせあったりもしてるし。家の中でもお風呂の後とか、義兄ちゃんが自家発電してるときとか狙ってラーキースケベイベント頻繁に起こしたりして性的アピールもしてきたよ!?」

「そんなの普通の兄妹でもよくありそうなイベントだし、一緒に暮らしてたら起きがちなハプニングなだけだろう」

 それらのイベントは、確かにここ最近はやたら頻繁に起きるきはしたが、高校生で二人暮らしなんてしていればそんなものだろう、と気にも止めていなかった。


「ここのところ毎日のように義兄ちゃんのお布団に半裸で潜り込んだりもしたよね!?それもよくあるハプニングなの!?」

「だって寝ぼけて間違えたって言ってたし」

「今週は毎日潜り込んだよ?どんだけ寝ぼけてる娘だと思われてるのよ私!?これ以上意識してもらえないなら、もう全裸で潜り込むしかないって所まで来てたよ!?」

 全裸は困るな。どう反応してよいかわからない。


「まぁまてわかった。落ち着け。つまり、天音は俺に女として見られたいし、俺を男として見たいんだな」

「そうだよ?いや、私は義兄ちゃんの事初めて会った時から男として見てたけどね。毎朝元気な義兄ちゃんの義兄様をみて悶々ムラムラする13年間だったけどね?」

 何のことだ。言ってる意味はさっぱりわからないが、俺にずっと悶々していたらしい。


「天音…以外とムッツリだったんだな」

「むしろオープンな方だと思いますけどね!」

 しかし、困った。俺は天音は当然嫌いじゃないが。そういう対象としては一度足りとも見たことがなかった。今さらその感覚が変わるかと言われると…難しそうだ。


「……義兄ちゃんってさ、何で彼女作らなかったの?私は義兄ちゃんの事好きだからだったけど、どうして?」

「……教えても良いけど、引くぞ?多分」

「そ、そうなの。引くほどの理由って……、恐くはあるけど、やっぱ聞きたいかな」

 ふむ、あまり話したくはなかったが、話すしかないようだ。


「実はな、天音より可愛い子じゃないと、好みに合わないみたいでな。好きになれなかったんだ」

「どこに引く要素が!?むしろ今の状況だとプラス要素しかないよ!」

「だって普通に考えたら、妹と比べて恋人選んでたとか、最低じゃないか?告白してくれた子達には毎回申し訳ない気持ちでいっぱいだったからな。妹か基準とか。シスコンみたいで嫌じゃないか」

 義妹より劣って見えるので付き合えません、とか最低男にも程があると思う。

 

「外から目線だと、確かにそうかも。でも!もう高校も卒業!二人ともすぐ18歳!義兄妹の関係から踏み出してもよいのではないでしょうか!いや、いい!」

「テンション高いなぁ」

「義兄ちゃんはテンション低いね!?可愛い可愛い義妹がこんなに求愛してるってのに!」

 今までの流れは求愛だったのか?まぁそうか。求愛か。確かに天音が俺の事を好きなのは伝わってきたし。


「天音のことは好みだけど、付き合うとか考えられないかなぁ。家族としてしか見れないし」

「好みなら良くないかな?私も家族じゃなくて恋人として見ろとは言わないよ?」

 そうなの?義妹から恋人にクラスチェンジしたいって話かと思ってた。


「もう、家族としてはずっとデートみたいなこととか一杯してるし。これから先も同じ様に家族として傍にいてくれればいいし」

「それだとなにも変わらなくて良いんじゃない?」

 そうであれば、なぜこんなに必死なのだろうか。


「義兄ちゃんに彼女出来ちゃうかもっ、て心配はもうしたくないの!安心は欲しいんですー。それに、家族とはいえ、兄妹の関係だとできないことはあるじゃない」

「天音の気持ちはわかった。俺は元々天音とは一生家族として傍にいるつもりだったからな。その距離か近くなるだけってなら、まぁなんとか納得できるかな。俺は彼女は一生作らないで天音と一緒にいるよ」

「……嬉しい。けど後半のは?」

後半?

 

「兄妹の関係だとできないこと」

 そう言うと義母から受け取ったと言っていたゴムの箱をズイッと見せてくる。


「それは使えないかなぁ」

 絶対劣化してるし。


「え、わ、私は無くてもいいけど」

 勘違いして、照れ照れととんでもない事を言ってくる。


「だめに決まってるだろう。せっかく二人とも良い大学入ったのに、子供出来たらどうする。あと二年以上前のそんなもの恐くて使えないよ」

「うぅ。そっか。よし!新しいの買ってくる!」

「まてまて、やる気マンマンすぎだろうが」

 そう言って出掛けようとする天音の手を掴み引き留める。


「えーだってずっと我慢してたし……」

「そんなに、焦らないでくれ。これからもずっと一緒にいるから時間はあるさ」

 そう言って俺は天音を抱き締め、頬に軽いキスをする。


「ふぇ!?」

「今はこのくらいで勘弁してくれ。だんだん意識は変えるように頑張るからさ」

 流石に義妹を直ぐに女性として見るように意識を変えるのは難しかった。申し訳無いが今しばらく天音は我慢してもらいたい。


「うん。でも、キスはちゃんと恋人のキスが良いな」

 ……そのくらいなら。俺はもう一度彼女に優しくキスをした。今度は、唇へ。


 

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