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懐かしい手紙  作者: jun
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前編

 午後八時、松下(まつした)中原(なかはら)は食事を終えてくつろいでいた。二人は会社の同僚で、ともに独身の一人暮らし。よく互いの家に行っては酒を飲んでいる。この日は松下がもてなす番で、鍋を作り、缶ビールを用意した。


「うまかったよ、ごちそうさん」中原は満足そうにビールを一口飲む。


「中原もたまには自炊した方がいいんじゃない? 食費も安く済むよ」


「俺は面倒くさいことはごめんだね。それに作りすぎると、お前みたいに太っちまうからな」


「たしかに、ついつい多く作っちゃうんだよね」松下は鍋の湯気でくもった眼鏡を拭いて、笑った。そしてテレビをつけた。


「おっ、ユカちゃんだ」中原はテレビの方に体を向ける。旬のアイドルであるユカが、お笑い芸人とトークをしていた。天然キャラでブレイクし、バラエティ番組に多数出演している。「やっぱかわいいよな」


「そんなにファンだったの?」


「なんだよ、お前はユカちゃん好きじゃないのか?」


「いや実はさ、彼女とは小学生の時に同級生だったんだよね」


「おい、マジかよ」中原はビールをこぼしそうになった。


「うん。でも小学六年生の時に僕が引っ越して転校したから、それ以来会ってはいないけどね」松下は昔を思い出して微笑んだ。


「やっぱ昔から明るい感じの天然キャラだったのか?」


「どうかな、どちらかと言えばもの静かな感じだったよ」


「じゃあ今のキャラは、やっぱり演技なんだな」中原は寂しい顔をした。


「あっ、でも転校する時にもらった手紙は、ちょっと天然な感じだったかも」


「手紙?」


「ちょっと待ってて」松下は奥の部屋で何かを探している。「あった、これだよ」

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